"黒烏"
書き改めるかもしれない。orz
夜の闇を人の形をした影が蠢く。
ふぅ、と息をつき、足を止めたのは安全圏に入ったからか。
いつもと違ったのはそこに声をかける存在がいたことだった。
「あんたが"闇雲"だな。」
「人に名前を尋ねる時はまず自分の名前を名乗るものだぜ?」
「俺の名前は"黒烏"、あんたと同業者だ、と言いたいところだが、正直腕は俺のほうが上だと思っている。世間があんたが一番の泥棒だと思ってるのが我慢ならねぇ。俺と勝負しろっ!」
「そもそもだ、文明の遅れたこの世界で盗みを華麗に成功させたなんてのはF1レーサーが下道で軽トラを抜いて調子にのってるようなものだろ?」
相手の返答はない。男はそれを反論もできないのだと思い、口元を歪める。
「1週間後に隣町の領主の館から【幸運の薄幸女神像】を先に盗んだほうが勝ちだ、いいな!?」
男は一方的に言って去っていった。
一仕事を終えた後に精神的にも疲れた様子で、もう一人の男も帰っていったのだった。
----一週間後。
"黒烏"は果たし状?の通りに領主の館に忍び込んでいた。
思っていたよりも警備は厳重だった。
最も、だからこそ"闇雲"との勝負にふさわしいと"黒烏"は思っていた。
そしてそれにふさわしいだけの腕を彼は持っていた。
幾多の警備と罠を潜り抜け、【幸運の薄幸女神像】に手をかけたところで"闇雲"の存在を気にかけたが、近くにいる気配はない。
「所詮人の噂も現実にはこんなものか」
と呟くも、その次の瞬間には気を引き締めている。
自分もまだ脱出がのこっているのだ。
わずかな時間で気を引き締めるあたり、彼のレベルが知れる。
屋敷の中、そして外も警戒が厳しくなる。
恐らく【幸運の薄幸女神像】がないのに気づいたのであろう。
"黒烏"は警備兵に存在を気取られるも、無事に脱出に成功し、安堵の息を吐く。
"闇雲"が犯行に及んでいる気配が全く読みきれなかった。
自分の腕に自信はある。"闇雲"がその存在を気づかせないほどレベルが違うとは思えない、なら油断した俺から奪うつもりか?屋敷に忍び込んだ時以上の警戒振りでアジトまで"黒烏"は帰った。
「ははは、なんだ!"闇雲" "闇雲"って大したことないじゃないか。」
アジトの扉を開けると、一人暮らしで聞くはずのない台詞が聞こえた。
「やぁ、おかえり。調子はどうだったかい?」




