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ただいま異世界巡回中!  作者: Riviy
四周目 ある人達の話
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第八十ゲーム・そして賽は投げられる。



自分の方に龍華が来ている事に気付き、ハナトは「なんだろう?」と首を傾げていた。こちらにやって来た龍華がハナトの肩を掴み、湊達の視線から逃れるように背を向かせる。ハナトは困惑しつつも龍華に従い、そうして()()()かな?と思い当たった。龍華は楽しくお喋りをしている湊達を少し心配した様子で伺うと声を潜めて彼に問った。()()()、大事な事だ。今までオレが抱えていた疑問に答えが与えられる。まぁでも


「(わかったところでどうこう言うつもりはないけど)」


問いかける直前、チラリと後ろを一瞥する。ハナトも龍華が聞こうとしていることが分かり切っているのか、今にも解答してしまいそうな雰囲気だ。


「でさ、清光、()()()言ってた?」

「はい、実はですね…」


コソコソと龍華の耳元で言葉を伝えるハナト。その言葉を聞くにつれて龍華の顔が驚愕と理解に包まれていく。そして、「やっぱり」と小さく笑った。オレが考えていたことは、合っていた。これは、確信だ。ハナトは湊達や龍華よりも清光の、動物の言葉をごく細かく、詳細に分かる。言ってしまえば通訳だ。湊達も分かる事はあるが以前も言ったように細かいところまでは微妙だった。だからこそ、龍華はハナトに聞いたのだ。あの時、感情を暴露した後に出来た短時間に清光と話した内容。飲み物を片付けていた龍華にも布団に潜ったまま清光の言葉に返事を返すハナトの声は聞こえていた。明らかに驚いた声を上げていた。恐らく、ハナトを元気付けようと龍華のように身の上話やお説教をしていたのだろう。だが、その時、龍華は思い出した。ハナトが自身の弱さをウィンにぶつけている時の()()()()()()。いや、実際には初めて会った時から疑問はあった。今までだってそういうのは多々あったし、仮説ではあるものの決定的なものはなかった。いや、あったにはあったし気付いてもいた。でも、ハナトの言葉ではっきりした。龍華の疑問は、仮説はハナトの解答によって真実に形を変える。


「えっと…私には少し難しい内容もあったので聞き逃してしまっているかもしれませんが」

「いや、大丈夫だよ。ありがとうハナト」

「いえ、お役に立てたのならば光栄です」


初めて会った時とは百八十度変わったハナトの姿に龍華は何故か唐突に橘と楠を思い出した。そうして、変わってしまった自分の運命を思い出した。龍華は頑張ってと云う応援の意味も籠めてハナトの頭を見よう見まねで撫でる。彼は驚いていたが嬉しそうに笑っていた。龍華も笑うと足元にふわふわとした感触があった。なんだと見下ろすと清光だった。いつの間にか湊の肩から降り、こちらに来ていたらしい。


「どうしたんだい清光」

「んにゃーなー」

「えっと、()()()()()()って言ってます」


清光を抱き上げる龍華にハナトが告げる。それに龍華はハッと清光を見た。清光は「にゃーあ」とニッコリとオッドアイの瞳を細めた。それに龍華も瞳を細める。分かってる、分かっているよ。


()()()()()からね」


龍華の答えに清光は満足そうに鳴いた。

湊はピィアレナと共に、ウィンをからかっていたヒイロとそれを受け流すと云うよりも「その喧嘩、勝った」とでも云うように受け取りニタリと笑ったウィンを見て、楽しそうに笑っていた。仲が良いなぁと思い、まるで兄妹だとも感じた。いつの間にか清光の代わりにツキカゲが来ていて、湊の隣に当たり前のように立っていた。その事に気付き、ちょっと嬉しかったのは内緒だ。


『からかうなヒイロ』

『だってだってー!ウィンお兄ちゃんに会えたの久しぶりなんだもーん!戦いの後くらい、抱きついても良いじゃーん!』

「てか、云う前から抱きついてるし!」

「そうよね!」


湊とピィアレナの言う通り、ヒイロは既にウィンに抱きついていた。ウィンは抱きつかれて少し困惑していたが小さく笑い、自身に抱きつく彼女の頭を優しく撫でた。


「そういえばさ、二人以外にもタロットカードってあるの?この場合はいるの?かな」


ツキカゲが素直に疑問を口にすると同時に、ヒイロがウィンの胸元に頬を擦りつけて頭を擦りつけて甘えん坊モードに突入する。ウィンが仕方なさそうに頭を撫でながらその疑問に答える。ピィアレナはそんな彼らを見て微笑ましそうだ。


『あるにはあるが……正確には説明しづらい。あ、そういえば…』

「?なぁーに?」


と、ウィンがなにか思い出したらしく指を鳴らした。するとシルバーの粒子がハラリと舞い、あるものを形作る。それはこの異世界ではお馴染みのカードだった。ヒイロが顔を上げ、そのカードにフイッと指を振る。するとゴールデンイエローの粒子がまるで踊るかのようにカードを包み込んだ。なんだなんだと興味津々に、ワクワクとした気持ちと様子、輝く瞳で見つめる湊をツキカゲが「落ち着いてマスター?」と宥める。が、その隣、ピィアレナも湊と同じように興味津々だったのでツキカゲは軽く肩を竦めて、笑った。ギュッギュッといまだに甘えているヒイロを抱き抱えながら人差し指で円を描くように動かした。するとカードは一人でにゆっくりと降下し、思わず両手を伸ばした湊の手元に舞い降りた。まだ二人分の粒子が残っているらしく、キラキラと太陽の光を浴びてまるで宝石のように輝いている。


「なにこれ?カードだよね?」

『嗚呼、礼にでも受け取ってくれ』

『ウチらの欠片込めたから、何かの役には絶対に立つよ!ねぇウィンお兄ちゃん!』


『ねぇー!』と再びウィンに抱きつくヒイロを横目に湊は自分の手元を覗き込んできたツキカゲと共に貰ったカードをじっくりと観察する。カードの片面にはシルバーとゴールデンイエローのチェック柄が描かれ、もう片面には地面に突き刺さった剣を抜こうとしている人物が描かれている。その絵を見てアーサー王伝説が湊の頭をよぎったがすぐに違うと確信した。それはこちらにやって来る龍華と彼に抱かれた清光、そしてハナトを見れば一目瞭然だった。湊とツキカゲは顔を見合せ、悪戯っ子のようにニヤリと笑った。ピィアレナもその絵に気づいたらしく、二人より先にタロットカード達に訊く。


「ねぇえ?このカードのモチーフって?」

『んふふー♪お姉ちゃんら、勘がイイね!』

「ってことは、君達なんだね」


ピィアレナの問いに答えたヒイロが笑うとツキカゲが代わりに言う。何も言わないところを見るに正確らしい。湊はニヤァとカードを見て笑い、こちらにやって来るハナト達に向かってカードを見えるように掲げながら駆け出し、叫んだ。


「ハナト!見てこれ見てこれ!!」

『おい誰かあいつ止めろ!』

『恥ずかしがる事ないでしょウィンお兄ちゃん!』

「?なんですか湊?」

「あらあら~仲が良いわね~」

「マスター!急ぐと転ぶよ!」

「にゃあああんな!」

「清光も一緒に見るかい?」


楽しそうな笑い声が平和を取り戻した街に大きく響き渡った。その声は、これからの決意を示しているようだった。ハナトがニッコリと笑っていた。その笑みは何処か、安心しきっていた。


とりあえず、今日でこの章終わらせますー!

……ていうのをよく言っている気がします……

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