表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/73

"黒烏" 2

「な、なんでお前が俺の家にいるんだよっ!」


 驚いて尻餅をついてしまった俺はとりつくろう余裕もなくそう叫んだ。


「いや、だってさ、了承したとも言ってないのに話も聞かずに行っちゃってさ。本気じゃないだろうと思ってたんだけど気になって見に来たんだけど、ちょっと遅かったみたいだね。」


 目の前の男が目を細めると視線に射すくめられる。


「俺は不要な盗みはしないのを信条にしている。」


 "闇雲"の発言に愕然とすると同時に怒りが湧いてくる。


「俺も、あんたも結局はただの盗人だろうが!偽善的なことをいうなよ!不要な盗みはしない?はっ!あんたが取ってきたものがどうしても必要なものだったと!?」


「偽善…ね。そんなつもりはまったくないさ。どんな綺麗事やお題目を並べようが盗みは盗み、犯罪、悪事にゃあ変わらねぇさ」


 低い声で"闇雲"が答える。


「だからこそ、好き勝手すんのはかっこわりぃだろうが。つーわけだ。お前との勝負のために盗みなんざするつもりはねぇよ」


 そう言って"闇雲"は俺の横をすり抜けて行った。


「くそっ。格好つけやがって!俺との勝負を避けやがったくせに」

 悪態をつきつつソファに八つ当たりをする。


 その時違和感を感じたのだった。

内ポケットに手をやればあるはずの【幸運の薄幸女神像】はなく、

かわりに


 あなたの罪、確かに頂きました。

                怪盗 Cloud / Dark


 と書かれたカードが入っていた。


慌てて入り口の戸を開けて見回すも、後姿が見えるはずもない。



 どこか化かされた気分で2日ほど引きこもった後、食料の買出しに町に出て、耳目絵が売られていることに気づく。


「おっちゃん、1部くれ」

「あいよ。」


 果たして幸か不幸か【幸運の薄幸女神像】戻る!


領主の家から姿を消した【幸運の薄幸女神像】。館を守る警備員が盗人の影を見たという。"闇雲"の仕業か、と噂された。町民に意見を聞いてみるが、誰もが「それはない」と答えた。「あの領主の悪い噂は聞かない。"闇雲"がそんな領主さんを狙う理由がない」という意見が多数聞かされた。そんなことをしているうちに肝心の【幸運の薄幸女神像】が元の場所に戻っていたっていうんだから、驚きである。

盗まれた不幸か、帰ってきた幸運かこの像に対する評価は真っ二つに分かれている。

だが、この像が帰ってきたことこそ"闇雲"の仕業だと考えている町民は多く、"闇雲"に盗まれた像を一目見ようと領主の館に訪れる人が後を立たない。


 俺が盗みに入って、警備は厳しくなっていただろう。

そこに返しにいったってのか?


どうやら俺の完敗らしい。

最もそれほど気分は悪くなかった…


        悔しいっ!




 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ