穏やかな日々
それからは毎日のようにエイセスセニスへと潜った。むしろエイセスセニスでの生活が主で現実での世界が悪夢のようなものになる日々。
正直、組織の中で生かされていた自分には常識というものはなかった。逃げ出した後も生活していけたか怪しい……無理だったろう。
今の生活がどれだけ恵まれているのか。せめてこのエイセスセニスでの生活で役にたててもらいたいとは思ったが、どうすることが彼女のためになるのかわからなかった。
「ああ、普通にやりたいようにやってくれていいですよ」
一度六花さんに尋ねて返ってきたのはそんな言葉で、そもそもエイセスセニスの世界に依存していた僕には受けないという選択はなかった。
とは言え、どうしたらいいのかさっぱりだった僕はひたすら町の中を歩いては感心し、いよいよ空腹で倒れてしまった。
次に目が覚めた時にはベッドの上で、向こうでもこちらでも似たようなことになっているなと苦笑した。姿を現したのは縫い合わせた跡だらけの服をきた女性でアルフォミナと名乗った。倒れていた僕を拾ってつれてきてくれたのだという。ここは孤児院でアルフォミナは子供たちの世話をしているのだという。
事情を話すと、お給金は出せないが、食事と部屋を貸してくれるというのでお世話になることにした。
孤児院はボロボロで隙間風や雨漏りは当たり前、食事も質素であったが、そんな生活も嫌いではなかった。現実では機械のような扱いだったのだ。大家族の一員になったようで楽しかった。
ある日、買い物の荷物持ちとしてついていった際に男たちから声をかけられた。
「おい、あんた。プレイヤーじゃないのか?」




