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事情聴取 2

「今でこそこうして都で商売が出来てますがね、私も元は行商で各地を回ったものです。」


 突然話が変わったことに隊長はなんだと意識を集中させた。


「行商というのは辛いものです。護衛が雇えるようになればまだマシです。駆け出しの頃が一番酷い。風が吹いて枝葉が揺れただけで目を覚ます。うっかり野宿なんてことになれば生きた心地がしないものです。衛兵という仕事を馬鹿にしてるんじゃないですよ?お陰様で王都の治安は良くて帰って来たら安心できます。ただね、そういう世界もあるんだってことを知ってもらいたいんですよ。」


 店主の表情は至って真剣で、隊長としても気にしたことがなかったが言われてみればそうかもしれないなとは思う。


「都にいればそう困ることはありませんが、村によっては行商人が来るときくらいが嗜好品を手に入れる機会だといって喜んでくれるところもあります。祭だなんだって行事をするにも限度はありますからな。」


 そこまで話したところで、店主はお茶をすする。


「彼らの苦労も知っておりますからね。地方のものを卸しに当店を訪ねてくれる者のは色をつけてやったりはしますが、本当の意味で彼らの助けになってやれてはいないのですよ。今回“闇雲“が相談を持ちかけて来たとき、今がその時だと確信しました。当店の敷地を一晩貸すだけで彼らの道中の安全度が増すのですからな。正直、自分達が怪我などをしなければ利益度外視で協力するつもりでした。」


 そこで、苦笑した店主。


「「公に、とは言えませんが今回の件が片付いたらきっとこれまで以上の評判になるとおもいますよ」って言われて実際この様です。当店の前の行列を見たでしょう?一体どこまで計算されてたのか。でもね、やられっぱなしってのはどうにも性に合わないんですよ。余計に稼がせて貰ったぶんのお金で街道の魔物退治の依頼をしようと思ってるんです。ちょっとは“闇雲“の奴を驚かせてやれますかね?ははは。そういうことですよ。私が通報する理由なんてどこにもありません。多分他の所も同じようなもんでしょう。」


「他のところ?」


「あれ?知りません?潜入捜査で取り入るために力を貸してくれって頼まれたのはウチだけじゃないです。そして、何一つ紛失を許したものはなく、「私の所にも来てほしかったのに!喜んで提供したわ」なんて色んな所で言われてるくらいですよ。」


 隊長は唖然とせざるを得なかった。



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