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なつかしいけもの

作者: 秋葉竹




  



ひとにも会わない

歩いても歩いても

だれもいない村で


とてもなつかしい

しろいろのけものに会ったんだ


子どものころには

野原を走りまわっていたよ


そのころ僕のあとを

可愛い声で吠えながら

追いかけてきたやつだったよ


とても楽しいやつで

僕はだれと遊ぶより

そのけものといっしょにいるのが

良かったんだ


とてもとても

幸せだったんだ


時は過ぎゆき

変わらないのはやさしい空だけだった

走りまわった野山も

いっしょに泳いだ湖も

なにもかもが

変わっていってしまったんだ


四季は巡り

時代は変わり


幼い僕は

若い青年になり

そのころ

しろいけものとは

会えなくなってしまった

しばらくは

けんめいに探したけれども

なぜか

ある日

そのしろいけものが

もののけかなにかだったのではないかと

疑ってしまって

そんなことを考えるじぶんが

怖くなってしまって


僕は卒業と同時にその町を出て

それ以来

いちどもふるさとには

帰っていないんだ


そして今日

戦い疲れた僕はようやく

あの焼け野原のように不毛で

心をすり減らす仕事を辞め


なるべくひとのいない世界に

ゆきたくて

この過疎の村へやって来たんだよ


そして僕は

いったいいつぶりだろう

君さえいれば

ほかになにもいらないほど大好きな

君に再会できたんだ


あゝ僕は

なにひとつ間違っていないんだと

とても簡単に理解できた


その

とてもなつかしい

しろいけもののおかげで


その

しろいけものも

僕にすり寄って

可愛い鳴き声で

「そうだよ」

「間違ってないよ」

って

笑ってくれている気がするよ


とても

幸せな時間をありがとう

なつかしいしろいけもの









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― 新着の感想 ―
[一言]  しろいけもの。  いろんな動物の姿や、架空の生き物が浮かびました。  それと同時に、いろんな感傷や想いの象徴にも。  どれも正解ではないかもしれないし。  どれも正解かもしれない。 …
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