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23.奇跡のバーゲンセール


 エルフの国に向かう途中、ボロボロの村と村人を発見。

 私はポーションを使って、けが人を治し、また死んだ人を蘇生した。


 さっきの幼女ちゃんのお父さんお母さんを直した後、蘇生ポーションを使って、村人たちを蘇生していった。


「おお!」「素晴らしい!」「死んだ人が生き返るなんて!」

「「「聖女様!」」」


 村人たちがそういう。いやいや、私聖女じゃなくって、錬金術師なんですよ。


 蘇生をあらかた終えたあと、私は村の中を移動。

 ふと、エルフのゼニスちゃんが私に問うてくる。


「……そういえば、蘇生ポーションは手分けして使わないんですね」

「お、いいとこに気づくね。そうなの。上級ポーション、別名、魔法ポーションは作った人間の魔力を流さないと効果を発揮しないのよ」

「……なるほど。魔法と仕組みは似てますね。術式に魔力を流すことで、魔法が発動する。この場合は術式がポーションですが」

「そゆこと。不便よねぇ。いずれ上級ポーションも、誰もが使えるものにできるよう、手を加えるつもりよ」


 そんなこんな雑談しながら、私は半壊した家に到着。

 てゆーか、村の家大体ぶっ壊れてるわね……。


「聖女様、何をなさるおつもりでしょうか?」

「家がないと不便でしょ。てことで直します。あと聖女じゃないんで、そこんとこよろしく」


 私はメイドのシェルジュから、次なる上級ポーションを受け取る。

 蓋を開けて、壊れた家にぶっかける。


「み、みろ! 家が!」「時が巻き戻ってるかのように、元通りに!?」


 砕け散ったレンガが逆再生するかのごとく元の位置に戻っていき、あっという間にレンガの家が完成。


「す、すごい! 奇跡だ!」「神の奇跡だ!」「聖女様すげえええ!」


 なんかもうツッコミいれるのも面倒ねえ。

 はーあ、錬金術師って何度言ったらわかってくれるかしら。


 ゼニスちゃんが驚愕しながら言う。


「……い、今のは修復魔法ですか? 古代魔法の」

「いや、回帰リバースポーション」

「リバース……?」

「時空間をゆがめて、壊れる前の物体に戻すポーションね」

「…………」


 ゼニスちゃんは困惑顔で首をかしげてる。


「あれ、シェルジュ? 私何かおかしなことした?」

「錬金術師ではないゼニス様に、突然専門的な知識をひけらかし、悦に浸っておりました。以上」


 浸ってないての。まったくお口の悪いメイドさんね。

 ゼニスちゃんがうんうんと唸っているところに、トーカちゃんがやってきて、脳天気な笑みを浮かべながら肩を叩く。


「主殿のお考えは、我々のような凡人には理解できませぬ。考えても意味がありませぬ! 今はできることをしましょうぞ!」

「……そ、そうですね。セイ様、炊き出しの準備をして参ります」

「おっけー。よろしくー」


 ダフネちゃん、シェルジュを連れて、私は壊れた建物を直しまくった。

 うさみみ奴隷ちゃんは耳がいいので、がれきの下に埋もれてるけが人をすぐに見つけ出してくれる。


 ロボメイドのロボパワーでがれきをどけて、ポーションで治療。

 壊れた建物を回帰ポーションで直す。


「マスター」

「なぁに?」

「この活動に意味はありますか? ポーションを無駄に消費してるだけに思えます。以上」

「意味はあるわよ。作ったポーションの試運転」

「ポーションの数も有限ではありませんか? 以上」

「使わないで取っといても、腐るだけでしょ。なら使い時にガンガン使った方がいい。データとれるし、みんな笑顔で一石二鳥、ってね」


 まああとは、こんな惨状見せつけられて、でも自分には、どうにかする力があるというのに、見過ごす。

 そんなことしたら、気持ちよく旅できないじゃない。


 絶対に嫌な思いするわ。

 別に私はあの人たちが言うように、聖人君子でもなければ聖女でもない。


「私がそうしたいから、そうしてるだけさ」

「どや顔でかっこつけてますが、単にわがままなだけでは? 以上」

「あーあー、きこえなーい」


 回帰ポーションの力で、壊れた建物などを直した。ほんと便利ねえこれ。

 まあ結構たくさん作ったし、しばらくはストック切れることはないだろう。


 もし切れたとしても、工房で作ればいい話だしね。

 師匠の工房は全国にたくさんあるし(大体放置されてるけども)。


「す、すごい……まるで夢でも見ているようです」


 すっかり元通りになった村を見て、村長が涙を流してる。

 夢じゃなくて現実ですよ。


「聖女様、ありがとうございます!」

「いえいえ」


 その後村人たちにご飯を振る舞うゼニスちゃんたち。

 ただのスープなんだが……。


「う、うぉおお! うめえ!」「こんな美味いスープ初めてだぜえ!」


 奴隷ちゃんたちの作ったスープを大絶賛する村人たち。

 作ったゼニスちゃんたちは、首をかしげていた。


「……ただのスープのつもりだったのですが」

「変わったものといえば、主殿からいただいた、この調味料でござろうか」


 私が片手間で調合した、秘伝の調味料を渡してたのである。


「聖女様! すごいおいしいです! このスープ、一体何を入れたのですか!?」

「これです」


 シェルジュから瓶をもらい、村人たちに見せる。

 瓶に入った、黒い液体だ。


「これは入れれば大抵のものがおいしくなる調味料……です」


 適当に作ったものなので別に名前とかない。

 すると、おお……! と村人たちが歓声を上げる。


「すごい調味料だ!」「セイ様のお作りに成られた調味料……」「【セイ油】なんてどうだろうか!」「それだ! セイ油だ!」


 なんか知らないうちに調味料の名前にされてるし!

 は、恥ずかしいわー……。


「セイ油すげえ! 卵とあう!」「何にでもあう!」「すごい……! 聖女様は、ポーション作りだけでなく、このような素晴らしい発明までなさるなんて!」


 どれも別にそこまでたいしたもんじゃないと思うんだけど。

 村人たちからはなんか、めちゃくちゃ感謝されたのだった。


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― 新着の感想 ―
正式名称はソイポーションとかかしら。
[一言] 魔法ポーションの安全機構ってことは ワームぶっ飛ばした爆薬は実は下級なのでは?
[一言] 悪魔の発明照り焼きソースまであと1ミリ秒ぐらいだな…。
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