表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】天才錬金術師は気ままに旅する〜500年後の世界で目覚めた世界最高の元宮廷錬金術師、ポーション作りで聖女さま扱いされる〜  作者: 茨木野


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/215

19.メイドをゲットし再出発



 10日後。


「よっし! 準備完了! おつかれーみんな」


「お疲れ様なのです!」

「「…………」」


 元気なのはラビ族のダフネちゃんだけで、火竜人のトーカちゃん、エルフのゼニスちゃんはぐったりしていた。


「どうしたの?」


「しゅ、修行がハードだったもので……ござる」

「……同じく」


 ダフネちゃんが首をかしげる。


「おねえちゃん。ふたりとも……しゅぎょーって、どんなことしてたの?」


 ダフネちゃんは戦闘能力も魔法能力もなかったので、修行はさせていない。



「トーカちゃんは、シェルジュ相手に組み手させてたわ」


 私が上級ポーションを完成させてる間、まずトーカちゃんは戦い方を学んでいた。

 シェルジュとの実戦訓練を繰り返す日々。倒れたら、私特製の回復ポーションの繰り返し。


「実戦経験を積ませたかったのよねー。あと筋繊維を超回復することで、筋力もついたでしょ?」


「う、うむ……前よりタフになったでござるが……その……主殿がスパルタで……」


「スパルタ? 師匠はもっとひどかったわよ。魔物の森にぽーいって私を一人おいてって、サバイバルさせるんだから」


「うぇ!? そ、それで生きていけるのですか!?」


「うん。何度も死にかけたけど、おかげで体力とかついたし。あれと比べたらぬるいでしょ?」


「…………」


 次にゼニスちゃん。


「ゼニスちゃんの修行は、魔力の増強。センスはいいから魔力量を増やそうってことでね。魔法を撃って、魔力が空になったら、魔力ポーションを飲ませるの。そうすると魔力量が増えるのよね」


 私もやったわー。魔力がなくなるまでポーション作って、ぶっ倒れたらそのポーションのんで魔力回復させて……と。


「……飲み過ぎて、うぷ……胃が……」


「でも魔力は増えたでしょ?」


「……はい」


 とまあ、私が師匠から受けた修行よりは、遥かに優しい修行を奴隷ちゃん達にさせたのである。


 まあね、師匠みたいにヒトデナシじゃないから私。いきなりやばい修行なんてさせないわよぅ。


「あ、あのぉう……ちなみに拙者達が途中でもし死んでしまったら……?」


「え、大丈夫よ。そしたら蘇生ポーション飲ませて、すぐに復活させてあげたから!」


「「……そ、蘇生?」」


 はて? と二人が首をかしげてる。


 んん~? あれ、もしかして知らないのかしら。


「死後3秒以内なら、回復ポーションをのませることで、ノーリスクで復活させられるのよ? これぞ【3秒ルール】!」


「…………」


「まあ3秒過ぎても、半日くらいだったら上級ポーションの蘇生ポーション使えば生き返れたし……って、どうしたの?」


 なんか二人とも、口を大きく開いて、目を剥いている。


「すごいのですー! お姉ちゃんは死んだ人も生き返らせることができるなんてー!」


「おお、ありがとうダフネちゃーん♡ よしよし、もふもふだねぇ」


「えへへー♡」


 二人ともどうしたのかしら。難しいことすぎて頭がついてこれないのかしらね。

「……ゼニス。主殿はひょっとして、ただ才能があっただけでなく、とてつもない過酷な修行を経て、今に至ったのでござろうか?」


「……そうね。あの口ぶりからして、おそらく幼い頃にとても苦労なさったのでしょう」


「……下積み時代から苦労してて、宮廷で働いてるときも上司からのパワハラでご苦労を……くぅ!」


「……セイ様はつらい過去がおありなのに、我々にも優しくしてくれる、とても素晴らしいお方だわ。あのお方にふさわしい奴隷となれるよう、より一層努力しましょう」


「……おうともっ!」


 トーカちゃん達がこそこそと何か話してる。


 仲がいいことはなによりだ。


「さて、修行も終わったし、上級ナンバーズポーションの補充も完了! 補給もすんだし、さっそくしゅっぱーつ!」


「「「おー!」」」


 私、奴隷ちゃん達、そして地竜のちーちゃんは、転移ポータルの上に立つ。


 シェルジュだけがポツンと立っていた。

「あんたどうするの?」

「…………」


 シェルジュは答えない。その鉄の体と心は、師匠に作られたもの。


 ここを守れ。ざっくりしすぎた師匠からの命令オーダー


 この律儀な少女は、500年近く一人で、あのお馬鹿な師匠の命令を守っていたのだ。


「おねえちゃーん……」


 ダフネちゃんは私を、懇願するように見上げてくる。


 そーいや、ダフネちゃんはよく、シェルジュと一緒にいたっけ。


 情が移ったんだろうなぁ。


「シェルジュ。命令よ。私についてきなさい」


「……不可能です。この体には、この場の守護をせよと、創造主からの命令が刻まれています。以上」


「あら、そ。じゃ第2案ね」


 ぱちんっ、と私が指を鳴らす。師匠の工房から、1人の魔導人形ゴーレムが現れた。


「! しぇ、シェルジュどのが……もう一人!?」


「シェルジュ・マークⅡよ。私が作ったの」


 オリジナルのシェルジュは、前髪で右目を隠していた。


 けれどマークⅡは、左目を隠している。それ以外は全部一緒だ。


「……すごい。特級魔導人形アルティメット・ゴーレムです。上級ポーションを作っていたのではなかったのですか?」


「その空いた時間に、ちゃちゃーっとね」


「……こんなにも精巧な魔導人形ゴーレムを、片手間で作ってしまわれるなんて……セイ様はすごいです!」


 オリジナル・シェルジュとちがって、マークⅡには生気が感じられない。それもそうだ。まだこの子の中には、なにもないのだ。


「シェルジュ。このマークⅡとあんたの意識をリンクさせる。そうすれば、あんたはここを守りつつ、私たちについてこれる」


「……なるほど。命令はオリジナルのシェルジュさんの術式に刻まれてる。けれどマークⅡのボディにはそれがない」


 術式を修復はできても、書き換えは、作った本人しか行えない。


 ならば、まっさらな、新しいボディを作る。


「また一人で500年過ごすの、いやでしょ? ならついてきなさい。荷物持ちが欲しかったのよ、ちょうど」


 シェルジュには【ストレージ】という機能がついてる。


 たくさんの物を、ため込んでおける機能だ。


 このシェルジュ・マークⅡにも搭載されている。


「……マークⅡボディさえあれば、ストレージ機能は使えるのでは? 以上」


「まーね。でも欲しいときに、欲しいものを取り出すのに苦労するじゃない。ストレージはあくまでもため込んどくだけだし。管理者は必要でしょ?」


 私はシェルジュに手を伸ばす。


 メイドロボは少しの逡巡の後、私の手を取る。


「よし、じゃあパパッとリンクするから。ええと、術式を展開してっと」


 意識の同期自体はそんなに時間かからなかった。


 ややあって。


「よし、荷物持ち&雑用ロボット、ゲットだぜ! あのバカ師匠から女をNTRってやったわ!」


「直接的、かつ下品な言い回しかと思います。あと私は寝取られてません。以上」


「固いわねぇあんた」


魔導人形ゴーレムですから。以上」


 ま、何はともあれだ。

 こうして私は、ストレージ機能付きの雑用ロボットメイドを、仲間に加えたのだった。


「改めて、しゅっぱーつ!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ