表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おつかい魔法使い~お師匠さまなんてもの運ばせるんですか!~  作者: ダイニング
2章 まともなおつかいじゃないですか!
59/134

46 連続誘拐犯(7)

前回までのあらすじ アリスはリンがとらわれている牢屋へ突入した。

 この空間にはいくつかの牢屋があり、さらわれた子たちが一人ずつ入れられていました。あっちと同じようにここもぼんやりとした光に照らされています。隊員さんは近くの牢屋の前に立って、鉄格子を眺めながら言いました。


「これ、魔法でかなり強化されてるわね。んー、どうやってこの子たちを助けたらいいのかしら」


 その言葉で空気が変わります。捕まってしまった子たちの間に希望が生まれたようで、「よかった……」「私たち、やっと出られるのね」という会話や、すすり泣く声が聞こえてきました。


「強化されてるんだったら、さっきの魔法使えばいいんじゃないですか?」


「そうしたら、私たちみんな埋もれて、あっという間に集団墓地が一つ出来上がっちゃうわ。あれだと強すぎるのよ」


「じゃあ弱くすればいいんじゃ」


「それじゃ、これを壊せないわ」


「うーん。あ、そうだ! あれを使えば!」


 少し考えて、思いつきました。「なにを?」と首をかしげて問いかけてくる隊員さんに私は言います。


「隊員さん、私の本気を見ててください!」


「え?」


 私は隊員さんを連れて、リンの牢屋の前まで来ました。サザンカもついてきています。リンは眠っているのかぐったりとしています。


「リン! 大丈夫!? 今助けるからね!」


「んん、アリス? 馬車にひかれたって聞いたんだけど、なんでここに」


 私の声で目を覚ましたリンは、起き上がりながら言いました。


「ひかれてなんかないよ。私はリンが誘拐されたって聞いたから助けにきたの。私たち、友達でしょ?」


「そうか、アリス、無事だったんだな……よかった」


「ばか……リンは私の心配する前に自分の心配しなよ」


 言いながら、私は鉄格子を両手でつかみ外側に押し開きま……あれ、びくともしません。え、なんで?私、本気出してるんだけど。


「ん~~!」


 悪戦苦闘をはじめた私の肩をたたき、「あなたの本気は見せてもらったわ」と隊員さんは言います。


「いやこれは違くて……その、『本気を出したいときに使う魔法』っていうのがあってですね」


「それも知ってる。さっき読んだわ。いったん落ち着いて冷静に考えなさい。いくら本気を出したからって、強化された鉄格子が曲がるわけ……サザンカ、どうしたの?」


 サザンカのほうを振り返ると、落ち着かない様子で動き回りはじめ、やがて「ふせ」の体勢を取りました。


「……分かったわ。アリスちゃん、いったん上に戻るわよ。あいつらがこっちに来たみたい」


「はい……ごめんね、リン。助けられると思ったんだけど、なんもできなかった」


「あたしは、アリスが来てくれただけでうれしいよ。そうだ、あたしがここから出たら宿題見せてくれよ。今日、先生に会ったときに約束しただろ」


「うん、いいよ。好きなだけ見せる。だから、もうちょっとだけ待ってて。またすぐに帰ってくるから」


 隊員さんに手伝ってもらい上に出ると、だんだんあいつらの声が近づいてくるのが分かりました。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ