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【本編完結】ワケあり事務官?は、堅物騎士団長に徹底的に溺愛されている  作者: 卯崎瑛珠
第四章 別離?? 決意!? 溺愛!!

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 その日の夜。

 いつも通り並んで横になるベッドで。

 

「終わったよ、キーラ」


 静かに、レナートが言った。

 

「終わった?」

「ああ。ボイドとアーチーの死刑が執行された」

「!」

「怖い話をしてすまない」

「いいえ。教えてくださり、ありがとうございます……」

「メレランドは、もう手続きが終わって王太子直轄領となった。明日、王太子殿下がいらっしゃる」

「はい」

「色々準備した行事は、残念だが」

「中止ですね。あーあ、試合だけでも見たかったな」

「ん?」

「だって、一番隊のみんな練習がんばってたし。私、剣で戦うところ見たことないし」


 ――レナートの強いところが見たい、とは恥ずかしくて言えない。


「ふむ……ボジェク殿が、来た甲斐がないと嘆いていらしてな。存在だけで十分お役目は果たされているのだが」

「じゃ、練習試合とか!」

「うん。良いかもしれん。一番隊の連中も落ち込んでいるしな。明日早速王太子殿下に上奏してみよう」

「嬉しいです! ふふふ。レナート様ってすごい」

「ん?」

「いつも、私の意見を聞いてくれるから」

「キーラが良いことを言ってくれるからだ……あー」

「あー?」

「気になっていたんだが、海軍大将閣下が『さん』なのに、俺が『様』っていうのが」

「あ、たしかに」

「キーラは、全員呼び捨てで良いんだぞ」

「え! じゃあ……レナート?」

「ああ」

「うひゃあーーー」


 思わずシーツの中に丸まってしまった。

 恥ずかしい!


「こら、寒い」

「ひゃああああ」


 ぐるっと寝返りを打ったら、どうやら巻き取ってしまったようです。

 

「こらこら。寒いんだが。シーツを返せ」

「うひひひ」

「返さないのか? ……ならば」

「!?」


 ずし、と重くなった。

 え? あれ? レナートまさか。


「寒いから、抱き着いて寝るぞ」


 ままままさか、上から抱き着いてるの!?

 ぎょわわわ!

 

「ぎにゃーーっ」

「くっくっく。今どこから声が出たんだ?」

 

 近い! 声が近い!

 重い! この重みがレナート!

 やっば! 胸が! どっきどき! ぜえはあ、ぜえはあ!


「ぶはあ!」

 窒息しそうで思わず顔を出したら――目が合った。

「ぶは。真っ赤だ」

「いじわるー」

「どっちがだ? 寒いんだ」

「んー!」


 仕方がないからシーツをごそごそして、入っていいよ、て開けて待ってみたら。


 今度はレナートが、こんなに暗い部屋でも分かるぐらいに真っ赤になった。――私もこのぐらい真っ赤ってことね!

 

「はあ。これはなかなかの試練だぞ。ふう。あー。明日の予定はええっと……」

「レナート! 早く! 寒い!」

「うぐっ」


 ぎゅ、と目をつぶって、のろのろとレナートが入ってきたので、私はがばり! とシーツを閉じて、抱き着いた。

 お返しだぞ! 逃がさないぞ! の気持ちです。


「ふふ。レナート、あっつい!」

「あー、うー、……王太子殿下が昼前に到着されて……今後の体制と権限譲渡を陛下から……」

「レナート! うるさい! 寝るよ!」

「っ、はい……」


 レナートの胸に顔を埋めてみたら、大好きな匂いがした。

 とても幸せで、離れたくなくて、寝間着をぎゅっと握ったら――あきらめたレナートが、背中に手を置いてくれた。

 

「はあ。これは猫だ。猫だぞ。うん」

「キーラですう~」

「猫だ。猫なんだ……」

「キーラだってば!」

「頼むから、俺の努力を一言で壊すな」

「なんの努力?」

「……なんでもない……」


 んふふふ。


「そこで笑うな。こそばゆい」

「そう?」

「うっ。見上げるな。心臓に悪い」

「文句ばっかり!」

「ああキーラ……もうダメだ……かわいいな……」

「はえ!?」

「ふは。さあ、寝よう」

 

 寝られませんけどお!

 最後にものすごいの、落としてくれましたね!?


「あの……私、可愛い?」


 でも嬉しいから聞きたいの。

 猫と同じ扱いで良いから。

 

「うぐ! なぜ俺は自らこのような試練を課す真似を……」

「レナート?」

「ああ。可愛い。可愛いんだ。抱きしめて寝る。いいか?」

「うん。嬉しい」

「キーラ……」


 レナートが、きゅ、と抱きしめてくれて。

 嬉しくて、嬉しくて。

 私も夢中で、抱き着いた。

 レナートは、私の髪の毛の中に鼻を埋めながら、頭を撫でてくれる。

 私は、早鐘を打つようなレナートの胸の音を聞きながら、目を閉じる。


 

 ――そうして、レナートが優しい声で「好きだ」って何度も囁いてくれる、良い夢を見たの。


 もっと、見たかったな……


 お読みいただき、ありがとうございました。

 やっと書けましたよ、イチャイチャを!(前の話との落差!)

 そしてそれってほんとに夢かな、キーラさんーーーー?

 

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