144.巨神と聖女
《リーンフォースSide》
セイが作り出したホムンクルス、リーンフォース……。
彼女はセイを探しにこの氷の国までやってきたのだが。
しかし途中でトロルたちと戦闘となるも、子供を守るために負傷する。
「…………」
リーンフォースが目を覚ますと、そこは見覚えのない場所だった。
四方を氷の壁や天井で包まれている。
一瞬だけ、氷の洞窟だろうかと考えて、否定する。
まるで城のように中は広く、それでいてシャンデリアなどの内装がきちんとされていたからだ。
「氷の城……」
「その通り。ここはわし……巨神王スリュムの城」
氷の玉座に座っているのは……。
小柄な男だった。
巨神王という割に、身長は150センチくらいだろうか。
青い肌の、美青年がそこに座っている。
「くく……どうした聖女。わしが小さくて驚いてるか? ん? この姿は本来の姿にあらず。わしが本気を出したら、この大陸は沈んでしまうからなぁ」
誰も聞いていないのに、勝手にしゃべるスリュム……。
リーンフォースは自分が置かれている状況を理解する。
自分はトロルたちの親玉に、捕まってしまった。
ここは敵のアジトである……ということだ。
「…………」
リーンフォースは別に、目の前のスリュムに対して敵意も怒りもわかない。
彼女の目的はただ一つ。
親である、セイに再び会うことだけだ。
彼女は立ち上がって、セイのもとへいこうとする。
すぐ近くに母は居る。
もうちょっと出会えるのだ。
がきんっ! と何かに引っ張られてリーンフォースは転ぶ。
その足には氷の頑丈そうな鎖が付けられていた。
「無駄だ。その鎖は決して壊れることはない。貴様は逃がさないぞ。わしの愛玩用として、飼ってやるつもりだからなぁ……ぎゃはははあ!」
ふつふつと怒りがわいていた。
親との再会を、そんなくだらない理由で邪魔されたのだから。
「……消す」
ごおお……! とリーンフォースのプレッシャーが跳ね上がる。
にやりとスリュムが笑う。
「いいな。貴様のような生きの良い女は嫌いじゃないぞ。どれ……ちょっとわからせてやるか」
【★新作投稿しました!】
先日の短編が好評だったので、連載版はじめました!
『【連載版】迷宮の聖女は魔物達から溺愛されてる~追放された私、奈落の森に捨てられるも、神に祈りを捧げていたら、いつの間にかそこが聖域化していた「国が亡びるからと王子が君を連れ戻しに来たけど撃退しといた」』
ページ下部↓にもリンクを用意してありますので、ぜひぜひ読んでみてください!
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