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残りの本

"抜き足 差し足 忍び足"の"盗賊三肢"のスキル

多様な音を自在に出す"音真似"のスキル

そして幻を知覚させる"幻術"の魔法スキル

 の3種のスキルを複合して作ったオリジナルスキル


        "ミラージュステップ"


攻撃力のない幻惑させるだけのスキルであるが、俺はこのスキルを自分の生命線であると思っているし、何より気に入っている。


 今回はそれを応用し、腕で実行した。

幻影の腕で、ハンカチを彼女の前に突き出し、彼女の視線をそこに集中させておいて、彼女の鞄を開き、万引きされた書籍"エイセスセニスの謎に迫る"を抜き取り、名詞を入れ、最後に鞄を閉じて本をスカートの中に隠したのである。

俺は泥棒であって、スリじゃないっての!

彼女と距離が離れると俺は変装を解き、彼女の後を追いかけ始めた。

泥棒としてもっとも重要なのは直感、センスだ。

彼女はお金のために万引きをするような子ではないだろう。


彼女はとある一角で路地へと入り込む。

狭い道を少し歩いて、どうやらそこが住んでいる家のようだ。

こじんまりとした家で、一人で住むのには余裕があるだろうが、家族でとなると狭いと言わざるを得ないだろう。

手入れもされていないのか、木造の家はあちこち欠けたりしている。

しばらく様子を覗っていると、怒鳴り声が聞こえてきた。

「これだけしか稼いでこれねえのかっ!」

 鈍い音がして、何かが激しくぶつかる音と悲鳴が響きわたる。

 慌てて壁の隙間からのぞいてみれば酔っ払った男が倒れ伏した彼女を足蹴にしているところだった。

俺は慌てて中に飛び込むと、男に体当たりをした。

「なんだてめえはっ!人の家に上がりこみやがって!!」

「悲鳴が聞こえて駆け寄ってみればこの様だ。放っておけるかよ」

 そういうと、男は俺に手を出してきた。

くそっ後ろには彼女が居る。おれはなるべく男の攻撃で彼女を巻き込まないように受け、吹き飛ばされて柱に激突した。

「人の家の問題によそ者が首を突っ込むんじゃねえ、ってな。」

鳩尾にいいのをもらって俺が動きを止めると男は俺の懐を探り、

「コレだけしかねぇのか。貧乏人は他人のことなんか気にしねぇで働いてればいいのによ」

 そう言って彼女の財布からも金を抜いてから家を飛び出していった。

「ごめんなさい、巻き込んでしまって」

 彼女は唇を切ったのか、血を流している。

「俺が勝手に巻き込まれたんだ、気にしなさんな。それより、アンタ、体は大丈夫かい?」

「あなたのおかげで。あ、ありがとうございました。ってあなたのほうがボロボロじゃないですか!早く手当てしないと」

 男が暴れた部屋は砕けた家具などが散らばり危険だったので彼女の部屋へと連れられていった。

彼女の手当てが手馴れていたのは決していい理由からではないだろう。

そして俺は部屋の隅に目を留めた。

リストの残りの本が目に付かないように置かれていた・・・。


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