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堕天の燈火【人間の書】  作者: 深川我無@書籍発売中


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地下神殿への入口1

「あの天使像が地下神殿への入り口になってるの!」


 ベルは天使像を指さして言う。


 

「てことは、あいつをぶち壊せばいいんだな?」


 カインは大小二対の鉈を鞘から抜いて天使像に駆け出した。

 

 カインはユバルとヤバルを交差して構えると、天使像の左右から一斉に斬りかかった。ユバルとヤバルは互いに引き合い、目にも止まらぬ速さで天使像に襲いかかる。

 

 金属のぶつかる硬質な音が響き渡った。


 しかし驚いたことに天使像はまったくの無傷だった。


 刃は少しも石像に食い込むことなく翡翠色の肌の上でぴたりと止まっている。カインは力んで震えるほどに力を加えたが、天使像はびくともしなかった。

 

「うお!!」

 

 咄嗟にカインが身を躱すと、カインのいた場所を紅い光線が飛んでいった。

 

「あの大きいのがまた撃ってくる前になんとかしないと!!」

 

 ハンニバルはネロの言葉に頷くと黒いエーテルをライラに注ぎ込んだ。しかし今回はいつもと様子が違っていた。エーテルはいつものように黒い雷となって外に溢れず、ハンニバルの剣の中に留まった。やがて剣は熱を持ち、その熱で空気がゆらゆらと揺らめきはじめた。

 

 ハンニバルは足を前後に大きく開いて構えると、ライラを肩に担ぐような型をとった。

 

天穂火(アメノホヒ)

 

 ハンニバルは溜まった力を熱に変えて振り下ろした。

 

 熱で太刀筋がぐにゃりと曲がって見える。その姿は燃え盛る稲穂を振るうような、緩慢で柔らかな動きに見えた。孤を描く稲穂の動きに合わせて、灼熱の熱波が降り注ぐ。

 

 しかしそれらはネロが見た幻にすぎなかった。


 本当の太刀筋は幻のずっと前に一瞬の内に打ち下ろされていたからだ。


 しかしハンニバルの放つその業は、見切ることの出来る眼を持つ者には全てネロが見たように写っただろう。

 

「熱い!!」


 ベルは驚いてネロにしがみついた。

 

「何が起こったの!?」

 

「ハンニバルが凄い技を出したんだよ」


 ネロはベルに説明した。

 

 ハンニバルの一撃は翡翠の石段を溶かした。それほど強力な一撃だったのだ。


 しかし溶けて固まった階段の真ん中には、依然として無傷のままの天使像が存在しない顔をこちらに向けて仁王立ちしていた。

 

 天使像はまたしても紅い光線を繰り出してきた。ハンニバルはそれを避けるとパラケルススに助言を仰いだ。

 

「パラケルスス! あの天使像はどうすれば倒せる!?」

 

 パラケルススはぐったりとうなだれて、生気の無い目でハンニバルを見るとヒヒっと笑った。

 

「わしにも分からん! お手上げじゃ! なーんにも分からん!」

 

 パラケルススはそう言うとひゃひゃひゃひゃと高笑いを始めた。一行はそんなパラケルススを見て愕然とした。

 

「パラケルスス!? どうしちゃったの?」

 

 ネロがパラケルススの肩を掴んで叫んだ。

 

「さての? どうしちゃったんじゃろう?」


 パラケルススは相変わらずヘラヘラと笑って言った。

 

「パラケルスス、心壊れマシタ……」


 パウは静かにつぶやくと、パラケルススに向かって手を合わせてお辞儀した。

 

 ふと目を上げると先程まで不安定な恰好で空中を漂っていた巨大な天使像がしゃんとした姿勢で浮かんでいた。

 

「あれはなんかヤバいんじゃないのかい!?」


 スーはそうつぶやくと一目散に走り始めた。

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