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Ep.10 一年生になったけど



『友達百人とか無理だよね……。』




あのライト皇子と三回目(考えてみたら正確には四回目な気がするけど)の接触をした日、私は結局ガーデン係りの集合時間に大遅刻をしてしまった。


呼びに来てくれたレインと、ガーデニングの本を読みながら待っていたクォーツにはしっかり謝ったけど、二人は怒る所か遅くなった私を心配してくれた。

まだこんなに小さいのに、この二人と言いさっき何だかんだ言いながら私を庇ってくれたライト皇子といい、なんて良い子達なの……。

と言うか、なんだか実は自分が一番精神年齢が低いんじゃないかとすら思ってしまう。




「フローラちゃん、大丈夫?」


「えっ?えぇ、大丈夫よ。」


いけない、余計心配させちゃった。

……それにしても、レインが気を許してきてくれて嬉しい。

呼び捨てはどうしても抵抗感があったのか、あの友達になった日の翌日にはちゃん付けになってたけど……。

それでも、廊下で会えば声を出して挨拶もするし、図書室で宿題を一緒にやったり、食堂で一緒に食事をしたりしている。

図書室は静かにしてなきゃいけないし、お食事にもマナーがあるからそこまでお喋りをしたり出来るわけじゃないけれど、『友達と一緒』なだけでずっと楽しさが増した。


だから、あの時私たちを取り持ってくれたクォーツ皇子には感謝してる。

ただ……


「フローラ、時間があまり無いので手早く水やりを済ませてしまいましょう。」


「そうですわね、急がなくては朝礼が始まってしまいます。」




あの日以来、クォーツ皇子が私をごく自然な感じで呼び捨てにするようになったことがちょっと気になる。


まぁ、お世話になっておいて関わらない訳にはいかないから、あの日以来普通に知り合い以上友達未満くらいには親しくなったし、私自身は呼び捨てにされることにも抵抗はないんだけど……。



ただ、私は未だにクォーツ皇子を様付けで呼んでるから、実際に会話するとちょっと違和感があるんだよね。

だから、今の目下の悩みはいつ私も呼び方を変えるかだったりする。



『フローラ……、悩み所はそこじゃないよ。』


と、周りに見られないように姿を隠していたブランから突っ込みが入った気がしたけど、別に気にしないことにした。


















―――――――――

「……うーん、友達かぁ。」


「フローラ、お行儀悪いよ。」


夕食後、部屋のベッドに仰向けに倒れ込んだらブランに怒られた。

いいじゃない、誰も見てないんだし。


「それにしても、もうすぐ進級かぁ。早いねー。」


何だかんだとレインやクォーツ皇子と花壇の世話をしたり、学園行事に参加したりとやっているうちにあっという間に月日が流れて、もうすぐ春休みだ。


夏休みと冬休みに帰ったときは、お父様とお母様に学園生活について質問攻めにされたのだ。


周りと上手くやれているか、授業の様子はどうか、とかね。

まぁそれは良いんだけど、お母様の『お友達は出来た?』には毎回答えに悩まされる。


前世のお母さんも、私に友達が居なかった時期にすごく心配してたし。

ちゃんと友達と言える相手が一人しか居ないなんて言ったら、過保護なお母様達はきっと不安がるだろうしー……。




そう思って長期休みの後には色々な子に話しかけて友達になろうと頑張ったんだけど、レインの時みたいにどうしても一線引かれてしまってなかなか仲良くなれないのだ。


「――……やだ、私コミュ力低いのかしら。」


「……何を今更。」


「ブラン、貴方ここに来てからちょっと冷たくなったんじゃない?」



そう言ってじと目を向けたら、ブランはサッと椅子の陰に隠れながら『きっ、気のせいだよ!』と答えた。

――……まぁいいや、可愛いから許す!



何にせよ、明日にはまた里帰りだ。

それまでに上手く話を逸らせる内容を考えようと、私は机に向かいペンを取るのだった。


「ふっ、フローラ!僕が潰れてるよ!?」


「えー、聞こえなーい。」



~Ep.10 一年生になったけど~



『友達百人とか無理だよね……。』




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