168.聖女城
その後も、工房の中を見て回った。
概ね……というか、私が指定した設備は、すべて、そなえつけられていた。
恐るべし……ドワーフの技術力……!
ただ……。
「至る所に、私の顔を彫ってるの、なんなの……?」
作ってもらった魔道具にはじまり、廊下、階段、はては城壁(何故工房に……?)に至るまで、私の顔が掘られていたのだ。
「聖女様の威光を知らしめるためでございます!」
とは、テテロロ。
うーん……威光とかいらないんだけどなぁ。
「ふむ。ダメダメですね」
シェルジュが、城壁に描かれてる私の顔を見て言う。
「何が駄目なのよ?」
「本物のマスターの方が、美しい」
「あ、そ」
まあこのロボに言われてもね。別に嬉しくない。
「ツンデレ乙。それは何割のデレなんですか?」
「ねえよ」
なぜこのポンコツロボにデレないといけないのだ……?
しかし、ダフネちゃんが目を輝かせてこんなことを言う。
「わぁ! わぁ! おねえちゃんのお顔! 素敵―!」
「でへへ~♡ そう~♡」
「はいなのです! ね、スィちゃんリンちゃん?」
スィちゃんと……リーンフォースがこくこくとうなずく。
てゆーか、リンちゃんって。あだなを付けてもらったのね。
ふふふ。娘と仲良くしてくれるなんて、うれしいわー。
素敵っていってくれて、うれしいわ~。
「マスター。差別です。ワタシが全く同じセリフを言ったのにときめいてくれないのに、なぜダフネの言葉にデレデレになってるのですか?」
「だってダフネちゃん可愛いし」
「意味不明……ねえねえマスター。ワタシも褒めたんだから褒めてくださいよ~。ねえーねー」
あー……うっざ。
ひっつくシェルジュをぐいぐいと押しのける。ま、なんにしても、だ。
デザインはともあれ、私の注文したとおりの、工房を作ってもらった。
「ありがとね、テテロロ」
「どういたしまして! 聖女様!」




