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400文字小説

雨宿り

作者: 船生龍之介

 赤信号で立ち止まり、通勤快速が来るのを

待ち、評判の店の前に並び、俺はただ目の前

で目減りしていく時間を眺めていた。

 人生はつかの間の雨宿りみたいなものだと

古い詩人が言った。人々は狭い軒下に立ち止

まっては去り、またやってくる。実のところ

俺はこの軒下から一歩踏み出してしまいたい

という欲求を抱きつつあった。もう待つのに

は飽きた。雨の中に姿形が消えてしまうとし

ても、もう構わない。

 気に入っていた近所のラーメン屋はいつの

間にか潰れて空きテナントとなり、そしてコ

インランドリーになった。俺は目の前で渦を

巻く衣服を眺めながら椅子に腰掛けていた。

砂時計の砂が確実に溜まっていくのを感じな

がら。

 衣服の乾燥が終わっても俺はコインランド

リーに残っていた。激しい雨が窓に打ち付け

ている。だから俺は待った。それからしばら

くして雨が止んでも、俺は待ち続けた。

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