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きょうだいシリーズ

私の兄はチャラ男会計なのです

作者: 遊騎

他のシリーズとは別世界です。

「キャーッ!」

「会計様よー!」

「はぁん、素敵だわぁ~」


「はぁ~い、みんなぁ、今日も可愛いねぇ~」


「「「キャーッ!!」」」




緩くふわふわした茶髪に、ふにゃりと目尻が下がった焦げ茶の目の、整った顔立ち。


2つ以上ピアス付けた耳に、無駄にはだけた制服。


女の子たちに囲まれ、ちやほやされるのが好きな、所謂チャラ男。


だがジェントルマン。


生徒会会計職。





それが私の兄なのです!






「今日も会計サマは囲まれてるわねぇ」


私の友達がお弁当をつつきながら、廊下にいるお兄ちゃんを見て言いました。


「お兄ちゃんはカッコイイから当たり前なのですよ!」


女の子がほっとくわけないのです!


「…アンタ、やっぱりブラコンよね」


よく言われますが、それは誤解なのです!


「ブラザーコンプレックスは兄弟に強い愛情・執着を持つことですの! 私のお兄ちゃんがカッコイイのは事実だし、普通の家族愛なので、私はブラコンじゃないのですよ!」


ない胸を張って言うと、友達は何だか呆れかえった顔をしたのです。

どうしてでしょう?


「まぁ、確かに、アンタの兄さんは外見だけじゃなく中身も良いけどさ…(充分ブラコンだっつの、バカ娘め)」


「当然なのです! お兄ちゃんは勉強も家事も出来て、人脈も広くてみんなと仲良しで、最高のお兄ちゃんなのですよ!」


事実をおさらいするように言っていると。


「なぁなぁ」


肩を叩かれましたのです。


「はいですよ?」


振り返ったら、隣の席の男の子でした。


「どうしたのです?」


「あんさ、次の授業の課題やってきた?」


「やってきてるですよ?」


「それ見せてくんね? 今日、当てられんだよーっ」


「いいですよ〜」


次の授業をしてくれる先生はその日の日付で発表をする生徒を当てるのです。

みんなの前で失敗する上に、答えに詰まったら先生に叱られますもんね。

私だったら嫌なのです。

だから、笑顔でノートを差し出しました。


「はいですの」


「サンキュ! お礼に今度ジュースでも奢るわ!」


「別にいいのですよ~」


「答えられなかったら超怖いあの先生から助けてもらうんだから、そんくらいさせてくれって」


うーん。でも、大したことじゃないのですよ~。


「奢るのがダメなら……、休日お前が買い物に行く時の荷物持ちとか?」


そんな!?


「そっちの方が悪いのですよ~っ!」


「じゃあ奢られてよ♪ …まぁ、俺としては荷物持ちの方が良いんだけどな」


「ほぇ?」


荷物持ちの方が大変だと思うのですけど。


「どうしてなのですか?」


「そりゃ…」


男の子が何かを言いかけた時。





「ぎゅーっ♪」





むぎゅっと後ろから抱きしめられました。


「お兄ちゃん! どうしたのですか?」


「ん~。イー匂~い」


「ふひゃっ、くすぐったいですよ~」


「ぐりぐりぐり~」


「きゃーっ♪」


お兄ちゃんと遊んでいたら、「さっき先生がアンタのこと探してたよ?」と、隣のクラスの友達に言われたので慌てて食べ終わった弁当を片付け、席を立ちました。


教室に、お兄ちゃんと友人と隣の男の子を残して。









教室には気まずい空気…というより、威圧された空気が漂っていた。


「やぁ、初めまして~」


「ぇと、はい…初めまして」


王子様のような会計様はいつものようにニコニコニコニコと笑っている。

が、その目の奥は一切笑っていなかった。


「うちの妹ちゃんと何話してたの~」


「その、次…の授業の課題を見せてくれないかって…」


「ふぅ~ん?」


スッと目を細めた会計様に、ビクッと肩を跳ね上げる男子生徒。


「まぁ~あ、僕の妹ちゃんは可愛いしイイ子だしマジ天使だし~? 好意を抱かない男なんて男として腐ってるか別の性を見つけてる奴だから、気持ちは分かるけど~」


暗に、自分の妹に惚れない男はいないと会計様は言っている。物凄いシスコンである。


「けどさ?」


瞬間、会計様の顔から笑みが消え去り、感情が削ぎ落とされ、その美貌が浮き彫りになる。





「だからって、手ェ出すのは見逃せねェな」





ブラック会計様御光臨。



「妹ちゃんは俺の可愛い可愛い妹だ。汚れを知らない純真無垢な妹ちゃんは天使と言っても過言じゃない。俺の妹ちゃんに近付きたけりゃ、全てにおいて俺以上の男じゃねェと認めない」


という訳で、会計様のスペックを見てみよう☆


ルックス Lv.99

成績 Lv.97

運動 Lv.99

モテ Lv.99

人望 Lv.98


他etc. Lv.90台後半


全てにおいて、レベルカンスト気味の彼に勝つことが、彼女に近付く条件。

尚、会計様以上に優れていようが、当然彼女が好いていなければ、そういう関係になることはない。……生徒会会長、しかり。


「ただいまーです〜」


曰わく、天使の会計様の妹が戻ってきた。





「おかえり~」


「えへへ~」


教室に戻ってくるとお兄ちゃんが居たのです。

待っててくれたんでしょうか?

寄って行くと、ぎゅうっと抱きしめられました。

私は嬉しくて、ほっぺが緩むのを自覚しました。


―その様子に、会計様も喜色に目元を緩ませる。そこに先程までのブラックさは一切無い。―


と、そこで、予鈴が鳴りました。

けど、お兄ちゃんの腕が緩む気配がありません。


「予鈴が鳴ったですよ? お兄ちゃん」


「うん〜」


「そうです。今日もお手伝いしに行くですからね!」


立ち上がったお兄ちゃんにそう笑って言いました。

私、実は生徒会のお手伝いをしてるのです。

お兄ちゃんのお仕事が終わったら一緒に帰るのですよ。


チュッ


リップ音と僅かなぬくもりを額に感じました。

お兄ちゃんの顔が間近にあるので、お兄ちゃんがちゅーしたのだと思うのです。


「また放課後、迎えに来るからね〜。僕の可愛い妹ちゃん♪」


「はいですの!」


私は笑顔を更に喜びに染めて、元気良く返事をしました。






「(…これでただの兄妹なんだから、凄いわよねぇ)」


友人が何だか感心したような呆れたような顔でこちらを見てましたが、何でしょう?


妹「こんにちはーですー」

会「よく来たな。今日は俺様の隣で仕事を……」

兄「僕の天使ちゃん、今日は書記くんの仕事を手伝ってあげてくれる〜?」

妹「了解なのですよー!」

書「……よろ」

妹「はい!よろしくです!」


会「………」

兄「ハンッ」


放課後のよくある一幕。



☆★☆



・妹

兄と同じくふわふわな茶髪の可愛い系美少女。

ドがつく天然。

兄が大好きだが、ブラコンは否定。

スペックは、平凡と非凡の間。


・兄

生徒会会計。ハイスペック。

見た目言動ともにチャラく、女の子が好きでちやほやされるのも好き。

だが紳士。間違えるな。

シスコン。

妹は天使か妖精の生まれ変わり、もしくはそのものではないかと、割と本気で考えてる。


・友人

ポニーテールの美人。

巨乳。

サバサバした性格。

天然で注意力散漫の妹ちゃんを放っておけない。


・隣の席の男の子

ご存知の通り、妹ちゃんに惚れてる。

毎度、何かと理由をつけてデートに誘うが、妹ちゃんの友人に阻止されていた。

今回は鬼を引いた。

平凡スペック。

ファイト。


・生徒会会長

ちょっとだけ名前が出た彼。

妹ちゃんに惚れている。

シスコンの兄様よりハイスペックだが、妹ちゃんに特に何とも思われてない。

頑張れ。


・会計ファンクラブ

会計様のファンの集い。

シスコン具合と、妹に関わると性格が変わることも知っている。

そんなところも素敵!



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― 新着の感想 ―
[一言] 面白かったです これに出てくる生徒会長って、俺の兄は俺様生徒会長ですの兄とは同じですか? 気になったので
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