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蛇使い

作者: 七夕ハル

 私の家は小高い丘にある。近くには、巨大なスーパーマーケットがある。これでもか!というほどの商品であふれている。ある日、スーパーに行くと、巨大な蛇がプラスチックの水槽に入れられていた。売値を見ると、書いていない。気になったので、近くにいた店員さんに聞いてみる。店員さんは、何も知らない新米のようだった。上司に聞いてきます。行ってしまった。しばらくぼんやり蛇をみる。茶色の模様が、さざ波のように、くっきりと体にはりついている。蛇の真正面に陣取り、じっと顔を見る。蛇は、恥ずかしがったのだろうか。水槽に置かれていた陶器でできた置物の陰に隠れてしまう。私は、反対側から、再び蛇とにらみ合いたいと思ったが、蛇はまたもや、プイとそっぽを向いてしまう。私と蛇は、何回か、にらめっこをしたが、私の不戦勝だった。蛇は、決して私を見ない。その時、さっきの店員が帰ってきた。これは、店の物ではないと言う。では、誰の物か。店員は、首を傾げる。そして、彼女は、蛇を掴み踊り始める。思わずみとれてしまう。彼女の踊りは、とても官能的で、キュートだ。笛でもあったら、蛇使いに化けることもたやすかったろう。店員であると思っていた彼女が、実はダンサーだったなんて、しゃれている。昔見たミュージカルを思い出す。ライオンキング。思い出せるかぎり、彼女のダンスはプロのダンサーにもひけをとらない。ただ、音楽がない。それが、少し寂しい。と、彼女と蛇の踊りを見ていた一人の青年が、リュックからフルートを取り出して、吹き始める。とたんに、彩り豊かな空間ができあがる。君のために、できることはあるかい?そういうメッセージ。私は、どんどん深い眠りに誘われていく。眠ってください。彼女が答えた気がする。終わったんだ。もう、私の買い物は、終わったんだ。私は昼食を買いに来て伴侶を手に入れたのだ。薄幸から、濃幸へ。人は移り変わる。どこまでも。どこまでも。

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