飛来侵~空からやってきたヒトガタ~
短編集とかいいなが、続き物ちっくな話を書き出している。
最後まで書けばいい?途中でもキリが良いなら蔵出しなのです。
ビル上の避雷針。ワタシのささやかな退避地。今日もここから虚ろに空を眺める。
ただ、その日は予期せぬ珍客が飛来した。
晴天の夜空を振り払う閃光、闇ではなく光に奪われる視界。
場所柄何時かはやって来るかと思ったが、まさか星空すら切り裂いて走り抜けるモノとは知らなかった。
しかし、自然の生んだ強大なエネルギーに撃ち据えられているはずなのに、いまだ眩んで光中模索、五里光中をクリアで明瞭に認知する思考。
青いかはさておき、来客は稲妻では無いことを検討づけると共に、視界は再び夜闇に親しみだす。
回復した視覚がワタシに教えてくれたのは、なんの気負いもなく逆さに落下してくるやけに好印象を与えるヒトガタの物体だった。
こう称したのは、普通見てくれで与える好印象は『きれい』とか『かわいい』とか言語化、概念化されている評価に基づいて下されると思うが、降ってきたソレは言語的にどうと言うより思考に直接『これは良いものだ』を植え付けてくるのだ。
いわば洗脳染みた強制を無意識のまま普遍的に撒き散らすのだ。そんなのが普通にヒトであってたまるか。
かく言うワタシが『どうなのだ』と問われれば、多少の奇妙な趣味があって多少な奇怪を宿しているだけのヒトだと答える。
自己問答はさておき、降ってくるヒトガタは明らかに重力と空気抵抗の摂理に逆らった柔らかな速度で降りてくる。
多分このまま放っておいてもこのヒトガタは軟着地を容易にしそうだが、ワタシの悪い癖である好奇心が『早くソレを受け止めろ』と騒ぎ立てる。
そしてなんとも意志薄弱で後先を思考しない愚思愚行なワタシは、そんな好奇心に何時だって打ち勝てない。
そうなれば話は早い。端的に行ってしまえば、ワタシはヒトガタ…便宜名称として飛来侵とする。をキャッチした。その緩やかな落下に反して飛来侵を支えるために要求された腕力は、標準体型内で一四〇センチメートル代の人間を支えるに妥当なレベルだった。
急かつ思い出したように発揮された摂理と不用意な慢心の代償は、寸前で魔女の一撃を回避したものの多少の痛みを腰であがなうことになった。
続きは未定で不定。