ミットヴォッホタウン
さて、今日はミットヴォッホタウンに向かう。
「ミットヴォッホタウンってどんな街なの?」
「そうだな。王国の貴族である、クーゲル=シュライヴァーが支配している町だな。あまりいい噂は聞かんな」
「そうなんだ。行ってみた方がいいよね」
二人で話しながら行くとあっという間についた。赤と白の趣味のいい街並みが広がっている。しかし、町の人の視線が冷たい気がする。
「者どもあの女どもをとらえよ」
クーゲル=シュライヴァーらしき人の声が遠隔音声魔法で響いている。
「どうだ。ショコラ。いくらお前が強かろうがこの数の相手は骨が折れるだろう。俺は強くなったんだよ」
聞きなれた勇者の声だ。またかよ。もういいわと思っている。さー。どうしたものかしら。
「ぐぬぬ。確かに数では勝てないわね」
「ふははははははははははははは」
「長いわね。横隔膜壊れるわよ」
「心配ご無用。俺は大丈夫だ。さーどうしてくれようか?負ける気がしないね」
「せいぜい威張るのね。姫若子」
「なぜそれを。転生者の俺しか知らんはずだ」
「偶然ね。こっちの世界でもあんたは姫なのよ。男のくせにね」
「なぜだ。なぜそうなる?」
「気づいてないの?あんたずっと声女のまま話してるのよ」
さてこうして話している間にも私はキラグルとドキキラで敵を蹴散らしている。ちなみに、無差別に倒しているのは蘇生できるからだ。殺さないように調整もできるが殺さないと洗脳が解けないのだ。
「な、なに。百万の軍勢が。なぜだ。俺が負けるわけがないはずなのだ」
「ねー。君男の子なの?僕君が女の子だと思ったから婚約したんだが。国民返して?君洗脳魔法かけたよね?早く解いて。じゃないと我がデーモンハンドが火を噴くよ」
「ご、ごめんなさい。そんなに大ごとになると思ってなくて」
勇者形無し。ダサい。さて、私はクーゲル城に攻め込むことが出来た。もう、勇者も目の前に迫っている。
「勇者さん。私言いましたよね?された側は許せるはずないって。あと強さを見つけましょうって。あなたの見つけた強さはこれですか?」
「あ、ああ。数が多ければ強いだろう?俺はこの街の支配する最強の勇者だぞ。しかも金もある。お前程度に負けるわけがない」
「その強さならさっき崩れましたよね?数?確かにそれも強さでしょう。でも、数だけが強さじゃない。弱さを受け入れてこそ強くなれるの。他者を許す強さ。違いを受け入れる強さ。他人を守る強さ。きっと、答えはたくさんある。あなたなら見つかるわ」
「あ、ああ。次こそ受け入れて見せる。俺の弱さを。俺の弱さってなんだ?」
「あんたはすぐ楽な方に逃げる。きっと、あんたのことだから範囲洗脳魔法でも使ったんだろうけど、一部かかってなかったよ」
「え、うそ、だろ?」
「いいえ、ホントよ。本当の強さを持っている人にはかかっていなかった。他人に流されることなく自分の正しさを信じて、行動をした人もいた。私が入り口を見つけられたのも彼らのおかげよ」
「正しさ?」
「これも難しいテーマ。私は他人の弱さを受け入れることを正しいと感じる。でも、逆のことを思う人もいる。だから喧嘩が減らないのかもしれない。この前私は強さを探せといった。だから、あんたは強さを探した。安直に数に逃げたけど探すだけ探したじゃない。それがあんたの強み。人に言われたことを実行に移す強さ。それも強さなの。一緒にあなたなりの答えを探しましょう」
「旅に加えてくれるのか?こんな俺でも。魔法士ちゃんも連れて行かせてくれ」
「もちろんよ。さあ連れていらっしゃい」
勇者は全力疾走で魔法士を迎えに行った。
「飲み込まれてたけど僕いるからね?勇者に国民返せと言いたいんだが」
「なら、わたしがやりましょう。あなたには、エメラルドから話があります」
ということで、キラグルでひとを集め蘇生魔法をかけた。
「マジか。やるな。ショコラ」
「いえいえ。普通です」
「クーゲル=シュライヴァー殿。賄賂と女性の権利無視疑惑がありますが?」
「す、すまん。姫君。申し訳ありません。誠心誠意謝らせてください。本人の意思を尊重するよう努めます。今回は許してください」
「そうですね。今回は許します。パーティーメンバーがすみません」
私が勇者を受け入れると決めたので贖罪をしておくことにした。
「君たちじゃないだろう?」
クーゲル氏が言った。
「私はパーティーメンバーの過去の科もパーティーで被るのが正しいと感じるので」
ショコラが言った。
「凄いな。姫様にはもったいないほどよくできた人じゃないか」
クーゲル氏普通にいいひとかも。
「私だって努力してるし。べ、別にもったいなくないよな?」
エメラルド、凄くうろたえている。
「そうですね」
ショコラが言った。
「ど。どっち?」
やっぱりうろたえている。
こうして、私たちはまた旅に出ることにした。