追記 絶対ここには売ってないだろって見下してた地元のショボい100円ショップにまさかのグラシン紙が売っていて、バカにしてごめんなさいってマジで申し訳ない気持ちになっちゃったという話
4月1日。
年度末の最終日を無事に乗り切った翌営業日。
超久しぶりに定時で退勤できた。マジで嬉しい。
ちなみに土曜日なので半ドンだ。(半ドンって、年寄りにしか分かんねえか)
よし! 久々に外で昼飯食おっかな!
天気も良くて、桜も見頃。仕事も片付いて、超ご機嫌だ。
帰宅ルートは遠回りコースにする。外食気分だが今日は土曜日。チェーン店は混んでいる。
基本、人が多かったり、うるさい場所が嫌いなので、穴場はいくつか押さえている。
幸い、当ての店はそこそこ人が入ってはいたが席はまだあった。
食事を済ませ、なんとなく帰りの道すがら100円ショップに立ち寄った。
全国チェーンではない、地元の小さな100円ショップだ。
オシャレな雑貨は何もない。最低限の雑貨が並んでいる程度の店だ。品揃えは大したことはない。
自分の徒歩圏内唯一の100円ショップが、この店である。
いつでも行けるからと、グラシン紙探しのときにはここへは寄らなかった。
それなりに在庫品目が豊富な大型店にしかないだろうと判断し、この店は捜索候補から除外していたというのが理由である。
まさかここに売ってたりしてな。
んなわけねえか。
こんなショボくて、ちっさい店に売ってたらマジでビビるわ。
そんなことを考えながら、店に入った。
まったく期待はしていないが、ひとまず製菓コーナーへ直行。
ワックスペーパーの在庫は花柄が一種類のみ。その時点でこの店の品揃えはお察しだろう。
クッキングシートは、そこそこ種類があった。どっちにしても俺にとって用無しであるのは確認済みだ。
ふと。
目に入ったものがあった。
敷紙、フリーサイズ……?
俺はどれくらいそれを見つめていただろう。
分からない人のために説明しよう。
製菓コーナーに売られている敷紙というのは、金属製のケーキ用焼き型に生地が付着しないように敷くための紙である。
パウンドケーキやスポンジケーキの型に合わせて切り、ぴったり敷き詰めたあとにケーキの生地を流し込むのである。めっちゃケーキとか焼きまくってる人は使うよね。
俺は面倒だから使い捨ての紙の焼き型を使う派だけど。
でも知っている。俺は知ってるぞ。
あの敷紙の材質を……!
ああでも待て待て。早合点するな。痛い目に遭いたいのか。
まずは深呼吸。気持ちを落ち着けてPAPER SHEET(フリーサイズ敷紙)なる商品を手に取る。
――キリエ・エレイソン! エロイムエッサイム!
祈る気持ちで裏面の品質表示を目視!
ゔぁ――――――――――っ!
神様・紙様・グラシン紙様――――――っ!
そこにいらっしゃったんですね――――っ!
買いますよ! 買いましたよ! 買うに決まってんじゃないですか!
帰って速攻、袋開けてみましたよ!
おっきなハードカバーだって余裕で包めちゃう安心のサイズ感♡ オトクな10枚入り♡ ちゃんと透けてるうすうす感♡ スーパーカレンダー処理による安心の密度と強度♡
これこれ! これが欲しかったの!
早速使う――――――っ! 今すぐ使う――――っ!
わ――――い!
二階の本棚に直行する。
優先順位の高い本からカバーをかけることにする。
ふと。
たまたま部屋の片隅にある、裁縫道具集合地帯が目に入った。そこに、細長い紙のロールがささっている。
……この紙って、たしか……。
遠い記憶がよみがえってくる。
あれはまだ子供が1歳になる前。
異様な成長スピードでデカくなる我が子のサイズに、衣服の既製品が追いつかなくなった時期があった。月齢とサイズが合わない。つまりおデブちゃんだったわけだ。
苦肉の策で、ビッグサイズの甚平を手作りして着させていたことがあった。そのときに使用した裁縫用型紙である。
おそるおそるその紙に触れる。
この数日、数々の薄き神々……ではなく紙々に触れてきた俺の指先が答えを導き出した。
この御方も我が望みし紙であると――!
ちなみに洋裁用型紙の材質は……ハトロン紙!
だんだん頭が追いつかなくなってきた。
ハトロン紙ってなんだ? パラフィン紙とは違うのか?
つーか家に普通にあったじゃん!
探し回らなくて良かったじゃん!
青い鳥かよ! なんだよそのオチっ!
・・・・・
おさらい
■グラシン紙:すげー技術で繊維間の密度をめっちゃ高めてる半透明の薄葉紙
(※料理用グラシン紙はポリエチレンで表面加工されていることあり)
■パラフィン紙・ワックスペーパー:グラシン紙にパラフィンワックス(蝋)で加工したもの
■ハトロン紙・ハードロールペーパー:光沢を施したクラフト紙
・・・・・
まあそんな御託はいらねえよな。
カバーをかけてみた結果はこれだ!
左:古書店のブックカバー。(グラシン紙)
中央:100円ショップで購入した製菓用敷紙のブックカバー。(グラシン紙)
右:洋裁用型紙のブックカバー。(ハトロン紙)
自分的には3種とも遜色なし。
おそらくこれで家じゅうの本にカバーがかけられると思われる。
これにて一件落着!
グラシン・クエスト
~完~