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堕天の燈火【人間の書】  作者: 深川我無@書籍発売中


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西の森林地帯1

 パラケルススは城門の脇に腰掛けて一行を待っていた。パラケルススの隣には灰色の馬が一頭、白と栗色の斑馬が一頭つながれていた。


「遅かったのう」


 パラケルススはこちらを見て目を細めながら細長いパイプの先から煙を燻らせた。



「色々あってな…」


 やれやれといった様子でハンニバルがそう返した。


「そのようじゃの」


 パラケルススはカインとパウの方をちらりと見てから、集まってくれと皆に呼びかけた。

 

 パラケルススは地図を広げて王国の西の森林地帯を指した。


「この森林地帯は比較的安全な場所じゃ。危険な生き物は住んでおらん。まずはこの森林地帯を抜ける。次に広がるのは《《キリル平原》》じゃ。ここが第一の難関になる……」


「《《ジーンエイプ》》の巣を抜けるのかい?」


 スーが信じられないという顔でパラケルススを見た。


「さよう。キリル平原の先にある《《チルノン山脈》》を抜けるのが、帝国領に入る安全かつ最短の経路じゃ」 



「東の砂漠越えは放射能と呪いの汚染地区の拡大で不可能になった」


 ハンニバルが付け加えた。


「あとは天剣山を登頂するルートじゃが……誰一人として生きて達成したものはおらん」

 

 地図の確認が済むとパラケルススはネロに手招きした。 


「ネロ、おぬしの馬じゃ」


 斑の馬を撫でながらパラケルススは手綱をネロに渡した。


「ところでおぬし馬は初めてか?」



「家に老いぼれロバがいたけど、馬は初めてだよ」


 ネロは斑の馬の鼻を撫でながらこたえた。馬はネロに鼻を押し当てて嬉しそうにしていた。


「その馬なら大丈夫だよ。あんたが好きだって言ってる」


 スーが巨大な純白の馬に乗って現れた。


「この子はツァガーン! アタシの相棒で世界最高の馬だよ」

 

「お前、僕を好いてくれるのかい?」


 ネロは斑の馬の額に、自分の額を当てながら言った。(あぶみ)に足をかけてネロは馬に飛び乗った。馬は暴れたりすること無くネロを受け入れた。


「うむ。大丈夫そうじゃの」


 パラケルスス笑って言った。


「あと、これを渡しておく」


 パラケルススはネロに皮の袋を差し出した。


「これは?」


 袋を覗き込んでネロは尋ねた。


「薬草は竜火草じゃ。宝石はトールキャンディー。小瓶はエーテル強壮薬じゃよ。使い方は路々教えるとしよう」

 

 一行はそれぞれ自分の馬に跨って森へと出発した。カインとハンニバルは真っ黒な馬に、パウは赤い馬に乗っていた。


 どの馬もよく手入れされ、愛情を注がれた名馬だった。しかしスーの愛馬ツァガーンは、そのどれよりも立派で、どの馬もツァガーンに対して敬意を表するように頭を下げるのだった。

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