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011 ハーレム女王はぶっつぶせ

「もう・・・ダメ・・・ぽ・・・」


ドシャッ


重厚な音を立てて筋肉の塊・・・いや、体長3メートルはあるオーガが崩れ落ちる。


「ふふっ、まだ熱いベーゼを交わしただけじゃない。熱い夜はまだこれからよ。」


オーガの影に隠れていた女性・・・妖艶な肢体に蠱惑的な笑みを浮かべ尻尾を持つ魔族。サキュバスは倒れたオーガにゆっくりと近づく。


「あら?」


だが既に、筋肉は事切れて反応がない。


「いやだわ、あれだけで生気が尽きるとは。

最近の魔物は貧弱で嫌になるわ。」


ぱちんっ


サキュバスが指を鳴らすと、いつから居たのか筋肉の足元へ佇む影があった。


「お食べ。」


影は不気味ににたぁっと笑うとがばっと口を開く。

体長1メートルに満たない影だが、開いた口は4メートルにも及び、筋肉を1口に飲み込んだ。

そのままもっしゃもっしゃと咀嚼すると、ゴクンと大きな音を立てて飲み込む。


「ふふ、美味しいかい?」


サキュバスの言葉に影は満足そうに頷く。


「ではお戻り。」


影はゆっくりと頷き、サキュバスの影にゆっくりと沈んでゆく。


「ふふ、愛い奴よのう。」


満足そうに微笑むと、扉へと向かって歩き出す。


パタン


「サキア様、昨晩は大変お楽しみのようでしたね。」


扉の横には、執事姿の壮年の男性が畏まって立っていた。

その青い肌といい、額に生えた角といい、間違いなく人間ではないが・・・その佇まいは執事・オブ・執事といっても差し支えない雰囲気だ。


「刺客が入ってまだ10分も立っていないはずだけど・・・」


サキアと呼ばれたサキュバスは、じと目で執事を見る。


「ほっほっほ、お約束というものです。」


執事は楽しそうに笑うと、手に持っていたタオルを差し出す。


「ありがとう。

ですが、相変わらず貴方のお約束というものは良く分かりません。」


「ほっほっほ、知ればきっと抜け出せなくなりますよ。ご説明いたしますか?」


「いいえ、やめておきます。

それより今日の予定は?」


サキアはタオルで手を拭くと、執事の是非とも聞いて欲しそうな顔を無視して問う。


「はっ、隣国の王が代替わりし、改めて和平の使者が来ております。

使者の応対と幾つかの書類に目を通していただき・・・ 」


執事は残念そうな顔をしながらも、すらすらと予定を言い上げる。


「パスパスパ~ス。

そんな面倒な事やってられないわ。もっと血湧き胸躍る予定はないの?」


サキアが両手を上げ首を振るが、執事もそれには否定する。


「面倒といいますが、貴方はこの夜魔国の女王なのですから・・・

もう少し国の事を考えて頂かないと・・・」


「女王って言ったって・・・あの豚(前王)に無理やり手篭めにされそうになったんで、手加減なしに生気を吸ったら干からびて殺したところ?新しい王になれって無理やり就かせたの、貴方じゃないの。」


実はこのサキア、元々王族でもなんでも無い、ちょっと普通よりも凄いだけの、どこにでもいるサキュバスだったのだ。




事の起こりは2ヶ月前

夜魔国の豚王が1人のサキュバスを見初めたのが始まりだった。


ガラララララララ


石畳に敷かれた街道を馬車が疾走する。


「どけどけ~い、どけどけ~い。

豚王様のお通りで~い。」


「どけどけ~い。どけどけ~い。

女を見繕いに下城されたんでい、べらぼ~めぃ。」


御者を勤める2人のオークが何処かで聞いたことがありそうなセリフを吐きながら爆走する。


「馬鹿もん!!

誰が豚王様だ!!オークと豚を一緒にするでないわっ!!

それに女を見繕いにとは縁起でもない。

花嫁の迎えに馬車を出したと言うておろうに馬鹿者めっ!!」


馬車の中からは偉丈夫な男の声が響く。


「てやんでべらぼ~め、豚王様の趣旨が解りやすいように叫んでるでべらぼ~め。」


「てやんでべらぼ~め、言葉を着飾ろうが結果は変わらねぇんでべらぼ~め。」


御者は威勢良く返すと、また叫び始める。


「もうやだ・・・この御者・・・

誰だこんなの雇ったのは・・・」


馬車の中からはそんな声が聞こえるが、御者には全く聞こえていない。


そんな折、馬車がピタッと止まる。


「ふぅ、やっと付いたか・・・」


溜息を吐きながら1人の偉丈夫なオークが馬車を降りると、そこは石畳の真ん中で、目の前には1人の美しいサキュバス=サキアがいた。


「ここは?予定していたナバリ公爵邸には見えないが?」


辺りを見回すオークとは裏腹に、御者をしていた2人のオークはサキアを囲むように降り立った。


「てやんでべらぼ~め、そこのお姉ちゃんかなりの美人じゃないか?べらぼ~めっ。」


「てやんでべらぼ~め、これだけの上玉なら豚王様もヨダレと鼻水垂らして喜ぶぜべらぼ~めっ。」


「ちょっ・・・何するのいきなりっ、辞めなさいよっ。」


御者の2人はそんな事を言いながら、嫌がるサキアを無理やり押さえつけようとする。


「彼奴らは何をしている・・・市井の民に無体を行う事は常々禁止しておると言うのに・・・」


オークは急いで2人とサキアの元に歩いて行く。


「お前達!!いったい何を「豚王様、上玉ですぜ!!これなら豚王様もお気に入りになるはずですぜべらぼ~め。」」


オークの言葉を遮って、御者の1人がサキアを無理やり目の前に連れ出す。


「だから、「よく見ればサキュバスですぜ、これなら豚王様の底無しな性欲に付き合えますぜべらぼ~め。」」


再度問い詰めようとするが、またも御者に言葉を遮られる。


「はぁ・・・済まぬな娘よ「私に何するつもりよ、この豚ぁぁぁぁぉっ!!」」


諦めてサキアに声をかけようとするが、さらに遮られて喉元を掴まれる。


「ぐっ・・・何を・・・」


「殺られるぐらいなら・・・全生気を吸いとってやるぅっ!!」


サキアが叫ぶと、オークから白い光が立ち上り、掴んだ手を伝わって光がサキアの方へ流れ込んでゆく。


「がっ・・・げはっ・・・やっ・・・やめっ・・・」


オークは懇願するが、サキアはその手を緩めようとしない。


「あああああーーーーーーーーーっ!!」


「ぐっ・・・げはっ・・・もう・・・ダメ・・・ぽ」


ドシャッ


遂にはオークはその場に崩れ落ちる。


「豚王様っ、しっかりしろべらぼ~め。」


「てやんでい、てやんでい、何しやがった小娘べらぼ~めっ。」


御者の1人はオークの元に、もう1人がサキアへと詰め寄る。


「うるさいっ・・・あんたらもっ!!」


サキアが叫び、生気を吸い取ると、御者2人も同じように「もう・・・ダメ・・・ぽ」と言って干からびて地面に崩れ落ちて行った。


・・・生気を吸われて死ぬとそんなセリフを吐かないとならないのだろうか?


パチパチパチ


馬車の方から音がすると、執事が手を叩きながら歩いてくる。


「おめでとうございます。

不意をついたとはいえ、この国の王を倒した貴女様は新たな王・・・女王でございます。」


「えっ?なに?どういう事?」


狼狽えるサキアを他所に、執事は恭しく手を差し伸べる。


「言葉通りの意味でございます。」


「だからっ!!言葉の意味って~」


「おいおい説明いたしますので、先ずは馬車へどうぞ。」


先ほどと違い、丁寧な対応に臆したのか生気を吸おうとはしないサキアである。


「えっ?ちょっ・・・仕事が・・・」


「大丈夫です、仕事先と実家にはすでに連絡を入れておりますので。」


「はやっ・・・って言うか、何で分かるの?」


驚くサキアへ執事は恭しく頷き、


「いえ、サキア様は色々と規格外な方でしたので。

動向は把握しておりました。」


何事もないことのように述べた。


「何でっ!?」


「いつ、新たな主人となるやも知れぬお方でしたら、良く調べておかぬばならぬのも執事の仕事ですから。」


「・・・・・・」


この時、サキアは心の中で(コイツだけは間違っても殺してはいけないタイプだ・・・)と思ったが、口に出す事はしなかった。


「という訳で、了承は得ておりますので、すぐに国主交代を民に広げなくばなりません。

 さぁ、すぐに教育にいきますぞ、ほっほっほっほっほ。」


「ちょっ!~なんで私がぁぁぁぁぁ~~~~」


という経緯を経てこの夜魔国の女王となったのだ。

一番可愛そうなのは、部下の不手際によってさくっと殺された豚王のような気もするが・・・




それから数ヶ月、血のにじむ努力の末、このような立派?な女王として現在君臨している。


ちなみに冒頭で倒れた筋肉も、王の座を狙い襲い掛かったが、あえなく撃退された哀れな筋肉である。



サキアは執事に振り返ると、


「そろそろアレを実行に移しても良いんじゃない?」


「アレ・・・ですか?」


「そう、約束のハーレムの準備はそろそろ整えられているんじゃないかしら?」


この言葉にはさすがの執事も顔色が青くなる。

・・・元々青い顔だったが。


「ですが・・・何度も言うように、ハーレムはアレがやってくるのですぞ?」


「何度も言いましたよね?

 ハーレムを作るのが女王になる為の条件だと。」


これは女王教育の前から何度も交わした会話ではあるが、それでもサキアは折れる事はなかった。

"奴が来ても返り討ちにしてあげるから。"と言って聞かなかったのだ。


「・・・確かにその通りです。」


「では、直ぐに準備なさい。

 でなくば、女王の座をすぐにでも投げ出して実家に帰らせていただきます。」


ここでそのまま放逐するにはこの女王は有能すぎた。

豚王の時代もこの夜魔国は豊かに繁栄していたが、サキアが女王になってからいくつもの問題点を解決し、たった数ヶ月で更なる発展に繋がっているのだ。


「畏まりました。

 直ちに・・・」


(1度痛い目に会えば、ハーレム作成も懲りるだろう・・・)

執事はそう考え、何所からかファイルを取り出す。


「候補はここにまとめさせて頂いております。

 いづれも上質の生気を持ち、肉体的にも心身的にも健康な者達です。

 ご確認ください。」


「ここまで準備しているとは流石じゃない。

 直ぐに確認するわ。」


サキアは先ほどまでの不機嫌も吹き飛んだようで、揚々とファイルの中身を確認する。


「ふんふん、この子はいいわね・・・・この子は、ちょっと嫌ね。

 これは、生理的に無理・・・この人もいいわぁ・・・・・これは・・・・ムシね。

 うげぇ・・・・・・あらっ、この子いいじゃない。

 ・・・・・・これはないわぁ・・・・・・いじめがいがありそう・・・。」


などと言いながら付箋を貼っていく。


「この付箋を貼っている子だけ集めて頂戴。

 出来るのなら、すぐに政務に取り組むわ。」


ファイルを受け取りながら執事も頷く。


「仰せのままに。」




―そして更に数日後―

運命の日はやってきた。


「おはよう。

 今日はハーレムの完成日よね?」


いつも通り刺客の生気を吸い取り、影にその肉体を食らわせたサキアは寝ぼけ眼もそのままに扉の横に立つ執事に問いかける。


「はっ、ご準備できております。

 こちらにどうぞ。」


背筋に冷や汗を流しながら執事はサキアを一つの部屋へ案内していく。


「うふふ・・・やっと夢だったハーレムなのね・・・ふふふ」


その背についていくサキアは舌なめずりしながら、これから起こるめくりめくる肉欲の宴に想いを寄せる。


・・・・・・・かすかに聞こえてくるBGMに気付かないままに。




「こちらでございます。どうぞお入りください。」


執事が扉を開き、その中へサキアを導く。


部屋の中では9人の少年から中年まで、色とりどりの色男達が待っていた。


「ほぅ・・・これが全て私の・・・」


「「「「「お待ちしておりました女王様!!」」」」」


男達は皆、緊張した面持ちで挨拶をしてくる。


「美味しそう・・・」


サキアは涎を我慢しながら、ゆっくりと一番手近にいた少年へと手を伸ばそうとする。


そして少年の頬へサキアの手が触れようとしたその時・・・それまでは微かだった音が大きく聞こえてきた。



わ~れっらむ~てっきの~そ~ろぐ~んだ~ん♪

ハーレムな~んってぶっとばせ~(おー)♪

はーれっむゆ~しゃは?(めっさつだー)♪

はーれっむこっくおっう?(ぼっくさっつだ~)♪

ほっかにっもいっろいっろあっるけ~れど~♪

いっぷたさ~いは~(みなごろし~)♪

お~と~こた~るも~の(ひっとり~にし~ぼれ~)♪

お~んな~はも~ちろ~ん(つ~つま~しく~)♪

あ~あ~♪

そう~しそ~うあ~いつら~ぬ~けば~♪

お~のず~と~な~るな~る(いっぷいっさい)♪

いってお~くが~♪

ひ~がみ~じゃ~な~いぞ~♪

じゅ~んあ~いろせ~ん~がすっきな~だけ~(おー)♪

き~っとであいがあ~るは~ずと~(想いつづけてうんじゅうね~ん)♪

さびしくないさ~、さびしくないよ~(背中がすすけて見えるだけ~)♪

ハーレムな~んて(ぼっくさ~つ、めっさ~つ)♪

あ~あ~、われ~らむってき~のそ~ろぐ~んだ~ん♪

あした~もきっと~、ち~のあ~めだ~♪


「この歌はっ!~」


「やっぱり来おったかっ!!」


「よっしゃっ、これで開放されるっ!!」


「助かったぁ~!!」


歌に伴って、集められた色男たちは安堵のため息を漏らす。


「ふふふ・・・やはり、来ましたのね。」


対照的にサキアは空間から転移してきた奴=ぼっち魔王を睨みつける。


「ハーッハッハッハッハッハッハッハ。

 俺様、とうっっっっっじょうっ!!」


靄が形を取ると、そこにはぼっち魔王が決めポーズをとりながら立っていた。

そのポーズはまさしく北海道大学のクラーク像のそれであった。


サキアはぼっち魔王へと恐れもせず、ゆっくりと近づいていく。

・・・そして。


「先手必勝!!

 その生気、頂きますわっ!!」


豚王の生気を吸った時のように、ぼっち魔王の喉元を掴む。


バチバチバチッ


「キャッ!?」


が、何かに弾かれたようにその手がすぐに離れてしまう。


「何をしようとした?」


ギロリ


ぼっち魔王がサキアを睨みつける。


「くっ、流石噂に聞こえたぼっち魔王ですわね。

 生気を吸い取って、ハーレム撲滅なんてたわけた事を2度と言わないようにしてあげますわ!!」


「ほう、俺の生気を吸い取るか。

 面白いことを言うな・・・ならばやって見るがいいっ!!」


何を思ったか、ぼっち魔王はふんぞり返ると喉元をサキアへと突き出す。

それを見たサキアは笑いが止まらなかった。


「ほ~っほっほっほっほっほ。

 サキュバスを相手に無防備となるとはっ!!お覚悟っ!!」


むちゅ~


無防備なぼっち魔王へとサキアはツカツカと近づくと、そのままディープキスをお見舞いする。


「んなっ!!」


ぼっち魔王は目を見開くとサキアを力づくで引き剥がす。


「何しやがるっ!!」


「あっ・・・!?」


引き剥がされたサキアは、ものすっごい名残惜しそうに手を伸ばす。


「きききききき・・・キスってのはだなぁ!!すすすすすす好きあってるものがだなぁ!!」


どもってるどもってる。


「あぁ・・・この生気・・・・まったりとしていて濃厚で・・・それでいて後味がすっきりとした・・・こんな上質な味・・・初めてですわっ!!」


そしてこっちは恍惚とした顔で何かを呟いている。


「いいいいいいいいいい、いいかっ!!

 きききききききききキスは大事にしなければいかんからなっ!!」


意外とぼっち魔王は純情だったようだ。


「え・・・あ・・・はい・・・」


そして何があったかサキアは素直に頷く。


「いいかっ!!

 サキュバスか何か知らんが、女は慎みを持て!!

 男は慎みを持った女性が好きなんだ!!」


いや・・・それは人それぞれだろ?


「ええ・・・その通りです。

 少々慎み深さを忘れておりましたわ・・・」


が、素直に頷く。

本当に一体何があった!?


「女王が大変なのは判る!!

 だがな、男に逃げちゃ駄目だろ!!いいか、男女関係たるものはな・・・・・・」


その後もぼっち魔王は健全な男女関係について延々と講釈を垂れていくが、サキアは頬を紅くしてそれをずっと見つめる。



「・・・・・・・・いいかっ!!女ならば男1人に絞るもんだ!!判ったな!!」


「はいっ、その通りにいたしますぼっち魔王様だけにいたしますっ!!」


ぼっち魔王の締めくくりにサキアは思いっきり抱きついた。


「「「「「・・・・・え?」」」」」


この行動には、その場にいた全員が目を点にした。

もちろんぼっち魔王もだ。


「何をするっ?」


ぼっち魔王がサキアを引き剥がすと、まるで捨てられた子犬のような目でぼっち魔王を未練がましく見つめている。


「あぁん、ぼっち様ぁ・・・せめて腕だけでも組ませて・・・いえ、せめて手を握って・・・いいえ、小指だけでも掴ませてくださぁぁぁい。」


その視線に堪えかねたのか、


「・・・小指だけだぞ。」


「はぁい♪」


仕方なさそうに答えたぼっち魔王へ、返答が最後まで続かないうちにサキアは両手でぼっち魔王の両手の小指をギュっと握り締める。


「・・・片方だけだ。

 じゃなければ振りほどく。」


「う・・・・片方だけですか?」


ぼっち魔王の言葉にサキアはまたもや捨てられた子犬の目で見つめる。


「ぐ・・・なら、左手の小指と薬指だけ許す。」


「わぁい♪」


その言葉に喜んでサキアはぼっち魔王の左側に回りこみ、大切そうに小指と薬指をぎゅっと握り締めた。


「それで・・・俺はハーレム反応を感じて潰しに来たんだが・・・」


頭を抑えながら呟くぼっち魔王へサキアは笑顔のまま答える。


「あら、それなら大丈夫ですわ。

 皆さん、もう帰ってよろしいですわよ。」


「「「「「へ?」」」」」


余りもの急展開についていけなかった執事と色男達は、その言葉に更に困惑する。


「私はもうぼっち様のモノですから、他の男はいりません。帰ってくださいな。」


「・・・ちょっと待て、誰がお前のモノだ?」


この展開は予想もしてなかったのかぼっち魔王も困惑している。


「嫌ですわ。私がぼっち魔王様のモノなのですわっ♪」


「・・・間に合ってます。」


「あぁん・・・でもそんないけずなぼっち様も、す・て・き(はぁと)」


ぼっち魔王は背筋に鳥肌が立って、サキアを蹴り飛ばす。


「ええい、きしょいわっ!!」


「いやぁん♪」


だが、蹴り飛ばされた方は嬉しそうだ。


そこへ我に返った執事が問いかけてくる。


「つまりサキア様は、もうハーレムは用済み・・・と?」


「ええ、その通りですが何か?」


何を当然な?とサキアも返事する。


「では、ハーレムが無くとも、女王となって国政を取り仕切っていただけるのですな?」


「それは無理よ♪女王なんてしてたらぼっち様の後を追う事ができないじゃない♪」


「それはそうですが・・・」


「いや・・・本気で止めてくれ・・・」


ぼっち魔王は本気で嫌がっているようだが、サキアの耳には届いていない。


「ああ、夢のようですわ・・・

 こんな極上で底の見えない生気の持ち主に会うことが出来るなんて・・・」


その顔は間違いなく恋する乙女の顔だ。


「はぁ・・・もう帰っていいか?」


疲れた顔で帰ろうとするぼっち魔王。


「あん、待って下さい!!私も連れて行ってください!!」


懇願する抵抗するサキア。


「サキア様、今やこの夜魔国は貴方様がおらぬば成り立たぬ国となりつつあります。

 是非ともこの国にお残り下さい!!」


必死に引きとめる執事


「なぁ?」


「俺たち何の為に集められたんだ?」


「さぁ?」


「まぁ、生気吸われなかっただけでも良かったと思えば・・・」


「そうだな・・・」


ただただ呆然とする色男達。


・・・一体どうしてこうなった。


この後、高度な駆け引きを駆使した結果、サキアがしっかりと国を統治すれば、時々顔を見せるとぼっち魔王が承諾する事となった。

少しでもぼっち魔王に気に入られようと、女王業を誠実にこなし、夜魔国は魔国の中でも屈指の大国へと成長していくのだった。


その後、サキアとぼっち魔王の仲が進展したかというと・・・言わない方が幸せかもしれないので省略させていただこう。

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