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ショコラ=キャンディロール

私は今日も教会で祈りを捧げている。悪い龍王様を倒せますようにっと。私は、16歳の時に呪いをかけられ、年をとれずさらに回復魔法と光属性魔法とアンデッド化呪文だけ使えるようにされた。アンデッド化呪文ってどこで使うの?僧侶が敵をアンデッド化させていいの?


私の日課は朝祈りを捧げ、昼美味しいものを食べ、夜祈って寝る。大体この感じだ。趣味は読書と杖を振り回すのと黙想。本も読み切ってしまったので、そろそろ魔物を倒しに行こうと思っている。


「大司教様、私旅に出たいです。世界を知りたいのです」


「よかろう。存分にみてまいれ。おのが人生後悔なきように」


こうして、私は旅を許された。ということで、やってきたよ、冒険者ギルド。凄くキラキラしてドキドキしている。とりあえず、中へ入ってみよう。凄く緊張する。やったことがないけど、好きな人を目の前にした時くらいドキドキしている。でも飛び込んじゃえ。えーい。進まない。うーん。だめ。緊張で入れない。黙想すること五分。緊張が解けたので、入ってみた。世間知らずな私にとって初めて見るものばかりだ。粗野な感じの人が多いし、綺麗な人はキラキラしている。どちらにも入れそうにない。どうしよう。


そこにちょうどよさそうな子がいた。私と身長変わらない男の子とその横にいる魔法士っぽい子だ。二人ともどことなくあか抜けない。私は、その子たちに声をかけることにした。


「あの、えっと。ぱ、パーティーを組んでください」

凄くかんだ。初めていうんだしいいよね?二人ともが固まっているし、空気が凍えそうなほど静まり返っている。なんで?


「あの、だからパーティーを組んでくれませんか?」


やっとさえない男の子が口を開いた。


「僧侶って必要?攻撃力ないよね?回復?死ななければいいだけじゃん。いらないよね?」


みんながそうだそうだと同調する。


「攻撃力がすべてなのね?ならばみんな死んじゃえばいいのに」

我ながら最低なことを口走ってしまった。


「そんなに僧侶がえらいのか。なら戦って勝ったら入れてやるよ。まあ無理だろうけど」

勝つことはできるかもしれない。秘儀を使えば。ただ、勝った後の立場を考えると厳しい。どうしよう。あの技強いけどどうしよう。いやになったので、冒険者登録だけしておく。


「そうですね。光魔法の適性が最高ですね。あとは回復魔法、アンデッド化呪文も最高です。素晴らしい能力を持っているとジャッジできました」


ギルド嬢がそう告げた。


「あの、早速クエストを受けたいのですがおすすめはありますか?」


「なら、スライムはどうでしょうか?」


「それでお願いします」

スライムに服を溶かされた姿を想像する男性冒険者の下卑た笑みが私に突き刺さる。ま、いいけど。私ってそんなにかわいいの?

ちなみにあの例の呪いをかけられて一年ほどだ。だから誤差の範囲だ。十五年後とか想像したくない。あ、かわいいしいいや。


ということでやってきました、スライム討伐。ひんやりして気持ちよさそうな色をしたスライムだ。討伐する前に触ってもみた。想像通り夏場の暑い季節にちょうどよさそうだ。ギルド嬢によると討伐数は自動でカードに書き込まれるらしい。


さあ、やりますか、討伐。とりあえず、光魔法使えるみたいなので、聖霊召喚とかできるかなと試しにやってみた。できるみたい。


「やあ、そこの君、聖霊召喚初心者かい?結構魔力使うからあぶないんやで。まあ出てきてみたんやけどな。無駄が多いねん」

え、何この聖霊。なんかすごく訛っている。


「あ、あの、わ、私ショコラって言います。実験的にやってみようと思って、なんかできちゃって。あ、あの、悪気はなかったんですけど。ごめんなさい」


「謝らんでええ。あ、これ聖霊語や。めっちゃ訛って聞こえるけど堪忍してな。俺がついとくけん。いっぱい研究しいや。できることはアドバイスするし。今はあんただけに見えてるっちゅうわけや」


「すごい話しますね。あの私魔法が光と回復しか使えないんです。どうしたらもっと強くなれるんでしょう」


「それこそ聖霊召喚の出番や。光魔法でも火とか水とかの聖霊も呼べるんや。まあ。聞いてしまった俺からのサービスや。しかもそれ呪いやろ。解けんけど力は貸したるけんがんばれよ」


「ありがとうございます。聖霊さん名前は?」


「名乗るん恥ずいわ。俺は山の聖霊ヤマトや」

私は呆けた顔をしているのだろう。なんか向こうも照れている。


「あれ?転生者違うん?大体これ言うたら受けるんやけどな」


「あの、私ドラゴンの末裔ですが?どこに転生者要素ありました?」


「魔力けた違いやで。あの今の竜王を凌駕してる。あとは戦闘技術磨いたらいい。で、転生者要素はその魔力っちゅうこっちゃ」


「は、はあ。で、スライムは光魔法効きます?」


「まあまあやな。俺の見通す眼からしたら秘儀使ったら楽勝やと思うで」


「できれば人に見せたくないし」


「なら、かわいい呪文名に変えたらいいやん。キラキラふわふわみたいなの。呪文名変えても同じ魔法やったら効果は変わらん。ただ語感によって見た目変えれる」


「じゃあそれでやってみる。キラキラふわわー」


「技ダサ」


「酷い」


まあ呪文かかりまして、実験的に回復魔法使ってみた。結果、一瞬で溶けたとさ。真ん中に集めるような呪文がほしいと思ったので、光魔法で集めるイメージのものを作ってみた。技名はキラグルだ。

敵が一瞬で集まってくる更に内向きに魔力が流れるため敵は出て来られない。そこにキラキラふわわーをかけて範囲回復呪文で倒す。我ながらこれ楽かも。


「覚えとくとええけど。光属性魔法でも物は作れるしサポート向けや。だから使いやすい。ただ攻撃力はそこまで高くない。初心者向けやな。火力至上主義の今では使われんな。まあ。あんたは化ける。ファイト」


そういうとヤマトは去っていった。そして私はスライムを回復呪文で黄昏時まで狩りまくった。気付けば200匹を超えていた。ギルドに戻って賞金の受け取りをすると、金二十枚になった。もちろん怒られた。やりすぎたようだ。

金が銀の十倍、銀が銅の十倍らしい。その下が銭で銅の十分の一らしい。宿はとりあえずギルドにとまった。ギルド嬢の部屋で寝ることとなった。


その夜はワクワクドキドキしてキラキラでふわーってして眠れなかった。


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