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―その日、王城は朝から騒がしかった。


城では朝から順次、侍女たちによって清められることになっている。

朝議などが行われるため、謁見の間は優先順位が高く、割と早くから清掃

が行われる。それ故にまだ静かな場内に侍女の悲鳴がよく響いたのである。


 駆けつけた兵士が見たものは、蹲り顔を真っ青にした侍女と、彼女が指差す先…玉座の上だ。

何かが置かれている。


 恐る恐る近づいた兵士は危険がなさそうなのを感じて一瞬気を緩めたが再び気を引き締めて手を伸ばすあたりは場内の守備を任されるだけのことがある、といったところだろうか。


「こ、これは…!?」


「なんの騒ぎだ!?」

 兵士の驚きを遮るように低い、威厳の込められた声が謁見の間に響く。

「陛下!今しばしお下がりを!?」

 引き止める兵の声を抑えて現場、玉座へと歩み寄る。

「それは?」

 玉座を改めた兵士は跪きながら答える。

本来であれば一兵士が王と直に接することはないが、この王、些か性急であり、面倒な手順を煩わしがるのはよく知られていた。

「はっ、悲鳴を聞きつけて駆けつけてみたところ玉座にこれが」

 それは、一枚のカード。


 あなたの罪、確かに頂きました。

                怪盗 Cloud / Dark


「おのれ、不遜な!」

「それよりも、無くなっているものがないか、確認しろ!」

徐々に集まってきた警備兵達の声が大きくなり始める。

「見つけたという侍女は?」

 王がカードを掲げた兵に尋ねた。

「はっ!・・・アレ?」

 キョロキョロとあたりを見回すが警備・調査により兵が増え、侍女たちは1箇所に集められている。

 その中に先ほどの侍女はいないようだった。

「ふむ、恐らくその侍女こそが”闇雲”だったのであろう。恐らく城の物は無くなっておらんのではないかな」

「何ゆえに?」

「やつが本気で盗む気なら、この玉座をこそ持っていって高笑いしそうじゃないか?」

(その通り)

 誰も気づいていないが、実は兵士の数が一人多い。

一人の兵士は笑みを浮かべながら謁見の間から姿を消したのである。



 一旦自室に戻った王は、ため息をついた。

「どうやら、大掃除は終わったようだな。しかし、遊びが過ぎるわ」

 そういって冷水を一息に呷った。

口から出た言葉は文句であったが、表情は親しい友人に向けるような顔だったのである。



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