表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/14

010 時にはハーレム無しも必要と言う事で?

人の世界と対をなす存在、それが魔の世界。


・・・と言っても、人の世界とそれほど違いは無い。

せいぜい、多種多様な種族が共存していたり、

迷宮が人の世界より発生し易かったり、

国王の座は力で奪い取るものだったり、

好き勝手に生きる人が多い程度だ。


なので、国王の座を狙う者も多く、このようなやり取りは良くあることだったりする。




バァン!!

「親父ー!!

今日こそ王位を明け渡してもらう‼」


扉を勢い良く開けはなった少年は、玉座にいる人物に指を突き付ける。


「ファーハッハッハ。

息子よ‼

世代交代にはまだ早いわぁ!!」


バサァッと音を立ててマントを広げと、ふんどし一丁の変態が立っていた。

もちろんマッチョで、胸の筋肉とかピクピク震えている。


「・・・親父、また服を着忘れてるぞ。」


少年はじと目で睨む。


「なんとぉっ!?」


指摘された王は改めて自分の服装を見る。


「・・・・・・・・・

何を隠そう、この服は「馬鹿には見えないんだろ?」・・・」


先を言われて口を噤でしまう。


「その言い訳は1228回目だ。」


いちいち数えていたのか・・・


「肉体美とは!!」


「黄金比で計算の上、鍛え抜かれた筋肉だろ?

ちなみに652日目だ。」


「ぐっ・・・

これはだな・・・」


「赤フンは漢のアイテムが529回。

寝る時はすっぽんぽんが216日。

筋肉と対話していたが419日。

風呂に入っていたが859日。

着替え中が989回。

力を入れたらはちきれたが549回。

ついむしゃくしゃしてが284回。

情事中だったが1回だ。

しかも、最後のはその後俺に1ヶ月口を聞いて貰えなくて、最後には土下座までしたな。」


こいつらに言いたい。

お前等、お互いに好きすぎだろうと。


王は項垂れると、


「す・・・すまん・・・

すぐに着替えてくるから待っててください。」


半泣きになって隣室へすごすごと歩いて行った。


「ったく、いつも最後には着替えに行くんだから、言い訳するなよな。

数えてメモしておくのむ大変なんだから。」


そう言って、手の中に隠していたメモ帳に訂正を入れる。

ポケットにしまうその顔は嬉しそうだが、突っ込む者は誰も居ない。



ー5分後ー



「こねぇな・・・」


少年はあぐらをかいて床に座っていた。



ー10分後ー



「いつまで待たせんだ?」


少年は床に寝そべりながら、1人口ごちた。


・・・服が汚れるぞ?



ー20分後ー



「・・・・・・・・」


少年は何処から取り出したのか、床に寝そべって冊子を読んでいる。



ー30分後ー



「そろそろ行くか。」


少年は首を鳴らし、肩を回すとすくっと立ち上がる。

そして先ほど王が歩いて行った隣室へむかうと、やおらに扉を蹴破り、


「くぉらぁっ!!

着る服くらいさっさと選べやぁ!!」


部屋の中では、毒々しい程に真っ赤な中にも、金糸の刺繍で薔薇が描かれたタキシードを右手に。

眩しいほどに鮮やかな黄色に、赤糸でドクロが描かれたタキシードを左手に持ち、鏡の前でポーズを決める王が立っていた。


「って、どんな趣味だよ親父・・・」


どう見ても残念な趣味です。


「ぬおっ!?

入る時はノックをしなさいと、いつもいっておるではないか!!」


冷静に切り返す王。

だが、ツッコミ所が違うと思う。


「おっと、そうだったな。」


少年は1度扉の前に戻り、改めてノックする。


コンコンコン


「入ってま〜す♪」

「・・・じゃねえだろっ!!」


少年は顔を真っ赤にして王の胸倉に掴みかかる。


「そうじゃなくてだな!?

俺は親父の地位を奪いに来たんだよ?

なんで馴れ合ってるの?

アホなの?

死ぬの?」


素直に入り直してる辺り、少年も相当毒されている気がするが・・・


「だってお前まだ弱いし。」


王は鼻をほじりながら話す。


「ふんっ、あれから1年みっちり修行した。

以前の俺と思うなよ!!」


少年は魔力を練り上げ、己の力を見せつける。

その魔力を見て、王も目の色を変える。


「こっ・・・これは・・・

良くぞここまで力をつけた。

・・・よかろう、本気で相手しよう。」


王は真剣な表情で構えを取る。

・・・ふんどしのまま。


「親父・・・せめて服は着ろ。」


少年は手近にあった服を取ると放り投げる。


「すまんな。

すぐに着てくから、隣で待っててくれ。」


いそいそと服を着込む王。

・・・あいかわらず締まらなかった。



「待たせたな。」


闇のような漆黒の色に、紫のラインが入ったタキシードに身を包み、隣室から王が出て来た。


少年は部屋の中央で座って待っていたが、王の姿を見て立ち上がる。


「そうそう。

きっちり着こなせばカッコイイんだから、普段からしっかりしとけよな・・・」


少年はしきりに頷いている。

やっぱ、ファザコンじゃん・・・


「いやぁ、お前に言われると照れるな。」


そこ、照れてない。


「んじゃ、始めますか!!」


少年は舌なめずりすると、先程のように魔力を全開にする。


「ふ、修行の成果見て貰うぞ!!」


王の返事を開始の合図となった。

少年が地を蹴り、王との距離を詰める。


「ふはは、それでも返り討ちするのが親の勤め!!」


王が魔力を溜め、少年の突撃に備える。

・・・が、目の端に何かが映る


ヒュヒュンッ


それは王と少年の死角から飛んできた。


「っな!?」


最初に2本の槍に気付いたのは王だった。

少年は戦いに集中するあまり、周りが見えていない。


「喰らえっ!!」

「危ないっ!!」


2つの声が重なり合う。


ドゴッ!!


少年の全力の王の腹部に決まる。


「やっ・・・!!」


あえて少年の攻撃を受けた王は、そのまま優しく少年を抱き締める。


「え!?」


ドシュッ


少年が困惑した時、2本の内1本の槍が吸い込まれるように王に突き刺さっていった。

無慈悲にも王の脇腹を貫通し、槍の穂先が少年の目の前に顔を覗かせる。


「・・・・え?」


少年の理解が追いつかない。


「魂の篭った良い一撃だった・・・。ごふっ・・・」


王は少年が無事だったことを確認すると、笑って崩れ落ちる。


「おや・・・じ?」


少年は放心したまま動かない。


「ひゃーはっはっはっはっは。」


下品な笑い声玉座の間に響き渡る。


「ちょれぇ。

チョロすぎるぜ!!

これが歴代1と言われた王かよ。

これなら闇討ち無しでも、簡単に倒せたんじゃねぇの?」


言葉使いが外観に程よくマッチした、薄汚い格好の男が柱の裏から出て来る。

崩れ落ち、息も絶え絶えの王を見ると、舌なめずりし、


「ついでに止め行っちゃいますかぁ〜。」


虚空から槍を取り出すと、放心したままの少年に近づく。


「あ・・・あぁ・・・」


少年は突き出したままの右手と倒れ付した王の姿を交互に見るのみだ。


「あ〜らら、この程度で放心とか、マジあり得ねぇ〜。

・・・まっ、あとあと面倒な事になるとかチョーありえねぇし、こいつも殺っとくか♪」


男は軽い口調とは裏腹に、素早い動きで少年を蹴り上げる。


「ぐっ・・・がはっ。」


腹を蹴り上げられた少年は体をくの字に折り曲げ、地面に手をつく。


「ほ~らよっ!!」


その手を蹴り、右手で少年の後頭部を掴むと、その勢いのまま床にぶつける。


「がっ・・・」


「悔しいか?

 親父の仇になんもできねぇで、ただ嬲られるしか出来ないってのは悔しいよなぁ~♪」


男は楽しそうに何度も少年の顔面を床に打ち付ける。


ガスッガスッガスッガスッ・・・・


少年の額は割れ、すでに顔面は血だらけだ。


「・・・さねぇ・・」


少年の呟きに男は動きを止める。


「ん~?

 なんか言ったか?」


蚊の鳴くほどの声で少年は続ける。


「・・・さねぇ・・・

 ・・・ゆる・・・さねぇ・・・」


ぶつぶつと少年の怨嗟の声を聞きながら、男のテンションは更に上がる。


「イイ・・・イイッ!!

 こうこう・・・この怨嗟の声がたまらなくイイんだよ!!

 もっとだ・・・もっと、俺を恨め!!」


男はそのまま少年の頭を床に叩きつけ、後頭部から手を離すと足を乗せ、ぐりぐりと足を動かす。


「刺されても、同じ言が言い続けられるかなぁ♪」


男は槍を構えなおし、少年の背中に向かって振り下ろす。


ガシッ


が、別の男の手で槍は少年を刺し貫く5cm上で止まった。


「あぁ~ん?」


槍は王の右手によって止められていた。


「死にぞこないが邪魔すんじゃねぇよ!!」


ゲシッ


槍を止めるのがやっとだったのか、王は男に蹴られると、そのまままた倒れてしまう。


「子を守るは親の務め・・・

 息子の為ならば・・・そう簡単にくたばる訳にいかない!!」


「親父を痛めやがって・・・ゆるさねぇ!!」


王と少年はふらふらとしながらも立ち上がる。


「うぜぇ・・・うぜぇなぁ・・・

 せっかく、苦しませてから殺してやろうと思ってたのによ・・・

 もう良い。

 死ね。」


男が右手を突き出すと、虚空から何十本と言う槍が親子に向けて現れた。


「息子よ・・・愛しておる。」

「馬鹿親父・・・俺もだ・・・」


2人は互いを支えにしながらも男を射殺すように見つめている。


「例え我等を殺そうとも、お主の様な輩に国主は務まらぬわっ!!」

「絶対・・・絶対に殺してやる!!」


大して、男は褪めた目で親子に向けていた右手を下に下ろす。


「そういうウッゼェの良いから・・・ナ?

 死んじゃって。」


解き放たれた槍は、親子にむかい襲い掛かっていった。


「「うおおおおおおおお!!!!!」」


親子は全魔力を放出し、攻撃に備える。

最後のあがき・・・と言う所だろう。

満身創痍の体で、止められるような攻撃ではない。



・・・・・・・・・・・・・だが・・・・・・・・・・・・・


ガキキキキキィンッ


お忘れだろうか?


「なっ・・・全てを貫く俺の『ロンギヌスの槍』がっ!?」


すっかり出番の無かった主人公・・・ぼっち魔王のことを!!


「くらぁ!!

呼び出しておいて、いきなり攻撃とかどんなトラップだ!!」


「だっ・・・誰だっ!!」


虚空から飛び出した影は、降り注ぐ槍を全て止めていた。

更に胸を張って自分を指差し、


「俺だっ!!」


と高らかに叫ぶ。


その影に、男は訝しげな顔をして見つめる。


「・・・・・・誰だ?」


「俺、俺、俺だよ俺!!」


某詐欺並に、俺俺連呼する魔王。


「いや、知らねぇし。」


男は素っ気なくいうと、距離を取る。

攻撃をあっさり止められたことで、魔王に対して警戒を感じたのだ。


「が〜ん・・・・・・・」


だが、魔王はそんな事お構いなしにorzの形で地面に膝を着く。


「久々に『見せたい物がある。』とか連絡あって来て見たら・・・

 姿形が変わってるし、出た瞬間攻撃されるし、知らない人呼ばわりされるし・・・」


なぜ他人と気づかないんだろう・・・


「もういい!!

お前なんか・・・友達辞めてやる!!」


子供かよ・・・


魔王は男に背中を向け、駆け出そうとする。

・・・が、そこで王と目が合う。


「・・・・・・・・・あ。」


王は安堵したような、呆れたような、笑い出しそうな複雑な表情で魔王を見ている。


「よう。」


王が言葉を掛けると、魔王は慌てたように王と男を何度も見比べる。


「えっ!?・・・あっ・・・おっ・・・おう。

・・・もちろん判ってたぞ?」


胸を張って言うが・・・色々と台無しだ。


「って怪我してんじゃねぇか。

・・・決闘か?」


言外に決闘中なら手は出さない・・・と言うことだろう。


「恥ずかしい話だが、息子と決闘中に水を差された。」


「ほぉう・・・そりゃぁ、恥ずかしいな。」


王の言葉に魔王は"にやり"と笑う。


「う・・・後ろ・・・」


少年がかすれた声で魔王の後ろを指差す。

その顔は蒼白で、体は蛇に睨まれたおたまじゃくし並に震えている。


「あん?」


魔王が後ろを向くと、先ほどの数倍の太さの槍が数百本浮かんでいた。


「俺様から意識を外したのは間違いだったな!!

たぁっ~ぷりと準備させて貰ったぜぇ!!

喰らいな、『神槍グングニル』!!」


全ての魔力を使って発動したのか、手を振り下ろすと同時に男は地面に膝を着く。

隙間が無い程に具現化された槍が勢い良く降り注ぐ。


「うわぁぉぁっ!!」


これには流石の魔王も頭を抱えて座り込む。


「とうさんっ!!」


少年は力を振り絞って王の前に障壁を張る。


・・・が、


「何やってる・・・」


王は冷めた目で魔王を目ている。


そして全ての槍が魔王と王と少年へと突き刺さる瞬間、


「いやぁ、こうしといた方が盛り上がると思って・・・」


泡となって消えさった。


「「・・・・・・・・・・・・・・え?」」


男と少年の目が点になる。


「さて・・・と。

 遊びはこのぐらいにしておいて・・・取り敢えず、傷は直しとくか。」


魔王が指を鳴らすと、王と少年の傷が一瞬光り、跡形もなく消え去った。


「助かった。

礼を言う。」


「えっ!?・・・なんでっ!?

 アレだけの傷、簡単に直せるもんじゃねぇぞ!?」


ごく自然に受け入れる王とは反対に、少年は瞬時に回復した自分の体に驚いている。


「・・・・・・は?」


男は常識外の魔王の行動に放心しかけていた。


「あの程度の奴、簡単に倒せるだろ?

なんでそんな大怪我してんだよ。」


魔王の問いに王はにかっと笑う。


「愛する息子のためだ。」


「んなっ・・・」


どストレートな回答に、魔王ではなく、少年が顔を真っ赤にする。


「なっ・・・ばっ・・・何言ってんだよ、馬鹿おやじ・・・」


満更でもなさそうにしながら、悪態をつく。

うん決定、ツンデレ王子だ。


そんなツンデレ王子を愛しげに見つめる王を見て、魔王は呼ばれた訳に思い当たる。


「なぁ・・・見せたかった物って・・・ひょっとして?」


「うむ、これだ!!」


ドサッ


王は虚空から"サルでも解る国家経営"という本を取り出した。

その本をこれ見よがしに魔王へ見せると、


「受け取るがいい、息子よ。」


ツンデレ王子へと差し出す。


「えっ?

あ・・・ああ。」


なにがなにやらよく判らないままも、ツンデレ王子は本を受け取る。


「これで良し!!」


王は頷くと、魔王へニカッと笑う。


「あのな・・・こんな簡単に王位継承とかやるなよ・・・」


魔王は頭を押さえて呟く。


「えっ・・・?

 王位継承って・・・?

 えっ・・・これ受け取っただけ?

 えっ?・・・・・・えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」


ようやっと事態を飲み込めたツンデレ王子、改め、ツンデレ王は目が点になる。


「ファーハッハッハッハッハッハッハ!!

 見届けたな?

 見届けたよな?

 これでお前立会人。

 俺、自由の身。

 息子、この国の王。」


王、改め、ふんどしは笑いながら魔王の肩をバンバン叩く。


「はぁ・・・まぁ、新王よ、あの親父の子に生まれたことを恨むんだな。」


魔王はツンデレ王の肩を叩く。


その頃・・・

忘れられていた男は我に返っていた。


「はっ・・・いけねぇいけねぇ・・・あまりの事に意識が飛んでたぜ・・・

 だが・・・あの本をを奪えば王になれるんだな!!」


全員の意識が自分に向いていない事を確認し、気配を消しながらツンデレ王の背後に回ろうとする。


ガシッ


「残念だが、俺の目の前で友人の息子を襲うとは良い度胸だ。

 その度胸に免じて、天国につれてってやろう。」


魔王は男の後頭部を鷲掴みにし、虚空に穴を開けて投げ捨てる。


「なっ・・・」


「めくるめく快楽の海へ行って来い。

 ホモの国への直通だ!!」


「いぃやぁぁぁぁぁ〜!!」


噂のみで聞く、ホモによるホモの為のホモ達の国。

そんな国へ落とされた男の貞操・・・いや、未来は如何に?


「さて、ゴミの始末も終ったし。」


魔王はツンデレ王へ振り向く。


「友人の息子だ。

 ある程度の手助けはしてやる。


 だが!!

 ハーレムだけは作ったら潰すから気をつけろよ?」


何を・・・とは言わない。


「はははははは・・・ハイッ!!」


ツンデレ王はその言葉に股を押さえながらコクコクと頷く。


「ハッハッハッハッハッハ、いいぞ~、息子よ、念願の王の座だ。

 頑張って良い国を作るんだぞ~♪」


ふんどしは朗らかに2人のやり取りを見ていた。




・・・・・・・・あれ?

こんなやり取りで国王の交代って・・・普通・・・なのか?

まぁいいか。


きっと魔族の国では、こんなやり取りで国王の座は受け継がれてゆくのである!!

・・・・・・多分!! (んな訳ない。)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ