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わがまま
「渡来人のすべてが悪事を働いていたわけじゃない。が、如何せん持っている力の強さが違う。渡来人が恐れられたんだ。まぁ当たり前だな」
ノイスルゼは悲しそうにしながら話を聞いていた。
「僕はこっそり孤児院を出た。ふらりと住み着いた僕を疑われれば孤児院にも迷惑をかけるからね。とは言え、孤児院の活動資金は必要だし、治安の回復も必要だった」
「それで始めたのが泥棒ってこと?」
「僕たちのいた世界はこの世界よりずっと発達していた。だけどその分息詰まって煮詰まってたんだな。僕はこの世界の方が好きだ。だから好き勝手する同胞が許せなかった、止めたかったんだと思う」
闇雲はそう言ったが、たしかにそういう思いもあるが、どうもしっくりとこない。
「どうしたの?」
と心配そうに声をかけてくるノイスルゼ。
「……というのはまぁ建て前だな」
「え?」
「僕自身が気持ち良くいたいのに、馬鹿なやつらがすき放題して、居心地が悪くなるのが僕は我慢ならないんだ。町を歩いてて皆がしたを向いていたら気が滅入るだろう?結局は自分のためなんだな。だから人に偉そうに言うことでもない」
「でも……助けられた、助かった人もいるから!」
「そうか、…そうだったならいいな」
少し照れ臭くて、ノイスルゼの頭に手を乗せるとワシャワシャと撫でる。ワプっと妙な声が上がった。




