違和感
「それで、僕は何をしたらいいんだい?」
興奮を抑えながら尋ねる。
「何も?というか何をしてもいいです。ただ何か不都合とか、問題があったら教えて欲しいんです。言い方は悪いんですけど、目の不自由な方にも問題なく動かせているか情報が欲しいんです。」
なるほどなと思った。僕は元々目が見えていた時期があったが、生来目が見えない人にものを教えるのは難しい。その点この装置?があれば大いに助けになるだろう。
だが、
「この世界は元の世界より発展していないんですか?」
目が見えていた頃よりももっと原始的だったのだ。これほど開けた平地は見られなかったように思ったのだ。
「そうですね。家屋にコンクリートなど使われておりませんし、道だって人が通ってそこだけ草が生えていないだけって所もあります」
どうやら目の見えない人への教育用ということはなさそうだ。あまり適切ではないだろう。
「というわけで、さっそくですけど、何か不都合なところはありませんか?」
ノートとボールペンを出した六花ちゃんが上目遣いで尋ねてくる。
この世界観に合わないよな、それ。ってかどこから出したよ?ということは開発者の特権とかだろうか?
「雲さん?」
考え込んでいた自分を訝しがって再度声をかけられる。
「あ、ああ……」
慌てて柔軟体操をしてみたり、石ころを広って投げてみる。
「問題なさそうですね?」
首を傾げて、ボールペンのスイッチ部分を口許に当ててそう言う。
「……違和感、と言うのがどこから認められるのかわからないんだが」
「向こうの世界と比べて違ってたら何でも言ってみてください」
六花ちゃんの目が鋭くこちらに向けられる。
「そうだな、向こうで百分の一mmの感覚で動きを把握出来ていたのが十分の一mmになったような感じか。動きが大雑把になったようだ」
手をグッパーグッパーとにぎにぎしながらつたえる。
「ああーそれはあるかも知れませんね。こちらの世界にきて多少の違和感があるのは技術力のせいなんですけど、感覚の一つが失われると他の感覚が鋭くなるって言うじゃないですか?それと逆のことが起こったのかもしれませんね」
「まぁ問題あるほどじゃあないけどな」
ーーーもうかつての稼業は必要ないのだから。




