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ただいま異世界巡回中!  作者: Riviy
零周目 番外編・日常の日々、過ぎ去りし
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第四十七ゲーム・終結



「ただいまー!」

「にゃあああ!」

「湊ちゃん!手洗いうがい!」

「ピィアレナってお姉さんって云うよりもお母さんな気がして来た」


湊は開け放った扉から入ってくるピィアレナにそう漏らすとバスルームに消えて行った。清光がその後を追いかける。ピィアレナは彼女のそんな言葉に「あら」と軽く声をあげながら中に入り、キッチンに消えて行った。その後に苦笑するツキカゲと龍華が続いた。

店を巡り、昼食を終え、湊リクエストのアイスクリームも食べたご一行。まさかの女子二人の催促で三時のおやつも買いました。シュークリームです。と云うことで、ただいま掃除が終わった部屋に戻り、おやつタイムと洒落込もうとしている。ピィアレナに湊と同じ事を言われる前にとバスルームから撤退して来た湊と清光の脇をツキカゲと龍華が通り過ぎて行く。ソファーに「いっちばーん」と座る湊の膝の上に定位置だと言わんばかりに清光が乗ると丸くなった。そんな清光のふわふわの毛並みを撫でながら湊は三人を待つ。ゴロゴロと喉を鳴らす清光に仄かに癒されて行く。そこで一瞬、ツキカゲとのあの会話を思い出したが、聞いてしまってはなんだがなぁ…と湊は思い、口をつぐんだ。


「湊ちゃん、何飲む?」


と、キッチンから微かに顔を覗かせてピィアレナが聞いて来た。ちょうどその時、バスルームからツキカゲと龍華も出て来てピィアレナが「二人は?」と訊く。


「ティーパックって何あったっけ?」

「紅茶と煎茶、ほうじ茶よ。各四つずつ。紅茶と煎茶は使っているから…」

「二回使えるよね?」

「ええ、味が薄くなるけどね」


一度淹れていた龍華とピィアレナが話すのを横目にツキカゲが湊の隣に座った。そして湊の膝の上でゴロゴロと喉を鳴らしている清光の頭を撫でた。本当にこの子は猫なのか?いまだ疑問だ。


「あ、清光の分のミルクあったよね?私それ!」

「んー、僕はおまかせで」

「了解。湊ちゃん以外はおまかせにしちゃうわね」

「え、ちょっとオレは?」


聞かれているのに返答していないにも関わらず、おまかせにされてしまい龍華が不機嫌そうに口を尖らせた。それがなんとも年相応で愛らしく、ピィアレナが小さく笑った。キッチンに笑いながら消えて行くピィアレナを追って龍華もそちらへ行った。手伝うらしい。数分後、ほとんど準備を終えていたのかトレイを持ってピィアレナがやって来た。龍華は彼女が持っていたシュークリームが入った紙袋を片手に持っている。ローテーブルを囲むように設置されている一人用のソファーに龍華が座り、その向かい側の同じソファーに腰掛けつつピィアレナが美味しそうな飲み物が注がれたカップを置く。二つのカップにはパックが入れられている。龍華が湊にシュークリームを渡すと彼女は嬉しそうに頬を綻ばせた。


「美味しそー!」

「なぁん、な!」

「ふふ、はい」

「ありがと」

「あたしにもちょうだーい」


全てのシュークリームが全員に行き渡り、清光が自分用のミルクが入った皿をまるで誰にも取らせないと言わんばかりに尻尾で壁を作る。なんとも愛らしく微笑ましい姿に彼らがシュークリームを頬張ったり飲み物を飲みながら笑う。清光も「にゃあ」とオッドアイを細めて笑った。色んな事を談笑しながら彼らは思い思いにおやつタイムを過ごして行く。シュークリームの最後の一口を口一杯に頬張って湊は満足そうに微笑んだ。そして冷たいミルクで甘い風味ごと飲み干す。ミルクを飲み終わった清光がまた湊の膝の上にやって来る。ツキカゲがおまかせで淹れられたカップを手に取り、中身を飲む。


「あ、紅茶?も良いね」

「ツキカゲもそう思う?私もほとんど初めてだったんだけど美味しいよね!」


うむ、とあまりの美味しさに頬を綻ばせるツキカゲを覗き込み湊が笑う。龍華とピィアレナも「そうでしょ?」と云うように微笑んだ。龍華がカップに口を付け、一瞬驚いたように身を引いた。そして、嬉しそうに微笑んだ。それを見てピィアレナも嬉しそうに笑う。


「?龍華?どうかした?」

「いや…ピィアレナ、オレのってほうじ茶?」

「そうよ。龍華、ほうじ茶好きだものね。内緒で淹れたのよ♪」


ふふっ、と悪戯っ子のように笑うピィアレナに龍華も小さくお礼を云うように笑い返す。微笑ましい愛しい二人のやり取りに湊も思わず笑ってしまう。と、ポンポンと頭を撫でられた。誰だと見上げると案の定、ツキカゲで。湊は嬉しくて嬉しくて、ふにゃあと頬を綻ばせてしまった。その笑みがふにゃふにゃで、なおかつ本当に幸せそうでツキカゲも少し照れてしまうが嬉しそうだ。そんなみんなを見て、湊はまた嬉しくなる。ずっとこんな時間が続けば良いのになぁ。でも、そんなことは起きない。私は、帰らないと。湊の心中に蠢いた感情に清光が気付き、湊の手を頭に擦りつけた。ハッと我に返った湊は、そんな気分から救ったような清光を撫でた。ツキカゲが少し怪訝そうにしていたのを知らずに。


と、その時。目の前の景色が歪んだ。こう、グニャリと。そこで湊は嗚呼、もう終わりかと残念に思った。まだまだ、彼らと休息でやりたいことはたくさんあったのに。でも、何処かで浮わついている自分も居て。もう少し長めでも良かったのに…神様(あの人)は急ぎすぎだ!心中で此処にはいない自称に毒づきながら、湊はゆっくりと目を閉じた。それはツキカゲや龍華、ピィアレナ、清光も同じだった。


カラン、と飲み終わったばかりのカップがカーペットの上に転がり落ちた。此処には、誰もいない。そう、ついさっきまでは。


今日で番外編を終わらせますぞ!

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