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堕天の燈火【人間の書】  作者: 深川我無@書籍発売中


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旅の仲間1

「さてさて。それではネロ。如何にして堕天の燈火を天界に返すか説明してしんぜよう」


 王はマントを翻してネロから距離を取った。

 

「見たまえ!」


 王が(くう)を撫ぜると、光鱗(こうりん)がチラチラと瞬き様々な景色が映し出された。

 

「かつてこの世界には天界の神に祈りを捧げる祭壇がいくつもあった」

 

 ブラフマンの手の動きにあわせて、緑に囲まれた美しい祭壇や、見たこともないほど大きな滝のそばに造られた祭壇、溢れ出る泉の中に建てられた祭壇、天空にそびえる祭壇など、様々な祭壇の映像が浮かんでは消えた。そのどれがも信じられないほどに美しかった。

 

「この祭壇に堕天の燈火を供えて祈りを捧げることで、燈火を天に帰すことができるというわけだ」


 王はネロを見てニヤリと笑う。

 

「しかし、人間はいつしか神に祈りを捧げることを辞めて、これらの祭壇で邪悪な行いに(ふけ)るようになった」

 

 今度は美しい祭壇でおぞましい儀式が行われる映像が次々と映し出された。生贄の儀式、酷い拷問、親が子の肉を食す様子、おびただしい数の裸の男女が血まみれで交わる様子。そのどれもが目を覆いたくなるような光景だった。

 

「人間は美しい祭壇を破壊し、そこに邪神の祭壇を建てた。そして残った祭壇のほとんどは邪教徒の手によって破壊されてしまった」

 

 巨大な一ツ目の頭巾を被った邪教徒達が神殿を破壊し神官たちを襲って拷問する様子が映し出される。

 

「邪教徒の多くは我がシュタイナー王国の騎士団の手によって撲滅された。しかし祭壇は穢され、破壊され、ほとんど残っていない。残った祭壇はたったの三つ。しかもその全てが北の大帝国ルコモリエの領内にある」王の顔が突然険しくなった。

 

「当然、君一人でそこに向かい使命を果たすことなど到底、不可能だ」

 

 王はネロの周りをぐるぐると歩きながら話を続けた。

 

「ならばどうするか? そこで私は考えた。一人では無理だと言うならば精鋭たちを護衛に付ければよい!」

 

「異議あり!! 帝国に我が国の精鋭を送るなど! 戦争になりますぞ!!」


 レオ家のサンダーズが大声で叫んだ。

 

「私も不本意ながらこの男に同感ですな」


 オフィウクス家のナーガもそう言って立ち上がった。

 

「まあ待て。話は最後まで聞くものぞ?」


 王は両手をひらひらとさせて二人を制した。


「無論、騎士団を差し向けることはせぬ。彼の国との戦争は余も望むところではないのでな。この国の国民ではない者から護衛は選出した。皆にお見せしよう。入るがよい」

 

 扉が開き四人の男と一人の女が入ってきた。それを見た評議会の面々は口々に驚きの声を漏らした。

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