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Ep.259 地滑り的に大勝利

  翌日は、朝から天気が悪かった。と言っても、大会の後処理と、来週から始まるテスト期間の為に授業はまだお休みなので、別に何ら問題はないのだが。


「フローラ、どっかいくの?外雷鳴ってるのに」


「うん、ちょっとお出掛け。お留守番よろしくね。はい、お駄賃」


  実は雷は少し苦手で、音が響くだけでびくりと肩を跳ねさせるフローラがこんな嵐の日に外へいくなんて、と疑わしい顔をしているブランの口に、一枚のクッキーを押し込んだ。

  サクサクと口当たりのよさそうな音を立てながらそれを飲み込んだブランが、うっとりと残りのクッキーが入った袋に頬擦りしだす。


「ライトからもらったマタタビを練り込んだ特別製よ、ゆっくり召し上がれ」


  昨日、自分の我が儘に巻き込んで危険な目に合わせてしまったお詫びも兼ねたクッキーは、喜んで貰えたようだ。やはり使い魔であっても、猫はマタタビが好きらしい。あげすぎは良くないらしいので、量には注意が必要だけど。


(これなら、あの子にも効くかしら。身体は黒猫ちゃんだものね。まぁ、食べてくれればの話だけど)


  初等科の頃クォーツに貰ったバスケットに、焼き立てのクッキーを二種類詰めて、フライに貰ったドレスを着て。仕上げに、御守りとしてライトに貰ったネックレスを首にかける。会いに行く相手が相手だ。武装はきっちりとしなくては。

  自分の為にと、大切な仲間たちが想いを込めてくれた贈り物。身につければその想いが、絆が、自分をいつでも護ってくれる。だから、自分は、今から会いに行くヒロインには負けない。


  最後に壁に立て掛けていた剣を持ち、ブランにひと言声をかける。


「それじゃあ、行ってきます」


  そう部屋から踏み出した時、建物が震えるほどの雷鳴が響いたが、剣とバスケットと言う不釣り合いな二つのアイテムで両手の塞がったフローラが身を縮こまらせる事はなかった。













ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


  ガシャンッと、ガラスの飛び散る音が響いた。窓を揺らす程の雷雨の音でも掻き消せないほど激しく、少女が物を黒猫に向かい、投げまくる。


「落ち着いて下さいませ、我が美しき主君よ」


  飛んでくるものは、少女が使うには立派すぎる細工の施されたワイングラスや、宝石のたくさんついた手鏡や、明らかに普通の令嬢ですら滅多にお目にかかれないであろう豪奢なティアラ。全て、『あの憎らしい悪役王女じゃなく私がこの世界の姫なのよ!』と自負する彼女が、篭絡した男達に貢がせた物だ。そこに込められた男達の気持ちなど鑑みないマリンは、只ひたすらに自分の苛立ちを発散するためにそれらを放り投げるのだ。壊れたならまた別の男にもっと良いものを貰えばいいと、そんな傲慢な考えで。今独占状態で使っているこの屋敷だって、他ならぬ今回失脚したケヴィンに建てさせたものなのに。捕縛されたと言うその者を、心配する素振りさえ見せやしない。

  飛び散ったガラス片で自分の頬が切れた事にも構わずに、少女が更にわめき散らす。


「あんたの策が悪いのよ、結局あの女、まだ私の皇子達の婚約者に収まったままじゃない!他の男に孕まされでもすれば、あの女がいかに屑か皇子達だってわかるだろうって言ったのあんたじゃないの!!!」


  とうとう椅子が飛んできた。猫の小さな体でそんなものに潰されれば下手をすれば死んでしまう。しかし、全く動じない黒猫は、前足でそれをちょいとつついて消滅させてしまう。


  その直後、独り暮しには広すぎる屋敷の入り口から、パチパチと手を叩く音が響いた。


  人払いをしたので、今はここには少女と黒猫しか、居ないはず。そもそも黒猫が張った結界を破らなければ入れない筈のここに一体誰が入れるのかと扉の方を見て、そこに佇む一人の皇女の姿に少女が歯噛みした。

  憎々しげな少女と、流石に驚いた様子の黒猫に向かい、傘を閉じた皇女は優雅に膝を折る。


「ごきげんようマリンさん、そちらの猫さんの手品、素敵ですわね」


  先程、椅子を消した場面のことだ。普通の使い魔にはあり得ない程の強い魔力を前に、皇女は全く動じない。ただ、青空のようなブルーのドレスをなびかせながら、マリンの趣味で漆黒に塗りつぶされた階段を一歩ずつ昇ってくる。


「いきなり何の用ですか?私、ケヴィン様が学院から追い出されると聞いて悲しくて悲しくて、誰にも会いたくないの。放っておいて下さい!」


  一瞬で悲劇のヒロインにキャラクターを作り替えたマリンが、錯乱したフリに紛れて上ってきたフローラを螺旋階段から突き落とそうとする。が、その前にフローラは、自ら空中へと飛び退いた。


「……っ!?」


  飛び退いた先は当然、空中だ。しかし、皇女は淡く輝く剣を抱えながら、柔らかな金糸の髪を靡かせながら微笑む。

  ブランの支えなく宙を散歩出来るのは、指輪と剣の共鳴によりフローラ自身に宿る聖なる力が高まっている証拠だ。


  剣から溢れる煌めきの欠片に、嫌そうにノアールが椅子の影に移動する。“闇を打ち払う”と言う古の剣の力、やはり本物だ。ライトに借りてきて良かったと、内心で小さく安堵しながら笑顔を深める。


「いきなり来て驚かせてしまってごめんなさい。こちら、お土産なの。よかったら召し上がってね」


  フローラがバスケットから取り出したクッキーの袋が彼女の手を離れ、白い光に包まれながら宙を動く。そして驚きで後ずさっていたマリンと、剣の力から逃げつつも感情の見えない笑みで二人の少女を見ていたノアールの手に落ちた。


  紫のリボンで可愛らしくラッピングされたそれを床に叩きつけ、か弱いヒロインの仮面をかなぐり捨てたマリンが踏み潰す。

  そして、ニタリとその愛らしい筈の顔に、醜悪な笑みを浮かべた。


「なにこれ、勝利宣言のつもり?本当に嫌みな女ね!」


「あら、おかしな事を言うのね。今回戦ったのは、ライト達とケヴィン様だわ。貴方は彼等を操っただけで、何にもしていないじゃない。いいえ、考えなしの貴女では、『何も出来ない』の間違いかしら?」


  優雅な笑みを乱さないフローラが言う。そもそも、今回の事は初めから勝負にすらなっていなかったのだと。マリンがしたのは、人間を操り人形にしたただの茶番劇だ。


「闘技場裏から結界に入って、これを引き抜いたのは貴女ね。マリンさん、これを抜くことがどういう意味を持つかは知っていたのかしら」


「えぇもちろん。こいつ等の先祖の封印の剣だったんでしょ?困ってるって言うから抜いてあげたの、ヒロインとして当然でしょ?」


  実際には、『初代様のお力が戻れば、貴女様のお望みを叶える事も容易いでしょう』とノアールに囁かれた結果なのだが、さも偉そうな態度でマリンが答える。

  何が人助けか、その封印を、誰がどんな思いで行ったのか、何にも知らないくせに。


「何?まさか、地面にぶっ刺さってた剣を抜いただけで退学にでも出来ると思ってんの?」


「……いいえ、封印の事は、世間的には何も知られていないからそれは無理ね。でも貴女、そこの黒猫さんに唆されて、ケヴィン様に私を襲わせたでしょう?皆に私を嫌わせる為に、そして……ケヴィン様を始末する為にね。ライトへの中傷記事の方は、本来なら高等科が舞台のゲームにあったイベントね?弱った彼につけこんで、攻略するつもりだったのかしら」


  どんなに中身が残念だろうが、フローラは一国の皇女。手を出したとなれば、いくら多少地位のある貴族の嫡男だろうが、ケヴィンもただでは済まない。正直、押し倒して服を引き裂いた今回の件だけでも、場合によっては処刑案件である。

  それがわかっていながらマリンが他ならぬケヴィンをフローラにけしかけたのは、フローラが目障りだっただけじゃない。ケヴィンが要らなくなったからだ。彼は、マリンの攻略キャラではないから。もっといい男を手に入れる、捨て駒にしたに違いない。

  まぁ、わざわざ性的に身体を穢させる方向に導いたのは、先程から無言を貫いているマリンの後ろの黒猫だろうけれど。


「あの男、FDに出てくるおまけキャラであんまいいスチル無いのよね。散々貢がせたからもう金もなかったし、何より独占欲強くてもーうざったいったらなかったのよ!ありがとう、退学にしてくれて。あーっ、せいせいした!」


「……退学で済まずに、処刑になったり、その場で彼が斬り殺されたりしていたらどうするつもりだったの?」


  マリンの言葉に、フローラが眉をひそめながら苦い口調で言う。被害者であるフローラがそれを言うなんて、おかしな話だけども。

  しかし、あっけらかんと笑ったマリンは『だから何?』と笑った。


「死んだところで、あれの勝手な自業自得でしょ?あれが大会にかまけてくれてた間に新しい男も見つかったし、もう要らないわ。死んだら死んだでいいじゃない、所詮は脇役。主人公である私の役に立てたんだから、光栄でしょ」


  “あれ”だなんて、まるで物のような言い方だ。否、彼女にとってはきっと、こちらの世界の人は全て、ただの道具おもちゃに過ぎないのかも知れない。


「なあにその目、文句があるの?あぁ、あるに決まってるか、あんたライバルキャラだもんね。知ってる?あんたが私のすることを邪魔したくなるのも、あんたがどんなに優しくしても周りがあんたより私を好きになるのも、私がヒロインだとこの世界が定めたからよ。だから、彼らも、その指輪も、いずれ私の物になるの、必ずね。って言うか、指輪は元々この私の物でしょ?よく平気な顔で着けてられるわねあんた」


「あら、ごめんなさい?でもこれ、抜けないんですもの」


  本当は、オーヴェロンかタイターニアに頼めば簡単には着脱は可能だし、来週の魔力のテスト時にはもちろん外すつもりだが、それは言わないでおく。

  『あの役立たずがあんたを穢してくれてたら、もうこれは私に返ってきた筈なのに!』と言う言葉で、やはりケヴィンにその為の暗示をかけていただろうと言う予想も確信に変わる。フローラ自身が穢れれば、巫女の資格を失い指輪がこの手から外れる。そんなお粗末な陰謀を巡らせたのだ、小さな黒幕に操られているのは己だと気づかぬままに。


「ーー……その為に貴女が踏み台にしてきた、他の方たちの意思はどうなるの?今回の件で、人生を狂わされた方も多いわ。貴女がライトの噂をタレコミした新聞社が潰れたこと、知っているんでしょう?」


「知ったこっちゃないわ、そんなこと。あんた、まさかメインキャラどころかページの端にいるモブにまで感情移入しちゃうタイプ?気色悪!典型的なオタクね!」


  そう言いながら、マリンが机脇のダーツボードにに飾っていた三枚の写真を手に取り、音を立てて唇をつけた。写っているのは言わずもがな、彼女の狙う攻略対象たち。ボードの下の方には、ズタズタに切り裂かれた自分と、ルビーとレインの写真もあった。フローラが心から大切に思う仲間たちを“キャラクター”だと言い張るマリンを見て、思う。キールが押収してきた名簿を徐に取り出し、そこにあるマリンを想い手を汚した人の多さを見て尚、思う。

  彼女にだって、思ってくれる人は居るのに、同じように、転生してきた者なのに。何故私達はこんなにも、真逆にしか、生きられないのか。


「貴女が何を望んでこの人生を生きているのか、私にはわからない。そんなこと、知りたくもないけど……。私には、主人公だと言い張って好き放題している貴女の方がよっぽどただの人形キャラクターに見えるわ」


  一瞬、マリンが瞬いた。そして見る間に怒りで真っ赤になって、フローラに向かいダーツの矢を投げつける。


「この悪役ごときが!人のことバカにしてんじゃ無いわよ!!!」


  金属製の鋭い矢が、真っ直ぐ自分に飛んでくる。しかし、フローラは敢えて、避けなかった。


  焼かれるような痛みと共に矢が自分の頬を掠め、辺りに鮮血がシミを残す。


  怪我をすれば、血が流れる。大抵の生物なら当たり前のこと。

  しかしマリンは、頬についた血をハンカチで押さえるフローラを見て、ただただ嫌そうな顔をした。自分だって怪我をしていて痛い筈のマリンは、己の痛みには不満を漏らす癖に、他者の痛みなど、知ろうともしない。


「やだ、私の部屋にあんたの汚い血つけないでよね!」


  その言葉に、悲しくなった。怪我が痛いからじゃない。背後で笑っている黒猫に、他ならぬ自分自身が道具にされていると気づきもしない彼女が、あまりにも、哀れで。

  その道化に向かい、取り出した資料の表紙を突きつける。そこに記された新聞社のロゴに、マリンが苦々しく唇を噛んだ。


「新聞社から押収された、ライトの出生についての情報提供者の名簿です。中は見なくても、何方の名前が記されているかはよくご存知でしょう?」


「……っ!あの役立たず共が……っ、それ寄越しなさいよ!」


  名簿には、マリンが誘惑した若き男性教員達の名も多かった。ずっと彼等にテストの情報を流させていたマリンとしては、彼等が罰せられて居なくなるのは、面倒だ。まして、次のテストは来週という間近に迫っているのに。

  焦りのせいか、マリンがむき出しの果物ナイフの刃を掴み、名簿に向かって投げつける。見事なコントロールで名簿に突き刺さったナイフには、ざっくり切れたマリンの手から付着した血が滴り落ちていた。


  そのナイフを引き抜きもせずに、フローラが名簿を床に落とす。衝撃で開いたページを見て、マリンが目を見開いた。


「何よこれ、白紙じゃない!」


「当たり前でしょう。大切な証拠品を、わざわざそれを消したがっている人の前に持ってくるわけないわ」


  表紙だけ無地のノートに付け替えて持ってきたのだ。これに名を記された人物の中に、マリンがテストの情報を横流しさせていた教員が居るのか否か。それだけを、確かめる為に。結果は黒だ、ナイフまで投げてきた事を見れば、一目瞭然だろう。

  キールが残念がっていた通り、資料にマリンの名自体は無い。だから、直接的に彼女を罰するのはまだ難しい。けれど、痛手を負わせること位は出来る。


「名簿にお名前のあった先生方は、懲戒免職となるわ。この意味、わかるわね?」


  もう、マリンのカンニングを助ける者は居ない。そして、マリンが欲しがっているライト達が居る生徒会役員の資格には、成績は必要不可欠なのだから。


「来週のテストが楽しみね、魔力実技学年首位常連の、特待生さん」


「~~っ!!ちょっと!待ちなさいよ!!痛っ……!」


  怒りに任せてフローラの腕を掴もうとしたマリンが、ナイフに割かれた傷の痛みに顔を歪ませる。

  それをちらりと横目で見たフローラが、パチンと指を鳴らした。


「……っ!!」


  フローラの掌から浮かび上がった水球が、血を滴らせるマリンの手を包む。水が一瞬赤黒い波紋を見せたが、それも柔らかな光に浄化され、マリンの傷は見る間に塞がった。

  聖霊の巫女の、癒しの力だ。それを理解した瞬間、マリンが再び癇癪を起こす。


「何よ、嫌味ね!治療なんかして何様のつもり!!?ちょっと、待ちなさいよ!」


「……そんな大怪我したままじゃ、痛いでしょう?」


  わめき散らすマリンに怯むことなく、出口となる扉に手を当てたフローラが振り返る。

  そして、床に落ちたマリンの血を舐めとって魔力に変えているノアールと、そんな事には興味も示さないマリンを見比べる。


「悪いことは言わないから、その黒猫さんには故郷へお帰り頂いた方が良いわ」


  黒猫は、本来なら幸福を運ぶ猫。しかし、他者の幸せを食い潰し、己の欲望しか頭にない人間の前で、幸福が足を止める事など無いだろう。黒猫に前を横切られるような人間には、なりたくない。


「……誰の幸せも願えない人が、自分だけ幸せになろうなんて甘いわ。最期の警告よ、その子とは手を切りなさい。このままだと貴女のエンディングに待っているのは、“死”の一択よ」


  静かに真実を語るフローラを、ノアールは全く邪魔しなかった。マリンにはその最後の温情が届きやしないと、わかっているからだろう。

  事実、マリンは聖女が下した警告を、鼻で笑い飛ばし髪をかきあげた。


「馬鹿じゃない?乙女ゲームのエンディングで死ぬのは悪役だけよ。ヒロインは死なないわ、王子様が助けに来てくれるもの」


「ーー……そう、そうだと良いわね。でも多分、この世界に貴女の王子様は居ないと思うわ」


「はぁ!?何言ってんのよ、居るじゃない三人も!必ず手にいれて見せるから!!!」


「貴女が今欲しがるべきはライトでも、フライでも、クォーツでもなく、テストの問題の内容でしょう?もう手に入らないでしょうけどね」


「ーーっ!!」


  今まで、何と入学の為の試験からずっと不正に不正を重ねてきたマリンが、初めて若干顔色を青くした。しかし、それでも不適に笑って、フローラを見下す。


「それでも、あんたには負けないわよ。魔力実技、苦手でしょ?」


「その自信にきちんと実力が伴っているか、楽しみにしているわね」


  見上げてやれば、腕組みをしたヒロインと、優雅に膝を折る悪役皇女の視線が絡み合う。激しい雷鳴が轟いて、二人の少女を閃光が引き裂く。


「それでは、ごきげんよう」


  会話を打ち切ったのは、フローラだ。ゆっくりと閉ざされた扉の向こうでマリンが魔法を使い八つ当たりを始める音がしても、もう恐いとは感じなかった。















ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

  1週間後。生徒会役員の実力剪定も兼ねた為に歴代最難関となった中等科2年のテストの順位表は、筆記の上位4名に四大国の皇女一人と皇子三人の名が並ぶと言ういつも通りのものだった。ひとつ違ったのは、常に10位以内にその名を輝かせていた特待生が突然三桁の位置にまでその成績を落としたことであり、魔力の実技に置いても、ずっと魔力の実力に不安があると言われていた水の国の皇女がその特待生を抑え、初の実技学年首位に躍り出た事なのだった。


  結果、退学レベルにまで成績を落とした特待生であるマリン・クロスフィードは、親しき仲であったケヴィン・プロフィットが精神の錯乱を理由に退学となった件で精神的な疲労が溜まったことが急な転落の原因であろうと言う判断を学院から受け、生徒会役員から除名。療養期間と言う名目で、一ヶ月間の停学を申し渡されることとなる。


  斯くして、初めて現実で行われたヒロインと悪役の初戦は、フローラの完全勝利で幕を下ろしたのであった。



     ~Ep.259 地滑り的に大勝利~



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