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ようこそ3Lへ

体験会長かった。

しかし説明回はまだ終われぬ・・・長い><

 件の体験会の後、俺達は必死でバイトをしたりしていた。

"達"というのは、あの後大学で不意に声をかけられたのだ。

それなりにつきあいはあるが、サークルには入っていない俺はやはり交友関係は少ない方だ。話しかけてきた奴らとは面識がなかった。

あの土曜日までは。


そう、彼らはあの体験会の参加者だった。

このメンバーの中心(のように思えた)滝沢たきざわ 栄一えいいち、体を鍛えてるのかガタイのいい堀田ほった しゅう、常に笑っているように見える山城やましろ 直也なおや、少し内向的な賀茂野かもの 洋一よういちの4人と自己紹介しあった。


栄一達は全員別の県から来ていて、元々は寮生活で知り合ったらしい。

まぁそんな話もしたがここはやっぱり例の体験会の話で盛り上がった。

(黙々と薪を割っていたのは俺だけだった)

「やっぱさ、あのNPCのAIの優秀さがヤバイって!」

「いやあれもプレイヤーだろ?」

「馬鹿言え。まだプレイヤーはそんなに多くないはずだろ。あの町の人口を考えてみろよ」

「確かに妙に人間くさかったよな」

「僕は、当然だけど剣なんか振ったことなかったからさあの重たさにビックリしたよ」

「おいおい、何言ってんだよ。剣はともかく刀なら現実でも持てるだろ。もっと向こうでしか体験できないことをしろよ」

 洋一の発言に修がツッコむ。いや、刀も簡単に持てるもんじゃねーだろ。修がやってるのは剣術なのか?

「俺なんて向こうで薪割りしかしてないぜ」

とりあえず空気を変えるためにそう言った。だが事実だ。

「「「何やってんだよ、お前」」」

 全くだ。そんなこんなでメアドを交換し、バイトやら次の講義やらで分かれる。


「ありがとう」

 洋一は物怖じしがちでからかわれ気味なようで去り際に小さく呟いて行った。

「おう、またよろしくな」

 そう言って俺もバイトに向かう。

洋一達は講義もそこそこにバイトに精を出していた。

気持ちは分かるが、俺はやることを放り出すのは主義ではない。

あいつらは生真面目だ、なんて言うがそんなことはない。

やるべきことをやるのが、長い目で見れば一番楽なのだと思っているだけだ。俺は"Legend of Liberated Lives"こと3L(ネーミングセンスはどうかと思うが)をそこらのゲームと同じように思っていない。

六花さんが言うようにもう一つの世界だと感じている。

集中してやってはい終わりなんてもったいないじゃないか。

(そもそも必要な費用がゲームの比じゃない!)

長いスパンで遊ぶには計画的にいく必要がある。



 「もっと頑張って稼がないと先行しちまって置いてっちまうぞ」

洋一達はおまえ達何やってんの?とばかりにバイト漬けだった。今期の単位は半ばにして諦めたものも多いようだ。

俺と洋一はそこまで徹底できなかった。

あの世界にかける熱意は負けていないけどな!

ともかく、程度の差はあるが、同じ目標に向かう俺らは3Lの話で盛り上がり、それを糧にバイトに熱意を燃やす同士であり、つき合いも深くなっていった。

栄一と修、直也は2ヶ月後には仕送りなんかもつぎ込み3Lを購入した。3人が大学に来る機会が目に見えて減った。

たまに会っても最低限のつき合いで帰っていく。

羨ましくないわけではないが、ここは我慢の子である。

3Lの話を聞かせてくれるのを期待していた身には少し寂しい。


 そして遅れること2ヶ月で俺と洋一も3Lを購入した。

このころには3Lは巷で人気ができて購入者が増えてきていた。

それでも六花さんは俺を覚えていてくれたらしく、現地で試してから買おうと思って連絡先に問い合わせた俺に喜んでくれた。

「後にも先にも薪割りで体験を終えたのは深山さんだけですよ」

とのこと。

翌日には指定された場所に行って、テストし、購入してきた。

試遊機よりちょっとゴツくなっていた。バージョンアップしたのだろうか。

なんとか身につけた俺は電源を入れると

「リリース オン」

と口にする。少し声が震えただろうか。


最初の画面はアジャストメント。

マスクが顔の造形を。

慎重や体重などを入力すれば自身そっくりのキャラクターができるわけだがそこはちょっと見栄をはりはり~でちょっといい見た目にするのはご愛敬って奴だ。



 ・・・丸一日経っていたさ、悪いか。

少しいじれば他に綻びがでる。ちょっとちょっとと思っているうちにこんな時間だよ!

あんまり美形にするのもなんだかな。言い訳じゃないんだからね。

さぁ、さっさと始めるぞ。ぱっぱと残りのステータスを撰んでスタート!


     「ようこそ!エイセスセニスへ!」


 あたりは草原というのが近いだろうか。

四方八方開けている。いや、一方には町がある。

あえて行かないのも一興だがここは素直に向かおうか。

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