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HELLO Bear
男には長きに渡る因縁があった。男はそれに決着をつけることが人生の本懐と定めていた。
ある日…(渋いバリトンボイス
森のなか…(木製の床板をゴツいハンティングブーツで踏み締める音
熊さんに…(立て付けが怪しく蝶番から耳障りな音を鳴らしながら開く扉
出会った…(ソードオフショットガンを突き付けながら
ハーイ、ベア。あの日お前が届けた遺り物の借りを返しにきたぜ。
花咲く森の道…(スキットルからほぼアルコールな酒を部屋に振り撒きながら
熊さんに…("To my dear father"と彫られたライターに火を点け
出会った…(投げ入れた
永遠にさよならだ。クソ熊野郎。
人気のない野山で上がった火は、天候が洗い流すまで一帯の自然を巻き込みながら燃え上がった。だれかの執念と悲哀、弔いを宿したように。