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【完結】天才錬金術師は気ままに旅する〜500年後の世界で目覚めた世界最高の元宮廷錬金術師、ポーション作りで聖女さま扱いされる〜  作者: 茨木野


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110.傲慢なる空の魔神



 そこに一柱の魔神がいる。

 名前を、炎の魔神ドゥルジといった。


 人間達の暮らす人間界。それとは別の高次元……神々の住まう世界、天界。


 ドゥルジは素行の悪さがたたって天界を追放された神の一柱だ。

 

 魔神には二種類存在する。

 元から神だったもの。

 魔法などの技術を極める、あるいは技術を作り、神に至ったもの。


 ヴィーヴルやトリトンは後者。

 そしてドゥルジは前者だった。


 ドゥルジは後者の新しき魔神達を見下していた。

 所詮はまがい物であると。


 生まれたときから神であった自分は、そこいらの魔神とは違うと。

 人間どもと同様、下等な生物だと見下していた。


 ドゥルジは遥か上空、天空の城に拠点を構えている。

 彼は比類無き破壊の炎を持つ。


 自分が本気を出せば、人間どもを含めた下等生物たちは一瞬で灰燼に帰す。

 やろうと思えば人間界の破壊などいつでもできる。


 だが真の強者とは、そんな下等生物相手に力などそもそも使わないもの。

 人間達は、自分の気まぐれで生きてるに過ぎない。


 人間達は、知らない。いつだって自分たちの命を、スイッチを切るかのごとく、容易く消せる遥か上位存在がいることを。

 遥か上空から、物理的、精神的に人間達を見下すのを、何よりも楽しみにしている。


 それが……ドゥルジという魔神だった。

『ふむ? 余の火の鳥が打ち破られた……?』


 自分の城に近づく物を、自動で迎撃する炎の術式が消えた。

 術式の不具合ではない。人為的に消してきたのだ。


『くく……まさか、あのトカゲども。また愚かにもこの空の王に挑もうというのかぁ?』


 かつて神竜族とかいう、弱者達にからまれたことがある。

 だが軽く一蹴してやった。あれからおとなしくしていたのだが……。


『まあいい。無聊の慰めだ。つきあってやるよ』



 

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