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【完結】天才錬金術師は気ままに旅する〜500年後の世界で目覚めた世界最高の元宮廷錬金術師、ポーション作りで聖女さま扱いされる〜  作者: 茨木野


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201/215

201.愛



 天空城の広間にて。

 私の可愛い奴隷ちゃんズと娘達が、雑魚の相手をしてくれてる。


 私とシェルジュは、師匠との最後のバトルに挑んでいた。


「どうして……」


 ぼそり、と師匠がつぶやく。

 こちらをにらみつける師匠の目には、怒りの炎が宿っていた。


「どうして!? どうしてわかってくれないのさ! 君がぼくを殺せば、君は英雄となる! 神となって永遠にたたえられる!」


 こいつは……。

 ほんっとバカっつーか。


「あんた……ちょっと押しつけがましいんですよ」


 ……驚いた。私では無く、シェルジュが、私の心を代弁して見せたのだ。


「なんだと?」

「セイ様の心を無視して、自分のしたいことを押しつけて……。本当に自分勝手なんですよ、あんたは」


 なんとも、まあ。成長したもんだな。このロボメイド。

 私が言いたいことを、察して、ちゃんと言ってくれた。


 私の気持ちをくんで。


「ロボのくせに……」

「ふっ……確かにロボですが、しかし今はただのロボではありません。愛する人と旅し……愛を知ったロボですので」


 ……なーに詩的なこといってるんだか、こいつ。

 けれど……師匠の命令で、五百年近く、賢者の塔を守っていた頃のこいつと比べたら、今のこいつのほうがずっといい。


「ま、ロボメイドの言う通りよ。バカ師匠。あんたもうちょっと人の心知りなさいよ。ああ……」


 そうか。


「だから、あんたは人の心を持ったロボメイド……シェルジュを作れなかったのね」


 何でも作れる凄い錬金術師の、師匠。

 だけどこの人は、心ってもんをまるで理解していなかった。


 自分が知らないもの、言語化できないものを、具現化できるわけがない。


 ……そっか。

 だからこそ……。


「あんたは、わたしから愛されたかったのか」


 ……やっと私はこのアホ師匠のことを理解できたような気がした。

 そっか。私から愛されたいから、こんな世界規模の、アホをやらかしていたんだ。


 私にとって都合の良い世界を作れば、私は喜んでくれるだろう。愛してくれるだろう……ってね。


 ……はぁ。ったく、もぉおお!


「勘違いしてんじゃないよ」


 私は師匠のもとへまっすぐ行く。

 シェルジュが狙撃の準備をしていた。


 私は振り返る。

 シェルジュはそれだけで、意図が伝わったようだ。


 すっ……と銃口が下がる。

 私は師匠のもとへまっすぐ向かう。


 私の手には、特級ポーション。

 崩壊のポーションが握られてる。


「さぁ、そうだよ! セイちゃん! その崩壊のポーションをあとはぼくに振りかけるだけだ! そうすればぼくは完全に消滅し、君は神に……」


 ふわり……と。

 私は師匠を正面から抱きしめる。


「…………………………は?」

「バカ師匠。あんたを殺すわけないじゃん」


「な、んで……?」


 なんで?

 そんなこともわからないのか。だから、あんたはバカなんだよ。


「私があんたのこと、愛してるからよ」

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