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堕天の燈火【人間の書】  作者: 深川我無@書籍発売中


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レッドエイプ2

「準備できたよ! パラケルスス!」


 ネロは弓を天に向けて構え合図を送った。

 

「よし! 今じゃ!」

 

 パラケルススの合図と共にトールキャンディーを天に打ち放った。


 すると暗雲に覆われた空に一筋の蒼い雷が昇っていく。


 雷は重く垂れ込めた雲に到達すると雲を伝って網目のように広がった。すると空からポツリと雨が滴り落ち、雷が低く唸り始めた。

 

「雷を駆る子らよ。双子の雷神ボアネルゲよ。我が呼び声に応え給え。我が前に立ちはだかる汝の仇敵、冒涜の化身を打ち払い給え」


 パラケルススが叫ぶと閃光と轟音を伴って二本の雷が地面に突き刺さり、土煙が上がった。

 

 土煙が晴れるとそこには、青と黄色の巨大な雷の化身が二体立っていた。


 幼児体型の雷の双子は、ネロにっこり微笑むと、二体のレッドエイプのほうに向き直った。

 


 どぉおおおん……!!



 巨大な雷鳴が響いた。見ると双子は一瞬でレッドエイプの前に立ちはだかっていた。レッドエイプは一瞬たじろいだがすぐに体制を立て直して武器を振り上げる。

 

 双子の雷ボアネルゲは両手を口にあてて、クスクスと笑い声をあげるとレッドエイプに抱きついた。


 するとレッドエイプはまるで雷に打たれたように激しく痙攣を始めた。

 

「ギギギギギギイギギギギギギギギイイイギイッッギ……」


二体のレッドエイプは耳が潰れそうになるほど大きな叫び声を上げながら焼け焦げていった。


 あたりには獣毛の焦げる特有の臭いが立ち込める。


 ジーンエイプ達は目の前で、自分たちの大将が黒焦げになっていく様を目の当たりにし、狼狽し、絶望の表情で散り散りに逃げ出していった。


 

「凄いよ!! パラケルスス!! ハンニバルにも援軍を送らないと!!」


「その必要はあるまいて」


 パラケルススは目配せする。


 ネロがハンニバルに目をやると、ちょうどレッドエイプの全ての腕を切り落として止めを刺すところだった。黒い雷を帯びた大剣でハンニバルは大猿の首を刎ねた。

 


「おいおい。マジであれを一人で殺っちまうのかよ!」


 カインがネロのとなりに戻ってきてそう言った。


「まさしく戦いの神デス!」


 パウも戻ってきて感心したようにそう呟いた。


「それにしてもパラケルスス! あんたの魔法はたいしたもんだね!」


 スーは雷の化身ボアネルゲをしげしげと眺めながら独りごちた。

 

「さあ。長居は無用じゃ。早くここを離れよう」


 パラケルススがそう言い終わらないうちに、ドーンと爆発音が鳴り響いた。

 

 全員が爆発音の方向に目をやった。


 見ると先程のレッドエイプが子どもに見えるほど巨大な怪物が飛び跳ねながらこちらに向かって来ている。


 歳老いた巨大や猿の王は、大きな尖った兜をかぶり、真っ赤なボロボロの外套をはためかせている。目を血走らせてこちらを睨み、長く伸びた髭に、だらだらと涎を垂らしながら、その怪物はこちらにやってくる。

 

「馬鹿な……あれは空想の産物ではないのか……?」


 パラケルススは怪物を眺めてぽつりと呟いた。 

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