怪奇体験談_ありえない『階』
私の、ちょっと怖かった体験談です。
怪奇体験談シリーズ、どうぞお楽しみください。
これは、私が中学3年生の頃の実体験。
放課後、3階建て校舎の3階にある用具室で、用事を済ませた私は急いで階段を降りた。
なぜなら、カバンを自分の教室に置き忘れていただけでなく、一緒に帰る友人を待たせていた。
季節は秋。下校時間がだいぶん過ぎている。
さっさと帰宅しなければ、家に着く頃には真っ暗だ。
「急がなきゃ!」
私は夢中で階段を駆け降りていると、フッと足元が変な感覚になった。
足を踏み外したような感覚。
「マズイ! 踏み外した!?」
瞬時に、派手に転げ落ちる覚悟をしたが、どうやら大丈夫のようだ。
心臓をドキドキさせながら階段を駆け降り続ける。
気が焦っている為か、いつもより長い時間降りてる変な錯覚。
タタタと音を立てながら踊り場へ降り、更に降りてようやく2階に着く。
顔を上げると壁も廊下も淡いセピア色をしていた。
目の前の光景に何だか違和感を感じたが、夕方だからかな?とその時は思っていた。
階段のすぐ隣にある私の教室。
ガラリと勢いよく引き戸を開けると、まさに授業の真っ最中だった。
見覚えの無い生徒達が全席に着き、教壇には先生がいた。
彼らが一斉に振り返る。
私はあまりの驚きに声が出なかった。
『ヤバイ! 教室を間違えた!』
そして心の中で『すいません教室を間違えました』と謝りつつ戸を閉めると
更に心臓がドキドキ高まった。 後で怒られたらどうしようと焦ったまま階段を降りる。
到着して顔を上げると、壁も廊下もいつもの色と明るさになっていた。
階段のすぐ隣の教室に慌てながら入る。
まだ数人が残っていて、友人が手を振りながら「遅いよ~」と声をかけた。
私は息を切らしてハーハーしながら遅れた事を誤り、さっきの出来事を話した
「慌てていたから階を間違えちゃってさぁ、上の階の教室に入っちゃったの。
ちょうど授業中で焦ったよぉ」
すると友人は皆と顔を見合わせ怪訝そうに言った。
「なに言ってんの? この上って教室ないじゃん」
あ、そうか! 私は何か勘違いしていたのか。
3階は用具室とか物置とかだもんね……あれ?
「ここ何階建てだっけ」
「はぁ!? ここは3階建て! クラスルームは2階まで!!
馬鹿言ってないでさっさと帰るよ!ず~っとアンタを待っていたんだからね!」
私は友人達にガッツリ怒られて帰宅した。
あんまり言うと、しつこいと嫌われるのでそれ以上は黙ったが…
結局、あの教室は何だったのでしょう?
<終>