三話「ガルディアンに仮入隊‼」
どうやら俺はディアン副隊長の鍛錬に合格したようだ。
医務室に置いてある純白のベッドの上で起きる、と一週間前のように彼は机の上に手紙を残してくれた。
ーーーー”ガルディアンの仮入隊を認める”、一週間自身を磨け。
という手紙。
あの時、死に瀕した俺は今まで成しえなかったことへ挑戦し、次の領域に到達した。
”逸脱者”、戦車や戦闘機を多数相手取っても勝てる人知を超えた実力。
ようやく到達した上位の階級へ。
だが”ぬるい”。
不意打ち気味だが副隊長へ通じた”雷公”。
だが土壇場で使えただけで技としては話にならないくらい雑い。
そう思えばやることは決まっている。
立ち上がり第三市部に設置されている”鍛錬の間”に行き修行した。
before
魔力量:7000万
魔力技術:”簡”のすべて
剣術:闘神流、夜桜流の基礎技
オリジナル技:なし
after
魔力量:20億
魔力技術:”稀”まですべて習得
剣術:闘神流、夜桜流の基礎技
オリジナル技:”雷公”、”雷道”
ーーーーーーーーーーー
あれから一週間が経過した。
雷の魔力を体内で循環させ身体強化する”臨廻”の亜種である”雷公”と、敵へ自身の雷の魔力を蓄積させ完全追尾の稲妻を当てる”雷道”。
この二つを仮入隊までの空いた期間に実戦で扱えるほどに練度を上げた。
ディアン「一週間しっかりと鍛えたか。イイ感じじゃねえか」
ラウロ:「時間はありましたからね。満足いくまで鍛錬できましたよ」
仮入隊者はガルディアンの多目的ホールに集まるようになっている。
俺はディアン副隊長と一週間の進捗を話していると目的の場所に付いた。
ただ彼は別の任務があるらしく、最後に
ディアン:「お前の活躍を期待しているぜ」
と言い残し、別れた。
中に入ると大人や子供、男女関係なくいろんな人たちが十五人いた。
軒並み魔力量が5000万を超えており、セレナの救出に同行した隊員より量は多い。
ただ、魔力の質に関してはお世辞にも良いとは言えない。
というより、この世界の実力が高い奴は魔力の量と魔力の質(色の濃さ)によって決まる。
まあ、これからだ。
仮入隊で俺含め強くなればいいだけの話。
そうして視線を戻そうとすると、ある一人の男性が目に入った。
第一印象は”強い”。
ここに居る十四人、全員を圧倒している。
見た目は何の不純がないが故に何にでも染まると錯覚させてしまう白髪。
今まで会った、どの男性よりも整った彫刻のような容姿。
あまりにも洗練された魔力。
どれをとっても今の俺が勝てる要素が見当たらない。
そんな奴に俺は目を奪われてしまった。
白髪の男性:「あ?何見てんだよ」
俺の存在に気付いた白髪の男性は顔を鋭くし、絡んできた。
全面的に見すぎた俺が悪いんだが。
ラウロ:「すいません。あまりに洗練された魔力に見入っていました」
白髪の男性:「男に褒められても嬉しくねえよ。だが、見る目だけはありそうだな」
罵倒の後には誉め言葉。
こいつパワハラ上司に向いているな。
前世で働いていた時の上司を浮かべらがら、心の中でそう思ってしまう。
白髪の男性:「そういうおめえも、俺には及ばねえが他の雑魚共より数段強いな」
ラウロ:「そうですかね」
そうやって、言われたことに受け答えしていると多目的ホールの中央。
壇上の上に一人の女性が立つ。
彼女の姿を見た俺と白髪の男性は目をこれ以上ないほど見開いた。
???「遠い地から来ていただき、ありがとうございます。私の名前は”ミカエル・リーノ”」
目線の上に立つ女性は全員に言葉が届くよう顔を左右に揺らしながら話す。
神秘的で少し長めの赤髪に前世の女性など相手にならないほど整った顔と体。
俺と白髪の男性はミカエルと名乗る女性の言葉が一切入ってこない。
美しすぎるから?、違う。
強すぎるからだ。
圧倒的、別次元。
それらの言葉が脳裏に羅列されるほどにヤバい存在。
魔力量:9000億
副隊長より多い魔力量。
あれでも日常的に出ている魔力なだけで、戦闘時ならさらに上げるだろう。
ミカエル:「今からはガルディアンに仮入隊する貴方たちの班を決めます」
淡々と女性は話し続ける。
彼女の強さに戦慄している仮入隊者を無視しながら
ミカエル:「まず、一班。アレン・ヴィクター、ラウロ・ソルフリー、セレナ・フォン・カーリー」
思わぬ女性の名前が挙がった。
王国の中でも特に権力を持つ公爵貴族の次女で、俺が異世界で初めて”大切に思えた”女性。
その名前が挙げられたのだ。
俺は思わず周囲を再び見渡す。
すると、首に手を回された。
デジャブ、同じ状況にその言葉が脳裏を過る。
セレナ「久しぶり、ラウロ」
鈴のような声音、服装が服装なら男性と見間違うほどの中世的な容姿。
セレナが俺の首に手を回し、声をかけてきた。
一ヵ月ぶりに再会できた彼女に俺は嬉しくなる。
ラウロ:「また会えて嬉しいよ。セレナ」
俺の言葉に彼女は顔を崩し、笑顔を作る。
すると
白髪の男性:「マジかよ。あの優しさと強さをはき違えている雑魚と組むとか運がねえ」
さっきまで話していた白髪の男性がセレナに嫌味を言った。
正直、今の俺は凄く驚いている。
人が馬鹿にされてここまでイラつけることに。
だが、ここで喧嘩しても拗れるだけ、関係を良好にするなら俺の感情は無視する。
ラウロ:「最後の一人は誰なのでしょう」
セレナ:「今そこにいる人だよ」
言いながら彼女は腕を上げ、とある男性へと指をさす。
指の先にいるのは白髪の男性。
こいつが俺たちの班のメンバーかよ。
貴族の情報網というやつなのか、何でセレナが彼のことを知っているんだよ。
アレン:「人に指さしてんじゃねえ」
白髪の男性、アレンは不機嫌な顔をしながら俺たちの班のメンバーであることを否定しない。
セレナを馬鹿にしたことは許せないが、彼が同じ班というのは頼もしい。
俺はアレンと友好的に手を挙げ、握手を求める。
ラウロ:「これからよろしくお願いします」
アレン:「俺より弱い奴に期待なんざしてねえ」
さっきから口が悪いなあ。
そう思うが気にはならない。
強いのは事実、俺がアレンを超えればいいだけの話だ。
???:「君たちが今年の豊作ですか」
雰囲気が悪い中、通りかかった大人の男性に声を掛けられる。
それにアレンは”あ?”みたいな顔をし、俺とセレナは頭に?を浮かべた。
アガリック:「申し遅れました。私は今日からあなた達の班長を務めさせていただきます。”アガリック”と申します」
まるで騎士のような佇まいで、男性は奇麗にお辞儀をする。
ラウロ:「アガリックさん、班はこれで全員ですか?」
アガリック:「そうです。一班は仮入隊者でも特に強い人を集めた班。他の者たちより危険な任務をしてもらいます」
セレナ:「ええ~、具体的にどういった任務です」
アガリック:「今届いている任務は近くの村に出現した”ベヒーモス”の討伐になります」
アレン:「英雄級の魔獣か。俺にとっては雑魚だが確かに一班以外がやれば死人が出るな」
アガリック:「傲慢ですが否定はできません。もう村にも被害が出ており、班が決まった今、馬車ですぐに向かいます」
アガリックの言葉の後、多目的ホールを後にした俺たちは外にある馬車に乗り、ガルディアンを後にする。
気が強いアレンと陽気なセレナ、礼儀が良く騎士のようなアガリック。
割と個性が強い班に面白さを期待してしまった。




