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堕天の燈火【人間の書】  作者: 深川我無@書籍発売中


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チルノン山の怪物2

 

 黒く重たいアストラル体が文字列や幾何学模様を地面に映し出していく。

 

「コラの子供達、反逆の徒、冥府の門を開く鍵、閉じれば開くことは無い扉、黒鉄の鎖を繋げば解く者は無し」

 

「開け…暗黒(ノウン)

 

 パラケルススが唱えると地面が黒い霧のようになった。ネロも仲間も毒蛙も、あまりの禍々しさに一瞬固まった。

 


「黄泉の暗黒を呼び起こしたのか?」



 グエナダの顔が恐怖に引きつった。

 

 すると突如、黒い霧の中から真っ白な手が無数に伸びて毒蛙達を次々と暗闇の中に引きずり込んでいった。


 ネロが足元の黒い霧の中に目を凝らすと、真っ白な顔に糸で閉ざされた眼と口を持つ禍々しい存在と眼が遭った…


 眼は閉ざされていたが確かに眼が遭ったのだ。

 

 それは長い黒髪を靡かせて、闇の中を獲物の方へと泳いでいった。


 ネロはそんな死霊達の晩餐を固唾をのんで見守っていた。冷たい死の手触りがあたりには充満していた。

 


 パラケルススの魔法でほとんどの毒蛙が姿を消した時、パウは勝負をかけにいった。


 空を三度蹴ってグエナダの攻撃を躱すと、槍を抱えてグエナダの脳天に向かって真上から真っ直ぐ急降下した。


 誰もがパウの勝利を確信した時だった。

 


「馬鹿者めが!」



 グエナダが勝ち誇りながら大声で叫ぶと腹から新たに二本の手が生えてきた。


 その二本の手でまるでハエを叩くようにパウをバチンと捕まえてしまった。

 

 パウはなんとか槍を支えにして叩き潰されることは免れた。


 苦痛に悶えながらもなんとか抜け出そうと足掻くパウに向かって非情にもグエナダの毒針が襲いかかった。ネロは思わず目を閉じた。

 

 ズブリ。

 

 嫌な音がした。恐る恐る目を開くと信じられない光景が広がっていた。

 

「キサマ! なぜワタシをかばう!?」

 

 そこには毒針を深々と突き刺されたカインの姿があった。

 

 カインはガタガタ震えながら言った。

 

「バカ野郎……。お前さん…刺されたら死んじまうだろうがよ」

 

 グエナダも驚いたようで状況を理解出来ずに一瞬呆気にとられていた。


 ハンニバルはその隙きを逃さず巨大な黒い雷の化身となってグエナダに斬り掛かった。

 

 一瞬でグエナダの尾を切り落とすハンニバル。


 グエナダは凄まじい叫び声を上げてハンニバルを睨みつけた。それと同時に尾の針が刺さったままのカインがどさりと地面に落ちた。

 

「この汚らわしい人族が……」

 

 グエナダが言い終わる前にハンニバルは、目にも止まらぬ速さでパウを捕らえるグエナダの手を切断し、首のあたりに剣を振り下ろした。

 

 グエナダの目がギョロリと動いて自分の身体の方を見た。


 目だけを動かしながら、グエナダの首はズルリと胴体から離れて山の斜面を滑り落ちていった。

 

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