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Ep.234 お姫様はメイド様

 今回からまた話が飛びますが、ストーリーは前話からきちんと繋がっております(;・ω・)


 このお話から、いつも以上に色々詰め込んだライト編がスタートです。どうぞお付き合い下さい^^;

  四大国の王族・貴族が多く通うイノセント学院は、円形に繋がる大陸の内側の海に浮かぶ神聖な地とされるひとつの島の上に造られている。

  初等科から大学院までが一ヶ所に集められたその地は非常に広大であり、実は学院設立より長年経った現在でも尚、建設目的が解明されていない古代の建築物の名残が遺されている……。

  そんな話を、オカルト好きなメイドの一人が語り、話を聞いていた休憩中の他のメイド達が、面白半分にそれに乗っかった。


「えーっ?なにそのヨタ話、信じられない!」


「でも本当みたいよ?この島ってほら、立ち入り禁止区域が意外とあるじゃない?その場所に遺跡とかが有るらしいのよ。今回の剣術大会に使うって言うあの闘技場ドーム!!あれも実は、そう言う遺跡のひとつを改装した物だそうよ」


「へぇ、まぁ確かに今時見ない造りよね。わざわざそんな古いもの改築してまでいきなり剣術大会なんて、中学生の考えることってわっかんないわ~」


(メイドさん達の噂話って、意外と馬鹿に出来ないんだなぁ……。どんどん新しい話が入ってくるよ)


  サラマンダーの年、イノセント学院のとある一角に特別に造られたある特殊な男子寮の使用人の休憩スペース。

  人数もそれなりに居るので、一人につき与えられる休憩は一時間だ。その大半を相槌と情報収集に費やして、一人の小柄なメイドが元気良く立ち上がる。


「休憩ありがとうございました、私先に戻りますね!」


「あっ!ちょっと新人ちゃん、厨房行くなら豆のさや取りもお願い!!」


「はい、任せて下さい!」


  光に当たると金色に輝く明るい茶色の髪を揺らして去っていく新人を見送り、4人の先輩メイド達はまた雑談へと戻った。


「この大会期間の為だけに新しい選手用の寮まで出来ちゃって仕事ちゃんと回るのかしらって思ってたけど、意外と大丈夫なものね」


「そうねぇ。新しい人もたくさん入ってきたから仕事が円滑なのは有り難いわね。仕えるご令息達がまだ十代前半なら“お手つき”になってのしあがろうとする女も居ないでしょうし」


  貴族社会において、権力を持つ男性が、主人に逆らえない侍女に手を出すことは珍しくない。が、それと同時に、男性のその欲を利用してあえて子を身籠り、そこからのしあがる女も多いのだと言うことを、生粋の侍女である彼女達は知っている。


  これで今回の大会の選手となる男子生徒達が高校生以上の年齢であったなら、侍女の選別はもっと慎重に行われて居たに違いない。そうなったら、先程の新人メイドはきっとこの寮に働きに入ることは叶わなかっただろう。


「まぁ、相手がお子様方でも、試合で昂った後の彼等の部屋には一人では入らない事かしらね。新人さん達には、大会開始前にもう一度しっかりと言い聞かせておきましょう」


  窓から見える、渡り廊下をちょこちょこ駆けていく愛らしい新人を見ながら呟かれた割りとクールな印象のメイドの言葉に、他の3人も苦笑混じりに同意した。

  剣術大会は明日から。その間この寮の敷地内には一切の女生徒の立ち入りは禁じられるのだから、いくら仕える側だとしても……、いや、仕える側だからこそ、性の捌け口とされないようメイド達は注意しなければならないのだ。だからこそ……


「「「「あの隙だらけの新人ちゃんは、私達が出来る限り守りましょう」」」」


  茶色いウィッグで色を変えた髪を太陽の下靡かせ仕事に走る、新人メイドに化けた姫君は、どうやら早くも色々と心配されているのだった。


     ~Ep.234 お姫様はメイド様~


『フローラ・ミストラル14歳。しばらくお姫様はお休みします!』





  

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