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勇者との決闘

「てめえ、一端にAランクになったんだってな。あんまり調子乗ってるとぶっ飛ばすぞ」


「よろしければこちらもぶっ飛ばさせていただきます」


「何をーーーーーー」


「あなたをーーーーーー」


「なんでーーー?」


「腹立つのはそっちでしょうおお」


「耳の遠いやつなのかアンタら」

聞いていた冒険者たちが突っ込みを入れる。


「おい。俺と決闘しろ。明日のこの時間だ」

今はド真昼間だ。


「ご飯はどうするんですか?」


「俺は食ってからするつもりだが?」


「おげろに気をつけなきゃですね」


「は?」

勇者は呆けた顔をしていった。


さて、決着の約束をした後私は買い物に行くことにした。もちろん、武器の調達である。ギルドの近くは賑わっており武器商店や服屋など多数の店が軒を連ねている。すると、ある武器商店に筒状のものを見つけたので聞いてみた。


「これは何というものですか?」


「鉄砲だ。まだ、モンタークシティでは珍しい武器だよ。これに興味を持つとはお目が高い。この武器は中に魔力を注いで、ここの引き金を引いて打つんだ」


「値段はどれぐらいなんですか?」


「そうだな。お嬢ちゃん可愛いし本来金20だけど、5でどうだ?」


「安くなるのはいいんですが、持って使ってみないと」


「商才があるよ、嬢ちゃん。どれ、持ってみな」


「うーん。重い」

「いいことを教えてあげよう。光魔法でふわふわ鉄砲と唱えるんだ。で、ちょうどいい重さに調節できるから。どうだ。買ってくれるかい?」


「でもそれならなぜこんなにいいものが売れ残ってるの?」


「さすがだな。ここまでなんて。さすがだよ。光魔法は使いにくいと」


「攻撃力至上主義ですものね。光魔法は攻撃力そこまでないですものね」


「そうなんだ。買ってくれるかい?」


「いいですよ。勇者様に勝つためです」


「勇者と戦うっていうと魔王か何かかい?」


「違います。勇者に売られたけんかを買うだけです」


「は、はあ」


商人は呆けた顔をしている。私はお金を払い鉄砲を使ってみることにした。そこで実験台にウェアウルフを用いることにした。討伐報酬美味しいし。


「キラグル。ふわふわ鉄砲。ドキキラ」


ドキキラの魔力消費で何倍もの速度と威力のドキキラが放てた。もちろん、簡単に倒せた。さすがだね。あの商人さん行きつけにしよう。また倒しすぎて怒られそうだ。とりあえず、明日それなりにゆっくりだけど寝ることにした。


翌日晴れた昼下がり、いやド真昼間、勝負の火ぶたが切って落とされた。最初の攻撃は、勇者からだった。彼は剣を引くと盾から矢が飛んできた。最初は見切れなかったが、すんでのところでシールドを発動し事なきを得た。更に彼の猛攻は続き、私は防戦を余儀なくされた。


「オラオラ、謝るなら今のうちだぜ」


勇者が調子づいている。私は生来負けず嫌いなので、隙をずっと伺っていた。すると、勇者の攻撃は正面からしか飛んでこないことに気づいた。だから私はホーリージャンプで高速移動し勇者の視界から消えた。正確には、側面に回り込んだ。そして、例の武器、鉄砲を使うことにした。


魔力を込めてドキキラを打ってみた。もちろん命中。ホーリージャンプで駆け寄り、回復魔法をかけようとした刹那、勇者は剣で攻撃を仕掛けてきた。仕方がないので拳で沈めた。


「お前なんでそんなに強いんだよ。反則じゃねーか。俺の住んでた世界の英語っていう言語ではチートっていうのはズルという意味だが、そのズルを使ってさえ勝てないものがあるんだな。いいよ。うちのパーティー来いよ。認める。お前は強い」


「勇者さんは転生者なんですか?ぜひ、その世界も知りたいです。でも、しばらく距離を置かせてください。私の心はまだ許してないので」


「心は許してなくてもお前は許してるんだろう?」


「いいえ。した側は忘れられても、された側はそう簡単に許せないんです。本当は勝負に見せかけて殺すことだって簡単かもしれなかった。でも、それをするとあなたと同じようになってしまう。そんなあなたを大切に思っている人のことを思うとできなかった。心が許さなかった。あの魔法士ちゃんはあなたのことを信頼してると思います。自分が強いと思うのは勝手です。でも強さを示す道具として人を見ないでください。距離を置いて本当の強さとは何か考えてみてください」


「そうだよな。いつか、また会えるか?」


「ええ。あなたが本当の強さとは何か、あなたなりの答えが見つかった時また会いましょう。あの、悪しき竜王デヴィルを倒すために、約束の地ドラゴニアで」


「ああ。しばしさよならだな。きっと答えを見つけてみせる。すべては悪しき龍王を倒すために」


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