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Ep.29 ビーチの一幕・スプリング兄弟編



『ちなみに、その後スプリング兄弟から出たビーチ遊びのご意見は“サンドアート”なる芸術的な物でした。』




ルビー王女は、すぐに助けに行けたのと医師の素早い処置のお陰ですぐに起き上がった。

その後、今回の勝手な行動についてちゃんと妹に注意をしたいからとクォーツ皇子が言ったので、私とレインは一旦アースランド兄妹とライト皇子から離れて桟橋の方に向かった。


「はぁ……、それにしてもルビー王女が無事でよかったねぇ。」


「うん。それにしても、二人には悪いことしちゃったな。気遣いが足りなかったね……。」


桟橋に向かう間、私はさっき握っていたクォーツ皇子の冷たい指先を思い出していた。

考えてみたら、“海”と“泳ぐ”の単語にあからさまに反応してたもんね……。


「よし、せめてこの後は楽しく遊べるようにしなきゃね!」


「うん!でも何する?」


「うーん、それはフェザー様とフライ様と合流して皆の意見聞いてから決めればいいんじゃない?」


私の考えで決めたらまた失敗しそうだし。


「あれっ、フローラちゃん、遊ばないの?」


「あっ、フェザー様!」


話しながら歩いていたら、いつの間にかクルーザーから降りてきたフェザー皇子とフライ皇子がすぐ目の前に居た。

どうやら、向こうも降りてすぐにこっちに向かって来ていたらしい。




「えぇ、ちょっとハプニングがありまして。」


「え?」


「詳しくは歩きながらお話致しますわ。参りましょう。」


「うっ、うん。じゃあ行こうか……。」




フェザー皇子が、『フライも、行くよ』と少し後ろを歩いているフライ皇子の手を引いて歩きだした。


「――……フローラの“外用性格”もなかなかの完成度だと思うな。」


「あら?レインさん、何か仰いましたか?」


「いいえ、何でもございませんわ。すぐに参ります。」



あれ?今、確かに何か言ってたように聞こえたんだけど……。

まぁいいか。












―――――――――


「そっか、クォーツ達泳げなかったんだ……。」


「はい……。」


あぁ、このリアクションだとやっぱりこの二人も知らなかったんだ。


フライ皇子も流石にルビー王女が溺れたことには驚いた見たいで、いつもの微笑みが消えて目を見開いてた。



「それで、このまま解散ではあんまりですので、皆で一緒に楽しめる遊びを考えて居たんです。フェザー様、フライ様、何か良いご意見はございませんか?」


「うーん、そうだなぁ……。」


「ところでフローラ様、何故僕と兄様に意見を?遊びの案ならライトの方がきっと豊富ですよ。」


あー、やっぱあの面子の中で一番のレジャー好きなんだね。

でも今回は……


「多人数で遊ぶ為のご意見ですので、仲の良いお二人にお尋ねした方が良いかと思いましたの。もちろん、後でライト様達のご意見も伺いますが。」




と、言うのが私の見解なのです。

何となくさ、仲の良い兄弟が居る子達のが遊びのバリエーション多そうな気がしない?

まぁ今回は遊び場がビーチだから出来ることは限られてるけどさ。


――……ん?


「あの、フェザー様、フライ様……。」


何でそんなにガン見してくるんですか。


そんな気持ちを込めて、視線を向けてくる二人を見つめ返せば、よく似た二人が同時に困ったように微笑んだ。

ただ、フライ皇子の方が若干余裕がある笑みに見えるけど。



私はどうしたら良いかわからずに、とりあえず二人のそんな様子を見ていた。

ってかさっきからレインが完全に空気なんですが良いんですか?

名前は雨なのに空気と化すとか良くないと思うんだ。



そう思ってチラッとレインの方を見たら、これまた良い笑顔で“グッ”と形を作った右手をつきだされた。

――……と、とりあえず気にしてないみたいね。




「ねぇフローラちゃん、初めて会った日も言ってたけど、僕達が“仲が良い”ってどうして確定して話せるの?」


「えっ?あ……」


ちょっとレインの方に気を取られたそのタイミングでフェザー皇子にそう聞かれた。


慌ててそっちに視線を戻せば、フェザー皇子が苦笑いで私を見ている。

何で?何でって……。


「――……僕達に対する社交界の噂、少し位は知ってるよね?」



あぁ、二年生の時レインから聞いたアレか……。

もちろん聞いてるけどね、社交界の人達は根も葉もない噂大好きだし。




「それはですね、」


「うん。」


「私は基本自分の目で見たままを信じるからですわ。」


「「……はい?」」


おぉ、ハモった。息ピッタリですな。




「私は基本的に、噂は八割型嘘と誇張だと思って聞くことにしておりますから。」


「えっと、理由を聞いてもいいかな?」


一瞬目を点にしたフェザー皇子が、私の肩に手を置いて尋ねてきた。


「だって、物事の感じ方なんて人それぞれだとわかり切っているではありませんか。」


“いい人”と“悪い人”と基準。仲が良い、悪いの定義。

好きになる人、嫌いになる人……。

そんなのの判断基準は十人十色だ。

人が勝手に判断して語った噂話を信じて、自分の考えを消しちゃうなんて馬鹿げてるじゃない?


「……ふふっ。」


「ーっ!?」


「あははははっ!」


えっ、そんな笑うこと!?

どうしたフライ皇子、壊れたか!!?

てっきりあの図書館で話した日みたいにキツイ眼差しで睨まれるかと思ってたのに!




「あーごめん、気にしないであげて。それから……、ありがとう。」


「????」




何が何だかわからず?を浮かべ捲っていたら、『良いから“はい”って言っときな』とフェザー皇子に言われたのでとりあえず頷いておいた。


ところでフェザー皇子、貴方の弟君が先ほどから笑いすぎて呼吸が荒くなってますが良いんですか?


~Ep.29 ビーチの一幕・スプリング兄弟編~




『ちなみに、その後スプリング兄弟から出たビーチ遊びのご意見は“サンドアート”なる芸術的な物でした。』




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