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Ep.87 台風一家?

  この間のなんちゃって会議から数日後、生徒会から正式に後期に行う行事の発表があった。


「でね、うちのクラスは1年A組と組む事になったんだ。楽しみだなぁ。」


「フローラ、子供好きだもんね。で、その一年生のおチビちゃん達と何して遊ぶわけ?」


  ベッドにうつ伏せになって足をパタパタしながらそう言ったら、ブランはあまり興味なさそうに毛繕いをしながらそう言った。

  あー、あんまりやり過ぎると毛の飲み込みすぎで後で胃が痛くなるよー。


「えーとね、私達はドッジボールだって。クォーツの居るB組はバレーボール、フライとレインの居るD組はテニスをするみたいだよ。」


  生徒会が配布してくれたパンフレットを見ながらそう言えば、ブランが『あれ?』と顔を上げる。


「ん?どうかした?」


「いや、ライト皇子のクラスはやらないの?」


「あぁ、その事ね。実は……」


  ずいぶん前にも話したと思うけど、イノセント学園の初等科は下の学年ほど人数が少ない。まだ幼い我が子を、離島の学園に入れることに抵抗がある親御さんも多いからね。

  で、途中入学を受け付けてる3年生から人数が増えるので、3~4年生のクラスの数と、1~2年生のクラスの数があわなかったんだよね。だから、今回は何かと仕事が多いであろう生徒会長(ライト)が居る6年C組は全体の見張りだけで、下級生とのイベントは無しになったんだって。


「ふーん、なるほどね。」


「うん。でも、ブランがライトのこと気にするなんて珍しいねぇ。」


「ーっ!べ、別に、ただ色々貰ったりしてるし、ちょっと気になっただけだよ。」


「ふふっ、はいはい。わかってるわ。」


  ちょっとからかい交じりにそう言えば、ブランはテーブルのペン立てに入ってた猫じゃらしをガジガジとかじりながらそう言った。

  そうねー、その猫じゃらしも夏休み入る前にライトがくれたやつだもんねー。


  前にフライとのバイオリンレッスンの時に一緒に遊んでから、ライトはブランと何かと遊んでくれたりオモチャやおやつをくれる。

  だから、ブランも今となってはライトのことは嫌ってない所か好きなんじゃないかなと思うんだけど、なかなか素直に認められないみたいなんだよね。

  男心は複雑って奴なのかな?でも、ブランにも少しずつで良いから皆と仲良くなってほしいな。


  今回の兄弟学級が終わったら、お休みの日に皆にブランも含めて遊べないか声かけてみようかな?











ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「1年Aクラスの皆さん、ごきげんよう。今日は爽やかな秋晴れで、絶好のスポーツ日和ですわね。皆さん、準備は宜しいですか?」


  そして、兄弟学級当日。

  集まって立っている1年生の前に立ってそう言った私に、次々に元気な返事が返ってきた。すでに皆、生徒専用の運動着に着替えていてやる気満々だ。


「皆さん、元気で大変よろしいですね。では、チーム分けのくじ引きをしましょう。それぞれがくじを引いて、皆さんが引いた数字と同じ数のゼッケンを身につけた6年生が皆さんのパートナーとなります。」


「はーい!」


「では、皆さん並んで順番にくじを引いて下さいね。アミーさん、ベリーさん、お願いいたします。」


「はい、準備万端ですわ。」


「お任せ下さい、フローラ様!」


  くじを入れた箱を持ったアミーちゃんとベリーちゃんが、それぞれ男子と女子を誘導してくじ引きを進めてくれる。二人とも面倒見が良くて優しい子だから、早速1年生の子達になつかれてるみたい。

  いいなぁ、私も早くあの子達と遊びたいよ。遊びたいけど……、先に6年生の皆に今日の流れを説明しなきゃね。


「6年生の皆さん、聞いてください。昨日もお話させて頂きましたが、本日は、1年生一人につき6年生が一人パートナーとしてつく形で進めます。くじ引きが終わりましたら1年生の皆さんが、ナンバーの書かれた紙を持ってこちらにやって来ます。皆さんは1年生の子達がパートナーを探しやすいように、ゼッケンの数字の順に並んでいて下さいね。」


「はい、わかりました。」


「……。」


  簡単に説明をした私に大体の子達は返事をくれたけど、バーバラさん達のグループはこちらを見向きもしないで不満そうにしていた。


  だ、大丈夫かな……。まぁ、この行事は生徒会であるライト達の主催だから、ライト達に憧れてる彼女達ならちゃんとやってくれるとは思うけど……。


「フローラ様、1年生のくじ引きが終わりました!」


「ーっ!ありがとう、アミーさん、ベリーさん。では、私達もパートナーの子に合流しないといけませんね。」


  そうだ、不安がってる場合じゃないや。折角のイベントだもん、皆が楽しめるように、まずは私達が楽しまなきゃね!










ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

  さて、私のパートナーはどの子かな? 私の数字は7番なんだけど……。


  皆に連絡事項を話したりなんだりしてて出遅れてしまった私は今、会場を徘徊しながらパートナーの1年生を探しています。


「フローラさん、どうなさいました?皆さんもうコートに移動を始めてますが。」


「ーっ!委員長!いえ、実は、パートナーの方が見つからなくて……。」


  と、オロオロしてる私に、うちのクラスの委員長が声をかけてくれた。


  クセひとつなく整えられた艶々の黒髪に、シャープな銀縁のメガネ。ザ・委員長!って感じの委員長、キール君の隣には、これまた真面目そうな1年生の男の子も居た。どうやら、彼は無事自分のパートナーを見つけたらしい。


「パートナー……。それなら、向こうに一人で居るフェニックスの制服を着た少女が居ましたから、恐らくその子でしょう。」


「そうですか!ありがとうございます、助かりますわ。では、行ってみますね。」


  親切に教えてくれたキール君に会釈をして、小走りにまではならないようにしながら早歩きでその場を離れる。


  と、ちょっと歩いたその先に、小さな可愛らしい人影を見つけた。その子もまた、さっきまでの私のように周りをキョロキョロと見回している。うん、間違いないみたい。

  でも、あの夕焼けみたいな茜色の髪……なんだか見覚えがあるような?


「ごきげんよう。貴方、もしかして7番のくじを引かれた方かしら?」


「ーっ!フローラお姉様!!」


「きゃっ……!」


  と、何となくモヤモヤしつつも屈んでそう話しかけたら、顔を上げた女の子がいきなり腕の中に飛び込んでくる。


  その小さくもパワーに溢れる身体を抱き止めながら、顔を確かめるために目を合わせたその子はなんと……


「お久しぶりですです、フローラお姉様!」


「……!エミリーさん!」


  台風少年ことエドガー君の妹君、エミリーちゃんだった。




      ~Ep.87 台風一家?~


『おいエドガー、どうしたんだ?』


『いや、ちょっと妹のクラスが気になって……。』


『お前の妹は1年生だろ?うちのクラスが見るのは3年生だからな、ほら行くぞ!』


『は、離してくれ!せめてエミリーの相手がまともな奴かどうかを確かめないと!!』


『いいからさっさと来いと言ってるんだ!!!』


『あぁ、エミリーーーっっ!!』



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