表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【本編完結】ワケあり事務官?は、堅物騎士団長に徹底的に溺愛されている  作者: 卯崎瑛珠
第三章 疑惑!? 騒動! 解決!!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

45/75

44



「出頭命令?」


 昼過ぎに、王宮から団長室へ使者がやって来た。

 対応したレナートが片眉を上げて、不機嫌を隠さない。


「騎士団長と、専属事務官をお呼びです。今すぐ王宮へお越しください」

「王宮? どこの誰宛に行けばいいんだ」

「とにかく、お越しを」

「明日にはブルザーク帝国の一行が王都へ入る。歓迎式典まで二十日あるとはいえ、警護や親善試合の準備に忙しい。それを分かった上で、だな?」


 使者の肩がびくりと跳ねた。

 怯えているが、それ以上何も話さない。本当に『伝言』しか持っていないのだろう。


「はあ。仕方ない。行こうキーラ」

「はい」


 

 恐らく呼び出したのは、財務院会計監査人、クレイグ・オルグレン男爵。

 王女の嫌がらせを画策した人物(レナートが新手の詐欺師と言っていた)だ。

 昨夜の打合せで、ある程度の予測はできていた――



 

 ◇ ◇ ◇

 


 

「国庫管理人のうちの一人だ。奴が賭け事の胴元だと思う」

 レナートが渋い顔をしていた。

「……国庫、お金残ってますかね」

 私が問うと、

「鞘とマントだけでも結構な支出だ。騎士団の金庫では賄えないから、財務院に経費申請しているが」

 もっと渋い顔になった。

「あー、なるほど。払えないから」

 ヤンがとても嫌そうな顔をして

「キーラに罪を着せる気だな」

 ロランが言い切った。

「え? 私、ただの事務官ですよ?」

「縛り首にして、代金を踏み倒す算段だろう」

「しし、しば、しばり、っっ」

 レナートの発言に、私がショックで言葉を失うと、

「大丈夫だよ、キーラ」とヤンが慌てて

「そんなことにはならないよ」とロランが慰めてくれた。


 そしてレナートが、これ以上ないぐらいに怒っていた。


「そいつを、縛り首にしてやる」

 



 ◇ ◇ ◇




 王宮に来たのは、実は二度目。

 初めは、王女発案の騎士団視察後の舞踏会。

 そして、今日。


 騎士団本部からは歩ける距離だけれど、馬車に乗れ、だって。

 別に逃げないし! って思ったけど、素直に言うことを聞いた。


 あっという間に着いて、馬車から降りる私を、レナートは丁寧にエスコートしてくれる。

 レナートは騎士服だからかっこいいけど、私は事務官の制服替わりのブラウス、ベスト、パンツそしてロングブーツ。全然見合ってないです、て遠慮したけど、レナートが「俺がやりたいんだ」だって。


「ここにはろくな縁がない気がします」

「奇遇だなキーラ。俺もだ」

「団長も?」

「ああ。『騎士団を立て直してくれると聞いた。あとはよろしく』だけだぞ、ここの国王」

「うわあ……」


 あんな王女が育つんだもんなあ。お察し、てやつかな。


「え、国王陛下って普段何しているんです?」

「アルソスでは、隣国の役人や商人と頻繁に接見をして情報を仕入れたり、国内の様子を役人から吸い上げて采配したりしているが」

「メレランド……は?」

「知らん」

「へ? 騎士団長ってその、国の警護の(かなめ)なわけですよね?」

「一度会ったきりだ。興味がないんだろうな」


 そしてレナートは声を潜める。


「困るとアルソス国王に『兄者~助けて~』という手紙を出すらしいぞ」

「ぶっ」


 前を歩いていた役人が、眉をひそめて振り返る。

 

「何を笑っているのですか!」


 むかっとしたら、

「名乗りもしないやつに払う敬意はない」

 先にレナートがやり返してくれた。

「で。どこに向かっているんだ?」

「ふん! 王の間です!」

「「は?」」


 思わず二人で、顔を見合わせる。

 

「国王との接見です!」

 ふふん、と鼻を鳴らす彼に、

「理由は?」

 とレナートは畳みかける。

「国庫無断使用です! あなた方は、罪人なのですよ!」


 ――は?


「いや意味が分からん。何もかもの手順をすっ飛ばしているが、正気なのか?」

「失礼な!」

「まず、国庫の無断使用はしていない。罪人に国王陛下はお会いにならない。罪人を裁くのは法務院だがその制服は財務院だな」

「わ、わたしは、国王陛下の勅命で!」


 ――また、勅命。


 レナートからも、また殺気が溢れてきた。

 

「なるほど……とことん腐っているわけだ。駄々っ子のためにここまでやるとは」

「え!」

 

 まさか、王女の戯言(たわごと)を信じて勅命を出したの!? そういうこと!?


「キーラ。何があっても俺から離れるな。いいな」

「は、はい」



 レナートがさり気なく帯剣の柄を確認したのを見て、私は、王の間ではなく死地に向かっている、ということを理解した。

 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ