第一章 小説を書きたいが、何を書いたらいいか分からない
書きたいお話や設定が決まっている方は第二章からお読み下さい。
1.“オリジナル”は作れない
恋愛とか、バトルとか、サスペンスとかで、好きなシチュエーションはありますか?書きたいテーマがなにもないという人は、みんながワイワイやっているのが楽しそうだから参加したくなったんでしょうか?何を書いたらいいか分からない場合、とにかくなんでもいいので作品に触れましょう。本とか、映画とか、漫画でもアニメでも音楽でもいいです。知見を広げるために好きでもないジャンルの難しい本を幅広く読めとおっしゃる先生もいますが、そんなのは苦行ですので、とりあえず手に入るもの、読みやすいもの、観やすいものから始めましょう。そうしたら少しずつ「自分にも書けそう」と思えるシチュエーションが見えてくるはずです。……見えてこない?なら、あなた自身の人生経験を引っ張り出して小説のネタに使いましょう。つらかったこと、楽しかったこと、ありますよね?
人間は石ころではないので、必ず見聞きした何かの影響を受けて生きています。あなたの見つけたテーマが有名作品のn番煎じだとしても、恐れることはありません。有名作品だって分解してみれば過去の名作の要素を組み合わせただけですし、古代人が何百年、何千年もの時間の中で育んだ神話や伝説がもつ異常な汎用性は誰も超えられません。さらにいえば、神話や伝説だって過去の歴史や自然現象が元ネタです。オリジナル作品が“オリジナル”といわれるのは、過去の作品と多少違うところがあるからにすぎません。盗作はいけませんが、あなたの見聞きした作品にあなたなりの解釈を加えるつもりで執筆しましょう。元ネタは多ければ多いほどいいです。
2.本を疑え
小説とは感想文です。感想文を書くコツは、あなたが触れた作品の主張を「作者はこう言っているけど、本当にそうかしら?」と疑ってかかることです。「面白かった!」ならまだしも、感想が「ふーん」だけでは何も書けません。アポロ計画の有人月面探査を疑い「人類は月に行っていない」と主張する人達がいます。彼らの言い分は支離滅裂ですが、SFとしては面白い考え方で、実際、彼らの陰謀論をイメージソースにSF映画まで作られました。感想は、それが的確かどうかはさておき、お話のネタになるんです。
小説のネタ集めのために観た映画がつまらなかったとしましょう。どこがつまらなかったですか?どうすれば面白くなりますか?あなたが監督なら、どんな展開にしますか?ほら、もうオリジナル小説のネタができそうですね。