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堕天の燈火【人間の書】  作者: 深川我無@書籍発売中


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22/55

レッドエイプ1

「レッドエイプじゃ!!」


 真っ赤な毛に覆われた大猿を指さしてパラケルススは叫んだ。


 大猿に反応して堕天の燈火の黒い炎はいっそう激しさを増した。熱に焼かれたネロからは大量の汗が滲む。


「後ろからもう二体来るよ!!」


 スーが矢で応戦しながら叫ぶ。振り向くとスーの矢を平手ではたき落としながら、さらに二匹のレッドエイプがこちらに向かってきていた。

 

「ネロはわしのそばに! 三人は後ろのレッドエイプを足止めしてくれ! わしがその間になんとかする!」


 パラケルススはそう言うと杖を天に掲げて祈り始めた。


「おいおい! デカいのは旦那の相手だろ? 俺はこんなデカいの担当じゃねぇよ」


 カインがやれやれといった様子で馬を後方に向けた。


「スーはそこの分らず屋と左の奴を頼む。俺は右だ」


「ダレガ分らず屋か!! お前がスーと行くイイ!!」



 パウがそう言い終わらないうちに、カインは一人、右から迫るレッドエイプに向かっていった。



「ウキャキャキャキャキャ!!」

 

 ジーンエイプ達は叫び声を上げてレッドエイプに遠巻きから歓声を送っていた。どうやら戦いには参加しないようだ。


 というよりも巻き添えを食わないように距離を保っているように見える。実際レッドエイプは敵も見方も見境なしに、近付く者は手当たりしだいに殴り倒して肉塊へと変えていった。

 

 カインは馬でレッドエイプの周りを旋回すると覚悟を決めたように馬から降りた。そして地面にヤバルを突き刺しユバルだけを右手に構えた。


 馬はそれを理解したようにカインの服を()むと少し離れた場所に退いて待機した。

 

 カインの相対するレッドエイプは、柄からだらりと垂れ下がった鎖に、見るからに物騒な鋭いトゲが付いたフレイルを手にしていた。


 レッドエイプはフレイルをブンブンと振り回し、カインめがけて振り下ろす。カインはそれを転がりながら躱していたが。こちらから攻撃を仕掛ける様子はなかった。まるで何かを見計らっているようだ。

 

 ネロがスーとパウの方に目をやると、二人は馬から降りずにレッドエイプの周りをぐるぐると回って波状攻撃をしかけていた。お互いが対角線の位置にくるように調節しながら、必ずどちらかがレッドエイプの死角に入って攻撃を繰り出す。


 しかし飛び道具ではいまいち決定打に欠ける様子だった。そのうえレッドエイプは、自分の背中にどんどん攻撃が繰り出されるのもお構いなしに、スーに狙いを定めたようだ。大きな肉切り包丁のような刃物を四本持ってスーを追いかけ回していた。

 

「パラケルスス! 早くみんなを助けないと!」


 ネロはにじり寄ってくるジーンエイプを短弓で威嚇しながらパラケルススに叫んだ。パラケルススは目を閉じて天を仰ぎ、ブツブツと何かを唱えている。ネロは皆のほうに視線を戻し自分の無力さに歯噛みするのだった。


 

 カインはレッドエイプのフレイルと残りの手から繰り出される激しい殴打を紙一重で避けていた。エーテルを瞳に集中したカインには、レッドエイプの攻撃の道筋が鮮明に見えていた。


 意を決したようにすぅーっと深呼吸するとカインは攻撃を躱しざまにレッドエイプのアキレス腱をザクリと切りつけた。レッドエイプはギャーと叫びカインを捕まえようと手を伸ばした。

 


「ヤバル!!」


 カインはすぐさま横っ飛びに身をかわし大声で叫んだ。すると地面に突き刺していたヤバルが回転しながらカインに向かって飛んでいった。その軌道上には、先程カインが切りつけたアキレス腱があった。

 

 キィーーーン!!


 金属がぶつかるような甲高い音が鳴り響いてレッドエイプのアキレス腱が切断された。切れたアキレス腱は巨体を支えることが出来ずレッドエイプはどすんと地に倒れた。


ギヤァァァァァーと叫び声を上げたが、それもつかの間でレッドエイプはすぐさま片方の足で起き上がってきた。

 

 カインは馬を呼び寄せるとすぐに馬に飛び乗った。レッドエイプは片足と三本の手を器用に使ってカインを追いかけ始めた。

 

 きつく手綱を握りながらネロは歯を食いしばってみんなを見守っていた。するとパラケルススがとうとう口を開いた。


「ネロ。トールキャンディーにありったけのエーテルを込めて空に放つんじゃ」

 

 ネロはすぐさま準備に取り掛かった。トールキャンディーを矢にくくりつけ、ありったけのエーテルを注ぎ込んだ。


 するとトールキャンディーは青白い光を放ち、バチバチと稲妻を帯びてネロを痺れさせた。

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