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黒を司る処刑人   作者: 神谷佑都
2章 闇からの招待状
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エピローグ

「で、でも……これでは私が……」


 死ぬのが単純に嫌だった。私を作ってくれた主人のためなら命はいつ投げ出してもいい。そう思っていたのに。


 彼女はもともと優しかった。

 騙すことなど出来ず、生きていくために殺すしかない時も、殺すことなど出来なかった。



 それは偽善者だと。


 仮面を被っていると。



 彼女が一人になるには時間はいらなかった。



 ねぇメリー、何でだろうね。

 争いをしたくなかっただけなのに。


 友達がほしかっただけなのに。


 いつの間にかそばにいるのは貴方一人になっちゃった。



 何かが彼女の頬を伝う。私はそれが何なのか分からなくて、触れてみた。


 マリー様。これは?


 涙ね……。貴方には流せないものね。


 涙。それは何なのか。その時は分からなかった。




「どれだけ精巧でも全く同じは有り得ません。新しく創っても、今の私は……」


 今の私が死んでも、彼女を守れるならいいと思ってた筈だった。


 気付いたときには口に出していた。なぜそんなことを言ったのか。


 この体が朽ちてゆく。もう動かない。


 そんな風になって。


 それでも彼女は守りたくて。


 無理やり体を引き離して、無理やりにでも楯になって。


 でもそれでもやっぱり守れなくて。



 友達がほしかっただけなのに。


 そう言って涙を流してる彼女は見たくなかった。


 何でかは分からないけど。


 だから、集めたのに。


 簡単に操れる人間を。


 彼女の友達として。



 何が間違っていたのか。


 何処で間違ったのか。



 許されなかったのか。


 うまくいかなくなった。



 眼がかすむ。視界がぼやけてよく見えなくなってゆく。


 せめて、彼女のそばに行きたいのに。体はとっくに限界で、もう動いてはくれなかった。




 いつの間にかそばにいるのは貴方一人になっちゃった。


 貴方だけは、ちゃんと最後まで私といてくれるよね?




 もちろんです。最後まで……いつまでも。



 今はもう遠い……記憶の向こう。

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