201.愛
天空城の広間にて。
私の可愛い奴隷ちゃんズと娘達が、雑魚の相手をしてくれてる。
私とシェルジュは、師匠との最後のバトルに挑んでいた。
「どうして……」
ぼそり、と師匠がつぶやく。
こちらをにらみつける師匠の目には、怒りの炎が宿っていた。
「どうして!? どうしてわかってくれないのさ! 君がぼくを殺せば、君は英雄となる! 神となって永遠にたたえられる!」
こいつは……。
ほんっとバカっつーか。
「あんた……ちょっと押しつけがましいんですよ」
……驚いた。私では無く、シェルジュが、私の心を代弁して見せたのだ。
「なんだと?」
「セイ様の心を無視して、自分のしたいことを押しつけて……。本当に自分勝手なんですよ、あんたは」
なんとも、まあ。成長したもんだな。このロボメイド。
私が言いたいことを、察して、ちゃんと言ってくれた。
私の気持ちをくんで。
「ロボのくせに……」
「ふっ……確かにロボですが、しかし今はただのロボではありません。愛する人と旅し……愛を知ったロボですので」
……なーに詩的なこといってるんだか、こいつ。
けれど……師匠の命令で、五百年近く、賢者の塔を守っていた頃のこいつと比べたら、今のこいつのほうがずっといい。
「ま、ロボメイドの言う通りよ。バカ師匠。あんたもうちょっと人の心知りなさいよ。ああ……」
そうか。
「だから、あんたは人の心を持ったロボメイド……シェルジュを作れなかったのね」
何でも作れる凄い錬金術師の、師匠。
だけどこの人は、心ってもんをまるで理解していなかった。
自分が知らないもの、言語化できないものを、具現化できるわけがない。
……そっか。
だからこそ……。
「あんたは、人から愛されたかったのか」
……やっと私はこのアホ師匠のことを理解できたような気がした。
そっか。私から愛されたいから、こんな世界規模の、アホをやらかしていたんだ。
私にとって都合の良い世界を作れば、私は喜んでくれるだろう。愛してくれるだろう……ってね。
……はぁ。ったく、もぉおお!
「勘違いしてんじゃないよ」
私は師匠のもとへまっすぐ行く。
シェルジュが狙撃の準備をしていた。
私は振り返る。
シェルジュはそれだけで、意図が伝わったようだ。
すっ……と銃口が下がる。
私は師匠のもとへまっすぐ向かう。
私の手には、特級ポーション。
崩壊のポーションが握られてる。
「さぁ、そうだよ! セイちゃん! その崩壊のポーションをあとはぼくに振りかけるだけだ! そうすればぼくは完全に消滅し、君は神に……」
ふわり……と。
私は師匠を正面から抱きしめる。
「…………………………は?」
「バカ師匠。あんたを殺すわけないじゃん」
「な、んで……?」
なんで?
そんなこともわからないのか。だから、あんたはバカなんだよ。
「私があんたのこと、愛してるからよ」
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