チートなおじさんが仲間を手に入れました。
おじさん仲間見つけたよ!短めで投稿しました。
「申し訳ないけど…分からないなぁ」
頭をぽりぽり掻きながら苦笑いで答える。
するとカサネという少女は眉を八の字にして困ったように笑った。八重歯がちらりと見える。
「そうか。参ったな。いつもは自己紹介等しなくてもこの言葉で通るんだかな。仕方がない、私はカサネ・ブレイクボールドウィン。第一王国を守る王国騎士団の団長兼王女だよ…よろしくね、君は?」
はっきり言ってさっぱり分からない。だが彼女がカサネ・ブレイクボールドウィンと言うらしい。顔には似合わずかっこいい名前だ。
「僕はケンジだ。別に僕の経歴に特徴は無いけれど、僕は何故か超能力が使えるし、更にこの奇妙な世界に迷い込んでしまったらしい。信じられないとは思うが全て事実だ。だから第一王国というのもあまりピンとこないんだ。すまない」
一息に喋り終えると、カサネは特に驚く様子も見せずじぃっとこちらを覗きこんだ。
「なるほど。お伽噺の様だが君のこの瞳の色を見れば信じるしかあるまいよ。それは『こちら』に来てからなのか?」
案外すんなりと認められホッとしたのもつかの間。自分の目の色がおかしくなっていることを思い出して、目を抑える。何となく、眺められるのが少し辛かった、いや、責められているような気がしたのだ。
「多分…そうだと思うよ。ここに来る前は確か僕の瞳の色は色素が薄かったからブラウンの筈だったんだけれど、ここではまるで吸血鬼の様に変色してしまったようだ」
カサネは相槌をうちながら話を聞いていたが、一段落すると顎に手を当て考えながらまた口を開いた。
「そうか。そう言えばその瞳に似たような人物の記憶を脳の片隅に置いていたな。確か……カルマ」
「カルマ…?」
「そうだ。卒業の業と書いてカルマだ」
「全く聞いた事が無いね…」
「私も名前しか覚えていないのでな。容姿等は殆ど…いや、全く記憶していないな。」
堂々きっぱりと言い放つカサネに苦笑するが、カサネは真顔で肩を掴んできた。
「えっ?」
「ところでケンジ君。私は今まで変人を腐るほど観察してきたが、君の様な男は見たことがない。記憶の中に一人も存在しない。君が本当に稀有な存在だということは理解したつもりであるため、私は例えるならば絶滅危惧種のような君をそのままにしておく訳にはいかなくなった。だから、私と一緒に王国に来てくれないか?」
別に、拒否する理由も浮かばないし、少し間を置いて頷く。
「お願いするよ」
「ふふっ、では私の手を取ってくれ」
カサネの手が目の前に差し出され、一寸戸惑ってからしっかりちゃんとその手を掴む。
「最高速度でいくからな」
「最高速度?」
「まぁまぁ目の穴かっぽじって良くガン見しておいてくれ」
「微妙に違うと思うんだけれど」
カサネは膝を地面につけて、すぅーっと深呼吸をした。そして、悪夢のような時間、いや、時間より瞬間。と表現した方が正しいだろうか。まぁ取り敢えずそんな瞬間が始まったのだ。
「うぉおっ!?」
「ああすまない言い忘れていたよ。この世界は超能力者に溢れているんだ。だから、超能力の国を守る私は必然的に超能力者なのだ。君は敵ではないだろうから説明するが、私の能力は一つ。『自分の体だけを自由自在に操れる能力』。まぁ、私は『インフィニティボディ』と簡単に呼んでいる。だから今私の背中に翼が生えているのは気にしないでくれ」
そう説明するカサネの背中には純白で潔白な白鳥の翼の様なものが生えていて、しかもそれを使って今空中を漂って、いや、飛んでいる。
「そそそんなの聞いてない!」
「ハハハ、言っていないからな!!」
にこにこ愛想良く笑うカサネが、悪魔のように感じた。




