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視覚障害者の日常

作者: ア煌

私、常盤哲也、39歳、あん摩マッサージ指圧師をしております、生まれつきの視覚障害者です。


週3日、月、水、金、と指圧マッサージ店「押ッス」に勤務、私の家から「押ッス」までは公共交通機関のバスを利用して通勤をしております。


私の家とバス停の間の道のりと、お店とバス停の間の道のりは完全に熟知しており、「何処」に「何か」があるのかはっきりと頭の中に入っております。


テレビやラジオで今日は天気が良いと言っておりました、通勤の為に外に出てみると、天気が良いわりには少し肌寒いです。


家を出て、路地を歩き少し大きい通りに出ますと、歩道には点字ブロックがあります。


点字ブロックの上に沿って歩いていると杖が何かに当たりました!、何でしょう??。


ここには何も無いはずです?。


杖の当たった時の感触と音からして金属の塊みたいです?、とりあえず、それを避けるように右側を探索してみます。


金属の塊の右側は開いているようなのでそちらを進むとしましょう。


杖に当たる感触からしてこの金属は車ですかね?、宙に浮いているし、2か所ほど柔らかい感触もしますし!?。


車らしき物の後ろにまわりました、すると、再び点字ブロックにたどり着きました、その点字ブロックを進みなんとかバス停にたどり着きました。


しかし、理由はどうあれ、点字ブロックのある歩道に乗り上げて車を停めるなんて怖いですねぇ。


今回は無事に点字ブロックに戻ることが出来ましたが、戻れなくなると私はその周辺を徘徊してしまいますのでお気をつけ下さいませ。


バスが来るまであと、5分くらいです、あっ、私、音声報知式と接触報知式の両方で時間を知る事が出来る腕時計をしておりますので目は見えなくても時間は解ります。


ここのバス停は歩道の奥に2~3段の段差が入口にある小屋があり中にはベンチもあるようですが、目の見えない私にとってはあまり動きたくないので雨の日も雪の日も小屋を利用しようとは思いません。


時々、「中にどうですか?。」と誘われますが私より1~2本早く来るバスに乗る方に言われても困ります、私はいつもこのバス停で知り合う同じバスを利用する人のお誘いしか受けないのでその辺のところはご了承お願いいたします。


私が利用するバスが来ました、昔のバスは地面から3~4段ほどの段差を上がりましたが、今のバスは地面から1~2段ほどの段差に変わったので大変楽です。


ただ~、最近のバスは製造会社や型式などで内部構造が大きく違う点が沢山あります、ですからたまに乗った事の無い製造会社や型式のバスが来ますと乗降口の段差が解らないし、降車ボタンの位置も全然違いますし、つり革の位置や高さも全然違いますし、座席の位置も全然違うので目が見えない者にとっては未知なる領域としか言えません、なるべく各社共通の内部構造にして欲しいものです。


昔のバスは乗車券と現金を料金箱に投げ入れるだけみたいなようでしたが、最近の料金箱はカード決済が主流になりつつあるみたいなんですが、現金の時よりワンアクション多い為か乗降する人が多いと時間が掛かるようになりました!、それでもバス会社はスマートなんちゃらとか言って順次車両を変えていくみたいです。


さて、バスが目的地に着いたみたいなので私はここで降ります。


バスから降りました、今日はお店の4~5件隣にある内科に寄ってからお店に行くのですが、ここの内科は駐車場が大きく歩道から病院の入口までが遠いです。


とにかく、駐車場を歩いていますと左側から車の音が近づいてきましたので、私は一旦止まります、そして、相手の車が過ぎ去るのを待つか、車が一時停止してそのまま動かない場合は私は前に進みます。


内科での用事が済み、薬局にお薬を貰いに行くのですが、これがまた大きい駐車場内を歩くわけです、歩いていると前から車が近づいて来たみたいです?、その車、止まりました!、するとすぐにその車から人が降りたみたいです。


車から降りた人は男の人です

「車を止める場所にいて危ないですよ、薬局に行かれるんですよね?、案内しますから私の肘に手を添えて下さい。」


そう言っていただけたので、介助してもらう事にしました。


この男の人は看護か介護の経験があるのか私の歩数と歩幅に合わせて歩いているみたいです、助かります、時々、私を介助してくれる人達がいますが、歩数や歩幅に気が付く人は少ないです、目が見えない私にとって歩かされるスピードは大切なんですよ。


どうやら薬局についたみたいで男の人が

「着きました、ここ、段差があるので気を付けてください。」

そう言って男の人は車の方に戻ったみたいです。


薬局での用事が終わり、お店に向かいました。


歩道を歩いていると、時々、私の横を「シャーーー」っと多分自転車でしょう?、たまに「右側を通りますよ。」と声を掛けてきてくれる人がいますがこれは嬉しい事です。


でも、ほとんどの自転車が声掛けも無く、それなりの速さで歩道を走っているようです、歩道での自転車は「徐行で走る事」と聞いたのですが「徐行」とはそれなりの速さで進む事なのでしょうか?、疑問に思います。


お店に着きました。


このお店は元々コンビニだった店舗を改装して使っているお店で、入り口は当然バリアフリーとか言うものです、元々がコンビニではない物件だと入り口にどうしても段差があるらしく、私のような従業員を抱えていますと物件探しで一苦労あるみたいです、オーナー様には感謝です。


今日は数人のお客様をお相手いたしました、その内の1人から

「自転車に乗っている連中、一時停止しないで交差点に入ってくるから怖いんだよね、そんな自転車の連中を轢いても悪いのは一方的に俺ら車の運転手だって言われるしな!。」


そんなご時世なので、今やドライブレコーダーと言うのが必要らしいです、私もそれは欲しいなとは思いました、何かがあった時に目の見えない私が何を言っても確証となる物が無いのです、だから時々私の杖が当たって物が傷ついたとか物が壊れたとか言われる事がありますのでね、でも、歩行者用のドライブレコーダーって無いんでしょうね?!。


さて、お仕事終了の時間のようです、外はすっかり暗くなったそうですが、全盲の私にはあまり変わりません!。


後はまた、いつもの道をいつものように歩いてバスに乗って帰宅するだけです。


では、さようならです。


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