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黒を司る処刑人   作者: 神谷佑都
3章 病院に潜む影
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6:真意Ⅶ

 ふと、頭の上に手がおかれる。ギルの手だった。


「心配か? あいつが……」

「……うん」


 誤魔化しても仕方ない。私は素直に、クランツのことが気に掛かると肯定した。


「しぶといんだよあいつは。今まで何回殺り合っても、それでも俺を殺しにきた。心配するだけ無駄だ」

「うん……そうだよね」


 私自身助けてもらったこともある。だから、どうしても心配になる。


「あーもう、そろそろ辛気くさいのはナシにしましょうカ。うまいことエルゴールの策略も止めたことデスし、パーッといきまショウ」

「あぁ? お前が一番ぴりぴりしてただろうが」

「痛い!」


 スカルさんが明るく振る舞う。ギルが咄嗟にスカルさんをポカリと殴った。私がそれを見て笑った。


「んじゃあ、帰るか」

「うん」


 ギルの一言で、ようやく長い夜が終わりそうだった。



 優子を元の病室に運び、何もなかったように施す。病棟の壁は破壊してるし、全く何もなかったなんてことは無理だ。

 でも、優子には怖いことなどなかったと思ってもらいたい。優子にかかった催眠らしきものも、スカルさんが指を鳴らすと解けたらしい。実際に、ベッドに寝かせた優子はふにゃ……と寝ぼけてみせた。あとは、何も覚えていないことを願うしかない。

 少女の姿で、今はもう落ち着きがあるように寝ているリアちゃんを背負う。こんなに小さい体なのに、あんなに頑張ってくれたんだなと思わせる。

 元気になったら、何かして欲しいことはないか訊いてみようと思う。


「それでは私はこれデ。エルゴールがつくったウイルスのこともありますし。また会う日までゴキゲンヨウ」


 スカルさんは、殺人ウイルスが入った試験管と、エルゴールの残した資料を持って調べてみると言った。


「二度と来んじゃねぇよ」


 ギルはそう言って拒否していた。


「カカカカ。相変わらずつれナイ」

「あの…ありがとうございました」

「いえいえ、お礼なら私が言うべきデスよ。私のほうこそ助かりましたヨ。あと……」

「え?」


 耳打ちを示唆するので、耳を傾ける。


「体に悪いので、小さめじゃく、ちゃんとサイズのあったブラをつけたほうがよろしいカト……」

「なっ……!」


 いきなりの発言に私は驚いた。な、何で知って……。いや、何でわざわざそんなこと……。


「カッカッカ。楽しい夜でしたヨ」


 スカルさんはそう言ってあっさりと姿を消した。


「何言われたんだ?」

「何でもないの!?」

「……?」


 ギルが不思議そうに首をかしげた。本当に何でもないと言い張ることで何とか乗り切った。多分あの発言は、偶然か何かだと思いたい。


 そうして、病院での戦いは終わった。

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